立憲民主党ら野党で作る「東京オリンピック総点検野党合同チーム」は8日、成田空港の空港検疫および来日した選手や関係者の到着ゲートからバスまでの導線について、厚生労働省、内閣官房オリパラ事務局より現場で説明を聴取しました。視察には、立憲民主党から山井和則座長、黒岩宇洋副座長、奥野総一郎事務局長、杉尾秀哉参院議員、谷田川元衆院議員が参加しました。

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検体採取について説明する成田空港検疫の田中所長(検査室は許可を得て撮影)

 視察では、飛行機から降りた後の一般乗客と五輪関係者の導線の振り分け、検体採取、検査結果の待機場所、検査証明書の発行や入国審査、税関などの状況を確認しました。

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 視察後に、山井座長らは記者団の取材に応じ、次のように述べました(要旨)。

山井座長
 1点目は、2日前の羽田でも指摘しましたが、到着ゲートまでは導線が分かれているけれど、到着ゲートを出たら一般人と導線が混ざってしまう。この事は改善してほしいと言っておいたのですが、改善がなされておらず、バブルに穴が空いてると言わざるを得ないので、改善をしていただきたいと伝えた。
 2点目は、いままでも言われていましたが、空港で陽性が分かった人を選手村の発熱外来に連れていくと改めて聞き、それはおかしい、やめてくれと言いました。
 3点目は、濃厚接触者の方々を選手村に入れるということを現時点では否定されていない。私たちとしては「バブルの中に、陽性者も濃厚接触者も入れるな」と2週間前から言ってるのに、いまだに濃厚接触者を選手村に入れるかもしれない、行き場所はまだ決まってないっていうのは非常に問題だと感じました。

黒岩副座長
 濃厚接触者の判断は、まだ全国自治体の保健所です。例えば富山県や北海道の自治体の保健所に判断させています。われわれは改善してくれと言っていますが改善していない。これは成田の保健所などが出張して、ここで調べればすぐにわかるので、こうした濃厚接触者に対する対応は、はなはだ不十分だと思います。

奥野事務局長
 18日に3千人4千人来日と言っていますが、検疫でのマンパワーが足りていないのではないかと思う。実際に一斉に来日された時に、きちんと機能するかどうか非常に心配。
 民間から一時雇用で対応すると言っていますが、その方々のワクチン接種は1回目は終わっているようですが、2回目の接種も進んでいない。2回打たないとデルタ株にはなかなか効果が上がらないようですから、そういった準備不足もあります。
 また山井さんが指摘されましたが、(手荷物受け取りのあとは一般の方と導線が同じで)バブルになっていない、穴があります。これもおそらくマンパワー不足が原因ではないかと。
 こう言うと語弊があるかもしれませんが、組織委員会なども「完全じゃない」という言葉をおっしゃっていたけれど、結局、予算不足、マンパワー不足ということで「やむなし」ということで、やっておられるように見えた。そこが穴になって大事に至らなければいいなと思います。

杉尾議員
 羽田空港も成田空港も見させていただきました。
 現場の皆さんは本当に頑張っていらっしゃる。検疫、入管、税関と頑張っているのですが、そこから出た後、その先は誰が全体を見ているのかというと、これは空港会社だという話になり、結局縦割りのまま、いまに至っても全体的な司令塔というのが見えない。これが1点目。
 いまのこの状況を見ても、どう考えても一般客と関係者が混ざり合う状況なので、総理が視察で「完全に一般の方と離れ、接触をしない対応になっていた」と胸を張っていましたが、あれはまったく事実ではない。
 ちゃんと事実を国民の皆さんに分かっていただいて、その上で、まだいまなら改善できるところがあると思いますので、早急に改善すべきところは改善していただきたい。

谷田川議員
 新型コロナ対策というのであれば、もう少し導線の部分で改善の余地があると思うので、しっかり予算を投入して、導線をしっかり分けるということを再度検討してもらいたい。

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検査で陰性を示す紙。これを持って入国審査に向かう