人口減少自治体では行政サービスが低下すると推測され、その行政サービスを補完する「ボランティア活動」が重要だと語る船木純・秋田市議会議員。
東北・北陸を中心に今年の1月から2月にかけ記録的な大雪となりました。自らもボランティアで除雪を行い、交通指導隊員として活動した1月頭の状況について船木議員が報告します。
1月9日、1月の年間最深積雪量が24cm(2020年)の秋田市で、同日11時に積雪量60㎝となり、12時間降雪量が34cmと観測史上最大を記録し、公共交通がまひ、スリップやホワイトアウトによる交通事故等が発生し、市民生活に多大な影響を与えました。
秋田市内は「全市一斉除雪」の指示が出され、除雪車がフル稼働し、幹線道路、バス路線、学校・病院等の公共施設への道路除排雪が優先的に実施されました。その後、市民生活に密着する生活道路の除雪が始まりますが、常に市民生活は動いており、除雪車が来るのを待っている時間はありません。結局、市民自身が除雪をしなければなりません。
積雪60㎝の除雪を人力で行うのは、体力のある人でも容易ではありません。秋田市の高齢化率は32.3%。除雪をしたくてもできない高齢者からの悲痛な声が聞こえてきます。人口減少が急速に進む秋田市で、除雪という行政サービスは追いついていません。それを補完するのが「ボランティア活動」です。
私はいつも、積雪が10㎝になった時点で「勝手に除雪ボランティア」をしています。足が悪く体力が無いおじいさん、娘が首都圏で仕事をしていて二人で生活している老夫婦、広い駐車場を除雪する体力がないおばあさんの3世帯の除雪を「勝手に(自主的に)」やっています。
今年は4回出動しましたが、体力には自信のある私にもかなりきつい除雪作業となりました。おかげで神経が圧迫されているようで左腕には痺れがあり、右ひざには水がたまり、現在は整形外科のお世話になっています(苦笑)。それでも「除雪してくれてありがとう」という声をいただくと、やった甲斐がありうれしくなります。
今年の冬は例年になく記録的なもので、1月7日秋田県を風速36.9mの記録的暴風を伴う爆弾低気圧が通過。秋田市では7日23時半時点で2万5千戸が停電になりました。私の住む町内の交差点の信号機も停電し、交通まひが発生しました。
※交差点を横断する歩行者を安全に誘導するため、秋田市では「交通指導隊」を組織し、隊員は交通ボランティア(街頭指導)として日々活動していますが、2005年には107人いた隊員も現在は45名となり、市内要所で歩行者を安全に誘導できるほどの隊員数はいません。ここにも人口減少の問題を抱える秋田市の縮図を垣間見ることができます。
信号機が停電し、混乱する交差点に対応する交通指導隊員が不足しているなか、私は、日頃一番交通量が多いであろう交差点に立ち、歩行者が安全に横断できるよう誘導しました。
水も飲まず朝食もとらず朝6時から活動し、気がつくと空腹感が襲ってきました。そのとき、市民の方が近づいてきて、おにぎり、お茶、使い捨てカイロを差し入れてくれました。その方は「頑張れよ」と言い残し、交差点を立ち去りました。そのときに食べたおにぎりは本当に美味しかったです。
信号はその日の夕方に復旧しましたが、結局私は朝6時から夕方の16時まで交差点に立ち続けました。ふるさと秋田に恩返しがしたいという一心で議員になりましたが、この日はほんの少しですが、恩返しをした気持ちになりました。
今回の活動を通じて、人口減少と高齢化を痛感すると共に、ボランティアでお互いを助け合う社会づくりが重要だと改めて感じました。皆さんもやってみませんか、本気の「ボランティア」を。