衆院決算行政監視委員会で12日、締めくくり総括質疑がおこなわれ、立憲民主党の3番手として江田憲司議員が登壇。新型コロナウイルス感染症対策に関して、国民に自粛ばかりを求めるだけでなく、政治の責任として「まず大規模検査を徹底してやってください。病床の確保を自ら乗り出して行ってください。ワクチン接種も順調に行くようにしっかり汗をかいてください」と提案しました。

 3月末時点の新型コロナウイルス感染者総数474,773人中84%に当たる398,325人、死亡者総数9,162人中84%に当たる7,701人が昨年9月の菅政権発足以降の数値であることを明らかにした江田議員は、「この厳然たる事実をどう受け止めるか、その要因をどう分析しているか」とただしました。これに対して菅総理は、感染者数、死亡者数の増加について陳謝した上で、その要因について「飲食の場面などで基本的な感染予防対策がおこなわれていないことや気温の低下による影響もある」などとの見解を示しました。

 飲食店の感染対策が不十分だったなどと、国民の側に責任があるという認識を示した総理に対して江田議員は、第3波の特徴が高齢者施設や医療機関でのクラスター多発にあると指摘。こうした事態を防ぐために昨年夏から野党側が高齢者施設、医療機関での検査の徹底を求めたにもかかわらず、「菅総理が何にもやらなかったから、特に高齢者施設、医療機関を通じて感染が拡大し、こういう結果を招いたのではないか」とこれまでの感染対策を問題視しました。

 現在、懸念されている若年層の間での変異株の感染拡大に関しては、感染拡大を未然に防止するために「学校の教師や保育園の保育士の皆さんに対して集中検査を行うべき」と提案しました。菅総理は、変異株で子どもが重症化するという証拠がないとして、「学校や保育園は定期的な検査の対象にすることを求めていない」と応じました。
 総理の危機感の乏しさに疑問を呈した上で、変異ウイルス対策について「まだ未知だから早くそれを捕まえて、徹底的に追跡をして、それを隔離して封じ込める。そうするのが国の責任だ」と説きました。

 変異ウイルス対策で札幌市や船橋市が取り組み、成果を挙げている下水道検査を取り上げました。下水道調査の実施により、当該地域のウイルス量を測定でき、感染集積地の特定につながり、必要な対策を講じられるとし、同検査に取り組むよう求めました。江田議員の提案に対して総理は、「そうしたことが可能であれば、是非やりたい。これから大変効果的だと思っているので、もう一度しっかり指示をしておく」と前向きに答弁しました。

 江田議員は、病床確保問題についてもただしました。感染が再び拡大する傾向がある中、厚生労働省が医療機関に対して3月24日、第3波のピーク時の2倍程度の病床を確保するよう通達を発出したことについて、日本病院協会の会長が不可能との認識を示しているように、厚生労働省が数多の通達を出し、後は都道府県任せのような姿勢では病床確保できないと断じました。この事態を打開するめに総理がリーダーシップを発揮して、1,000床規模の仮設病院を設置するよう提案しました。

 ワクチン接種の円滑な実施に向けては、自治体が接種会場ごとの割り当て数や接種回数、接種予約の受付などを準備するために、ワクチン供給の1カ月前には政府から見通しを示してほしいと要望していることに触れ、ある程度の見通しを早めに自治体に伝えるよう提案しました。また、6割の自治体がワクチン接種のための医療人材が不足していると調査で明らかになっていることを受け、財政面を含めて自治体を支援するよう求めました。

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