「やはり水際対策の徹底が非常に大事だ。台湾の例では14日間しっかり隔離をして、陰性を確認してから入国ができるようになる。ここだけはしっかりと取り組んでいただきたい」(横沢高徳参院議員)。

 政府は東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に発令中の「緊急事態宣言」について、期限を11日から5月末まで延長し、新たに愛知、福岡の2県を追加する方針です。この政府方針の報告を聴取するために 7日、衆参両院において議院運営委員会が開催されました。参院の議院運営委員会では、横沢高徳議員が質問に立ちました。横沢議員は、緊急事態措置の延長が国民生活にもたらす影響、新型コロナウイルス感染症の出口戦略、事業者に対する追加的な支援、外国の変異株に対する水際対策、「ワクチン休暇」制度――について、西村康稔経済再生担当大臣をただしました。

■緊急事態宣言の延長が国民生活に及ぼす影響ついて

――今回の緊急事態宣言の延長および対象地域拡大で、人の流れを抑える対策をさらに厳しく国民に求めていくのか、それとも連休中よりも緩い制限を国民に求めていくのか

 質問の冒頭、横沢議員は今回の緊急事態宣言の期間延長・地域の拡大が国民生活に対しどのような影響を及ぼすことになるのか西村担当大臣をただしました。これに対し、西村大臣は「感染状況、病床のひっ迫状況など地域によって差がある。それぞれの感染状況、病床の状況などに応じた対応となっていく。各都府県の知事と連携をして必要な対策をしっかりと講じていきたい」と答弁しました。

■新型コロナウイルス感染症についての出口戦略

――コロナ感染症の出口戦略を国民に分かりやすく説明すべきではないでしょうか

 米ニューヨーク市では、ブロードウェイの劇場が再開となると報道されたことに触れ、日本の現状と比較しました。横沢議員は「今回の宣言延長で、国民は将来が見通せない。『長いトンネルの先の光』どころか、トンネルがどんどん長くなってしまい、光すら見えないような状況になっている」と述べ、政府に対し、国民にとって分かりやすい出口戦略の説明を求めました。

 これに対し、西村担当大臣は「もちろん、どこかで宣言解除をすることにはなるが、解除した後は再び感染者数が上昇してくる、これは何度も起こるとこれまでも申し上げてきている。再び上がってきた時にも、それが大きな波にならないように、全力を挙げて取り組んでいきたい」と答弁するに留まりました。

■さらなる事業者への支援

――今まで通りの支援内容の継続をしていくのか、それとも追加的な支援を考えているのか

 今回の緊急事態措置延長とまん延防止等重点措置の拡大により「事業者、イベントそしてスポーツ、文化芸能などに大きな影響が出てくる」と横沢議員は訴え、これら事業者に対する追加的な支援策を政府が検討しているかただしました。

 これに対し西村担当大臣は、中小企業や個人事業主に対する経済支援や雇用調整助成金といった従来通りの支援策に言及するとともに、各県に配分した地方創生臨時交付金について「3,000億円を各県に配分させて頂いている。これを活用し、国の手が行き届かないところへの支援を、都道府県がきめ細かく行うことを期待をしたい」と、地方による自主的な支援への活用に期待する旨の答弁をしました。また観光産業に対する支援として、居住する都道府県内の旅行を支援する枠組みを検討していることも明らかにしました。

■外国の変異株、とくにインドで報告されている変異株に対する水際対策

――台湾並み、そしてオーストラリアなどの徹底した水際対策を取り、リスク回避をするべきではないか

 インドからの入国者に対する隔離を3日間から6日間に延長するとの報道について、横沢議員は「果たしてこれで十分なのかということだ。国民の皆さんが、緊急事態宣言で自粛し懸命に努力している一方で、水際対策の甘さで、国内に新たな変異ウイルスが入ってしまっては元も子もない」と述べ、政府に対し、近隣諸外国並みの徹底した水際対策の実施を求めました。

 これに対し西村担当大臣は「インドであれだけ感染が広がっておりますので、これへの対応を強化していかなければいけない。このことは昨日の厚労省のアドバイザリーボード(諮問機関)でも指摘をされた。現在、インドなどからの入国者に対する更なる厳しい水際対策について、関係省庁と連携をし検討している」と答弁をしました。

■「ワクチン休暇」制度について

――「ワクチン休暇」制度について、導入する考えはあるか

 ワクチン接種の当日と翌日に仕事を休める「ワクチン休暇」の導入を台湾政府が決めたことに関し、日本政府も同様の休暇制度を導入することを検討する考えはあるかただしました。

 西村担当大臣は「河野大臣の下で、現役世代に対するワクチン接種を円滑に進めていくためのやり方を考えておられると思う。今ご指摘いただいているものも含め、現役世代の接種が円滑に進むよう、しっかりと検討していきたい」と答弁しました。

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