衆院本会議が1日夕に開かれ、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案(特措法改正案)の審議がおこなわれ、衆院会派「立憲民主党・無所属」を代表し、白石洋一議員が政府案、及び立憲民主党をはじめ4党提出の修正案に賛成する討論をおこないました。

 白石議員は冒頭、緊急事態宣言下での与党議員の夜間会食について「先週発覚した松本純国会対策委員長代理の銀座飲食に田野瀬太道文科副大臣と大塚高司議院運営委員会理事が同席していた。コロナ禍での『銀座連れ会食』という掟破りも大問題だが、それ以上に会食が発覚してから1週間も、御三方揃ってマスコミに対し事実を否定し続けた、即ち口裏を合わせウソを突き通していたことは国民に対する最大の裏切りではないか」と批判しました。その上で、政府与党の責任者である菅総理がこの大不祥事の事実究明に関し、2日に予定されている議院運営委員会できっちりと説明するよう強く要請しました。

 政府の新型コロナウイルス感染拡大への対応が遅く、政府の説明が不足していたのに対し、立憲民主党をはじめ野党は、昨年12月2日に「都道府県による緊急事態宣言の要請、国・地方の連携強化、知事の立入検査、国負担の給付金、医療検査体制の強化、海外からの入国制限などの法案を提出した。しかし、与党は私たちの法案を審議せず、12月5日に国会を閉じてしまい、ようやく1月18日に開会して本法案の審議にたどりついた」と経過を振り返りました。また、(1)GoToキャンペーンの停止の遅れ(2)水際対策での入国禁止の遅れ(3)「勝負の3週間」が中途半端で、緊急事態宣言再発令が遅れたこと――を政府による「3つの後手」と指摘しました。

 今回の政府原案提出の前に、政府・与野党連絡協議会が開催され、野党の意見を踏まえ、臨時の医療施設の開設、宿泊療養・自宅療養に関する規定、国と地方自治体の連携などが盛り込まれ、「当初は努力義務規定だった事業者や地方公共団体への財政上の措置・支援措置が義務規定となったこと、間接的に影響を受けた事業者への支援、差別の防止に関する国や地方の責務が盛り込まれることになったことも前進」との認識を示しました。

 一方で、野党が提出した法案には過料の罰則は入れておらず、正当な補償を図るための法案だったのに対し、政府原案は「はじめに刑事罰ありき」の枠組みで、刑事罰の導入は罪刑均衡の観点からも明らかに重すぎ、過去の感染症患者等に対する差別や偏見を教訓として患者等の人権を尊重しつつ、医療など総合的な施策の推進を図るべきとする感染症法の前文に沿った内容ではなかったと述べました。そして、与野党協議の結果、罰則に関し(1)入院を拒否した人を対象とした刑事罰の「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を削除し、行政罰の「50万円以下の過料」に変更(2)保健所などによる「積極的疫学調査」を拒否した人に対する「50万円以下の罰金」を「30万円以下の過料」に変更(3)緊急事態宣言下で営業時間の短縮命令などを拒否した事業者への過料額を「50万円以下」から「30万円以下」に減額(4)「まん延防止等重点措置」下で、拒否した事業者への過料額を「30万円以下」から「20万円以下」に減額――の4点の修正にいたり、刑事罰はすべて撤回されたと説明しました。

 こうした修正が実現したことに一定の評価ができるとしつつ、法案に関し、入院を拒否した感染者への対応、営業間の短縮命令に応じた事業者への補償について課題が残ると指摘しました。さらに、行政罰の適用、まん延防止等重点措置発令の際の実体ある国会報告と客観的基準の明確化、差別禁止策や自殺対策の徹底、水際対策の迅速で厳格な実施、ワクチンの安全かつ迅速な接種、医療機関の減収補填、医療機関間や広域の調整に努めるよう求めました。

 白石議員は、「今後の参院での審議も活かし、コロナ禍から国民の命と暮らしを守りつつ、収束するように今般の法律が運用されることを期待する」と述べ討論を締めくくりました。

 政府原案と修正案は賛成多数で可決され、参院に送付されました。

新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案賛成討論(予定稿).pdf

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新型インフルエンザ対策特措法改正案は賛成多数で衆院を通過