衆院厚生労働委員会で審議されている政府提出医療法等改正案（良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案）に対し、立憲民主党は24日、修正案を提出しました。中島克仁衆院議員が提出者を代表して趣旨説明をおこないました。

　厚生労働省は地域医療構想の実現に向けて、公立・公的医療機関などを名指しした上で、具体的対応方針の再検証を求めてきました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、再検証の期限を含め、地域医療構想に関する取り組みの進め方について、改めて整理の上で示すとしていますが、いまだに具体的な方針を示していません。こうした状況の中、政府提出の医療法等改正案では地域医療構想の実現に向け、自主的な病床削減等を行う医療機関に対し、財政支援を実施することとしています。立憲民主党は、政府が公立・公的医療機関等を狙い打ちにした436の再検証医療機関のリストを撤回もせず、地域医療構想全体の方針を示さないまま、財政支援を伴う事業を実施すべきではないと考え、政府案に対して修正案を提出しました。

　中島議員は「地域医療構想そのものを否定するわけではありませんが、新型コロナウイルス感染症の第4派も懸念される現状に鑑みれば、いま行うべきことは病床削減ではなく病床確保であり、新型コロナウイルス感染症の影響により経営が苦しい医療機関に対して支援をおこなうこと」だと訴えました。また、「今般の新型コロナウイルス感染症は、医療提供体制に関するさまざまな課題を浮き彫りにしましたが、まずはこうした課題を踏まえた上で、地域医療構想、医師の偏在の是正など、地域の医療提供体制のあり方を再検討する必要がある」と表明しました。修正案の概要は以下のとおりです。

（1）地域構想の実現に向けた医療機関の取り組みの支援の措置をいったん白紙に戻すため、当該支援に係る改正規定を削除する。

（2）地域における病床の機能の分化及び連携の推進の在り方等に係る検討規程の追加
　政府は、速やかに、地域医療構想について、新型コロナウイルス感染症のまん延又はそのおそれにより生じた医療提供体制に係る課題を十分踏まえた見直しが適切におこなわれるよう、地域における病床の機能の分化及び連携の推進の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。また、地域において必要となる介護等の提供の体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。

（3）地域における良質かつ適切な医療を提供する体制の確保に関する検討規定の追加
　政府は新型コロナウイルス感染症のまん延またはそのおそれにより生じた医療保険体制に係る課題をも十分に踏まえ地域の医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携、医師の地域間及び診療科間の偏在の是正等に係る調整の在り方、そのまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症がまん延し、又はそのおそれがあるとき等における医療提供施設に対する財政上の支援及び医療従事者の適切な処遇の確保の在り方その他地域における良質かつ適切な処遇の確保の在り方その他地域における良質かつ適切な医療を提供する体制の確保に関し必要な事項に対する財政上の支援及び医療従事者の適切な処遇の確保の在り方その他地域における良質かつ適切な医療を提供する体制の確保に関し必要な事項について検討を加え、その結果に基づいてひつような措置の検討を講ずるものとする。

（4）医療提供施設に対する財政上の支援に係る規定の追加
　政府は、速やかに、令和2年2月以後の医療提供施設の経営状況について調査し、その結果に基づいて医療提供施設に対する財政上の支援のために必要な措置をおくずるものとすること。

医療法等改正案への修正案趣旨説明.pdf
【要綱】医療法改正案への修正案.pdf
（参考）政府提出「医療法等改正案」概要.pdf