「やはり『zeroコロナ』戦略こそが、経済的にも結果的にはプラスであることは、各国の事例で証明されている」。枝野幸男代表は26日、国会内で記者団との定例会見を開き、25日に党がまとめた「zeroコロナ」戦略を発表しました。東日本大震災や緊急事態宣言の一部解除など、その他の話題も含めた代表発言の要旨は、以下の通りです。

■東日本大震災から10年

 まもなく発生から10年目を迎える東日本大震災について、枝野代表は「亡くなられた皆さんに哀悼の意を表すとともに、大切な人を亡くされた皆さんにお悔やみを申し上げたい」と述べました。その上で「特に福島を除けば、ハード面での復旧復興は相当程度進んだと認識している。しかし生業が戻ってこない、従って地域コミュニティも戻ってこないということで、こうしたソフト面の復旧はむしろこれから。福島原発事故を含め、現在進行形であることを国を挙げて確認する10年目にしなければならない」と発言。例年であれば被災地を訪れている時期ではあるが、今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で「3月11日の時点で現地に伺えるかどうか、ギリギリまで模索をしたい」と被災地を訪問する日程を調整中であることも明らかにしました。

■立憲民主党「zeroコロナ」戦略を発表

 昨日の政調審議会で党の「zeroコロナ」政策が了承されたことを受け、枝野代表がその概略を発表しました。新しい政策の眼目について枝野代表は、これまでの政府の政策の失敗を避けることにあると明言。「社会・経済と感染対策の両立ができれば一番いいが、(現実には)目の前の利益を少し急いだことによって、再び、より深刻な波が来て、さまざまな制約がむしろ大きくなる。そして医療がひっ迫し人の命が失われていく。こういうことを繰り返してはいけないということが、この間の明確な教訓だ」と説明しました。また台湾、オーストラリア、ニュージーランドといった周辺の島国の事例を取り上げた上で「やはりzeroコロナ戦略こそが経済にも結果的にはプラスであることは、各国の例で証明されている」と力説。「感染拡大の繰り返しを防ぐ。その段階までしっかりと感染状況を抑え込み、感染が再拡大しないよう封じ込めの対策を徹底的に実行することによって、早期に通常に近い生活や経済活動の再開につなげる。――という戦略に立つべきだ」と述べました。

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 また「zeroコロナ」と言っても、ウイルス自体をゼロにする訳ではなく、政府のこれまでの考え方を象徴する「withコロナ」と価値観を対比する意味合いもこめて「zeroコロナ」としたとも述べました。そしてこれを達成するための具体的な3つのステップとして、(1)しっかりとした医療への支援(2)検査の拡充等による感染者の早期発見・治療による感染の封じ込め(3)感染の封じ込めを達成するまで、人々の暮らしや事業を支える──を挙げました。

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 このうち枝野代表が説明の力点を置いたのが(2)の「検査の拡充等による感染者の早期発見・治療による感染の封じ込め」です。感染を封じ込めるには「患者を早期に発見するしかない」とした上で、そのための「検査の拡充」が不可欠であると強調。この「早期発見」のための方策として、介護施設等におけるエッセンシャルワーカーへの無料定期検査や、濃厚接触者に限らず陽性者が接触した周囲の人を広く無料で検査すること、安価で迅速大量に検査できる国産機器の普及(海外ではすでに導入実績あり)、出入国管理の厳格化(すべての入国者の一定期間のホテル隔離)――等を示しました。

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立憲民主党zeroコロナ戦略.pdf

■緊急事態宣言の一部解除

 関西・九州など一部地域における緊急事態宣言の解除について枝野代表は「そのこと自体は歓迎すべきだが、営業の短縮要請など一番厳しい状況でご協力いただいている方々の、厳しい状況が抜本的に変わるわけではない。引き続きそれはお願いをしていく一方で、緊急事態宣言が解除されると『普通の生活に戻っていいんだろうな』という間違ったメッセージが国民の皆さんに伝わる。誤解に基づいて感染拡大に繋がるようなメッセージになりかねないという非常に大きなリスクを伴っている」と指摘。その上で「当然、誤ったメッセージにならないよう、総理大臣が自ら記者会見をやって、丁寧に強いアピールをしなければならない局面だ。ところが、どうも記者会見をやらないと今伝えられていることは、信じられない責任放棄だ」と政権の対応を厳しく批判しました。

■予算委員会の振り返り

 新党を結成し、さまざまな専門性を持った人材が集まったことで、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策・財政・外交など、多岐にわたる分野で重厚な国会論戦が繰り広げることができたと今国会の序盤を振り返りました。その上で「党勢拡大の効果があった」「この国会の審議を通じ、国民に対し『もう1つの選択肢』たりうることを示すことができた」と、国会論戦の成果について一定の自信を示しました。また現政権に関しては、汚職やスキャンダル絡みの報道が続いている点に言及し「『権腐10年』。膿が出てきていると言わざるを得ない」と総括しました。そして今後も引き続き「具体的な政策提言と行政監視機能の両面で役割を担っていきたい」と決意を表明しました。

■丸川珠代男女共同参画担当大臣の選択的夫婦別姓導入に反対する考えについて

 丸川珠代男女共同参画担当大臣が就任前に、選択的夫婦別姓導入に賛同する意見書を採択しないよう地方自治体議員に宛てた文書に名を連ねていたことがあきらかになった件について言及しました。枝野代表は「この件について丸川大臣は『私の信念』と答えられている。選択的夫婦別姓は、ジェンダー平等の実現に向けた大きな課題であるのは間違いなく、『信念でも反対』という結論ありきの方をこのポストにつけた総理の任命責任が問われる。残念ながら、自民党では選択的夫婦別姓は不可能であることが今度のことで裏付けられた。ご関心のある皆さんには是非この認識を共有して頂きたい」と語りました。