参院本会議で2日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明、及び質疑がおこなわれ、木戸口英司議員が登壇しました。

■与党幹部等の役職辞任・離党について

 冒頭、木戸口議員は、緊急事態宣言下、東京・銀座のクラブを訪問した上に虚偽の説明をしたとして、自民党議員らが相次いで役職辞任や離党に追い込まれたことに言及。こうした軽率な行動が、コロナ禍で苦しむ「国民を愚弄するもの」であり、「総理総裁としての責任は大きい」として、国民に対しどう申し開きをするつもりなのかと菅総理をただしました。総理は「国民に理解と協力をお願いしているなか、政治家は率先して範を示すべきで、こうした行動はあってはならず、極めて遺憾。私からも国民の皆さまに心からお詫びを申し上げる」と陳謝し、「いま一度、身を引き締めて新型コロナウイルス感染症対策に全力を尽くす」と答えました。

■自殺防止対策について

 昨年の自殺者数が11年ぶりの増加に転じたことや、特に働く女性で増加が目立っていること、小中高生の自殺者数も過去最多となった点などに言及。「コロナ禍のしわ寄せは、社会的に弱い人ほど受ける現実がある」として、菅総理に対し「救える命があったのではないか」とただしました。

■緊急事態宣言の解除について

 2月7日に期限が迫る緊急事態宣言の延長が不可避となっている点に触れ、「宣言発令がもっと早ければ、解除を早めることができたのではないか」と、菅総理に迫りました。菅総理は政府諮問委員会に諮る考えを示し「まずは『ステージ4』を早急に脱却することをめざし、解除後も必要な対策を継続し、さらなる感染者数の減少をめざしていきたい」と答えました。

■菅政権の対応の遅れと対策の不作為について

 「菅総理の判断に対し後手であったとの批判が強まっている」ことに絡んで、そもそも「政府において感染症対策への備えがされてきたのかが問題だ」と提起。新型インフルエンザ流行後の 2010年にまとめた感染症対策に関する報告書の提言が事実上放置されてきたことや、厚生労働省が感染症指定医療機関の体制改善を2017年に総務省から勧告され、全国調査を行ったにもかかわらず、結果の取りまとめすらなされていなかったことに触れた上で、「政府は感染症対策の不作為を認め、これまでの取組を検証し、対策と態勢の抜本的な立て直しをすべきではないか」と総理をただしました。

■改正案における「新型インフルエンザ等対策推進会議」の設置について

 改正案において、新型インフルエンザ等対策有識者会議を新たに「新型インフルエンザ等対策推進会議」として法的に位置づけることとなったことに関連し、「これまでも対策の決定過程において、政治と専門家の役割分担の不安定さが、国民に不安と不信を与えてきた」と述べた上で、「これを機会に、政治と専門家の役割分担について再構築するべきではないか」と訴えました。

■「まん延防止等重点措置」について

 感染拡大を未然に防ぐため、緊急事態を宣言していない地域でも、都道府県知事に事業者への営業時間短縮の命令等を認める「まん延防止等重点措置」が創設されることについて、(1)措置の公示の判断基準(2)命令及び過料の運用(3)国会への速やかな報告、などについて総理の所見をただしました。

■事業者への十分な支援と必要な財政措置について

 時短要請等で影響を受ける事業者に対する支援について、木戸口議員は政府に対し、経営への影響や事業規模等も勘案したきめ細やかで十分な支援を行うことを求めました。その上で、(1)「財政上の措置その他の措置」に関し、具体的にどういった支援をどの程度行うのか(2)売上減少の著しい事業者に対し給付金等の支援策を再度検討するつもりはないのか総理をただしました。

■差別の防止に係る国の具体的な取組について

 新型コロナウイルスの感染者や治療にあたる医療従事者、また、その家族等に対する差別や偏見、心ない誹謗中傷等、人権が脅かされる悪質な事例がいまだ後を絶たないことについて、一層の対策を求めました。そして感染症を予防するだけでなく、感染症の患者に対する「良質かつ適切な医療」の提供を確保することを求めました。

■感染症法改正による罰則について

 「法案の修正を経て、行政罰である過料は科せられるものの、刑事罰ではなくなった点は一定の評価はしたい」とした上で、「改めて、感染症法改正の趣旨と人権が損なわれる運用はないことと、総理から国民への丁寧な説明を求める」と述べました。また多忙極める保健所等の職員が本来の職務を遂行できるよう支援することも、あわせて政府に求めました。

■医療関係者等への協力要請と勧告・公表について

 眼前の医療崩壊を防ぐ対策に全力を上げるとともに、病床削減に力点がおかれたこれまでの医療改革を転換すること、ならびに中長期的な視点で、医師の適正な養成と配置を図る抜本的な改革に早期に取り組むことを求めました。

■ワクチン接種について

 最後に木戸口議員はワクチン接種の体制整備についてただしました。木戸口議員は、(1)実施主体である自治体に対する支援策(2)新システムの導入は間に合うのか、(3)ワクチン供給の見通しなどについてただしました。

20210202 特措法改正案-木戸口英司議員 参院本会議代表質問.pdf

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