衆院内閣委員会で28日、閉会中審査がおこなわれ、「立憲民主・無所属」会派から玄葉光一郎議員が質疑に立ちました。

 冒頭、玄葉議員は「第5波の感染拡大が止まらない」と27日に記録した過去最多の感染者数に危機感を示し、西村経済再生担当大臣に現状の分析と評価をただしました。西村大臣は「首都圏3県を含めて、感染者が1.5倍に増え、危機感を強めている」と述べ、人出が増えている影響が背景にあり、クラスターが多様化していると説明し、飲食店への呼びかけとテレワークの継続を求めていく考えを示しました。

 一方、玄葉議員は菅総理が27日の会見で「人流は減っている」と発言した根拠について、「感染拡大の要因は酒類ではなく、人流の多さではないか」と西村大臣に疑問を呈しました。西村大臣は東京は若干減少傾向にあり、東京オリンピック開催中の首都高速道路の値上げ措置によって交通量が減ったなどと説明しましたが、具体的なデータは示されませんでした。

 続いて、玄葉議員は菅総理が会見で発言した「重症化リスクを7割減らす新しい治療薬」について、山本厚生労働副大臣に説明を求めました。山本副大臣は政府が特別承認したコロナ感染症治療薬「ロナプリーブ」(中外製薬)に関し、重症化リスクがある軽症・中等症の患者らに投与し、重症化の抑制につなげる考えを示しました。

 また、玄葉議員は山本副大臣に治療薬「イベルメクチン」の承認状況を確認し、「有事なのに平時の厚生行政がおこなわれているのではないか。党派を超えて解決していかないといけない」と指摘し、超党派で進めていくべきと提言しました。

 さらに、玄葉議員は西村大臣に29日にも神奈川、埼玉、千葉県知事が政府に緊急事態宣言を要請する見通しを確認したうえで、「決め手がない。全体としての人流が減らない。政府がメッセージを出しても通じないのではないか」と懐疑的な考えを示しました。

 これまでの政府の対策を振り返り、玄葉議員は「菅総理は『ワクチンを1回接種する国民が40%を超えると感染者数が少なくなる』と繰り返し、7月末までに50%を目指すと発言してきたが、国民の接種率が36.9%に達した現在、感染者数は減らなかった。国民に誤解を与える。2月から4月の欧米の状況が今と違うのはデルタ株の影響がなかった」ことだと指摘し、西村大臣や河野大臣から菅総理に発言の訂正を検討するよう進言することを求めました。

 その上で玄葉議員は、「政府の対策はワクチン一本足打法と言われているが、間に合わない。デルタ株の感染力が厳しいという認識に立った対策をとって、メッセージの出し方も工夫してもらいたい」と今後の抜本的な政策を要請しました。

 福島県選出の玄葉議員は「復興五輪はどこへいった」という声が寄せられていると述べ、東京オリンピックの本来の目的は被災地の情報発信と風評対策を後押しすることだと主張し、世界のトップ選手たちが食事する選手村での県産品の安全性の情報発信を丹羽文部科学副大臣に強く要請しました。

 また、韓国政府が五輪選手村の食事に福島県産食材が使われることへの懸念から、選手団に給食センターを設置し、メダリストに贈られるビクトリーブーケの花に放射能の懸念を示した韓国メディアによる報道を取り上げ、「言うべきことを言わないと、風評被害が拡大する。IOCに抗議して、厳重注意を求める」と外務大臣経験者として、坂井内閣官房副長官に政府の対応を強く求め、質疑を終えました。

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