22日午後、午前に続き衆院予算委員会で2021年度予算案の集中審議が行われ、立憲民主党の最後の質問者として広田一議員が質問に立ちました。広田議員は、菅総理の長男らによる総務省幹部の不適切接待問題、中国公船による領海侵入について菅総理らをただしました。
■総務省幹部の不適切接待問題
はじめに広田議員は菅総理の長男らによる総務省幹部の不適切接待問題を取り上げました。
この日の委員会に出席した吉田、谷脇両総務審議官らに対し広田議員は、過去にも利害関係者である放送事業者との会食はあったのかただしました。両審議官が「ない」と答弁すると、「それではなぜ放送事業者であり、利害関係事業者である東北新社との会食にだけ応じたのか」と再度ただしました。これに対し谷脇審議官が「当初の認識では利害関係事業者ではないと認識していた」「自分たちから声をかけることはないが、声をかけられれば、できるだけ応じるようにしている」と答弁すると、広田議員は「それでは、他の事業者からの会食の呼びかけにも応じうる、公務員倫理規程に違反しても構わないということか」と、さらにただしました。谷脇審議官が「応じる場合もありうる」と答弁すると、広田議員は「総務省の幹部がこういう感覚では、総務省内でいくら調査をやっても真実が出てこないのではないか」と独立した第三者委員会を設置し、改めて事実関係の調査を行うよう求めました。
続けて広田議員は「菅総理の長男がいるから、総務省側も計38回に及ぶ会食に応じたのではないか」と指摘し、総務相秘書官を務めた長男が総務省と利害関係にある会社に再就職した段階でこうなることを予見し得なかったのか、菅総理をただしました。これに対し菅総理が「そういう話はした。『気をつけろ』と」と答弁すると、広田議員は「それは東北新社が利害関係者であると認識していたからか」と問いただしました。しかし菅総理は、一般論として注意したまでだと否定。さらに広田議員がこの問題について「長男と直接話をして、事実関係を明らかにすべきではないですか」とただしましたが、菅総理は、現在進行している総務省の内部調査に悪影響を与えるからとこれを拒みました。
広田議員は「やはり行政の長として責任を果たすべきだ」と再度主張し、この問題についての質問を結びました。
■中国公船による領海侵入
広田議員は、「日本政府の対応が、政府が口で言っているような『毅然』とした対応には見えない。逆に弱腰に見える」と述べ、中国公船が領海侵入をし続け、日本の漁船等を追い回している現状を指摘。その上で、広田議員は「中国の海警法(海上警備にあたる中国海警局に外国の船舶への武器の使用を認める法律)が国際法に違反する形で運営されていると認識しているか」と菅総理らをただしました。これに対し菅総理らは「当然、そのように認識している」と答弁しました。
その上で広田議員は、以前にもまして尖閣諸島周辺で緊張が高まっていることに鑑み、自衛隊の部隊に領域警備の権限を認める法律を検討するつもりがあるかどうか、菅総理をただしました。これに対し菅総理は「警察と自衛隊との連携が極めて重要だ。必要な法制のもとに海上警備行動発令手続きの迅速化、関係機関の対応能力の向上、情報共有連携の強化、各種訓練の充実など必要な取り組みを推進する」と答弁し、従来の手法による抑止力の強化を挙げるに留めました。
広田議員は、「日本の領土・領海・領空を断固として守るということについては、与野党は関係ない。今後とも、この領域警備法の必要性も含めてしっかりと議論をしていきたい」と述べ、この日の質問を終えました。