参院議院運営委員会で30日、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の対象地域の追加等について政府からの事前報告と質疑がおこなわれ、立憲民主党から議院運営委員会野党筆頭理事を務める吉川沙織議員が質疑に立ちました。

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 西村康稔経済再生担当大臣は、一日あたりの新規感染者数が全国で1万人を超え、中等症から重症に近い患者が増え、医療のひっ迫が懸念されること等を挙げ、(1)神奈川、埼玉、千葉、大阪の4府県に8月31日まで緊急事態宣言の発出(2)北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県へのまん延防止等重点措置の適用(3)東京都、沖縄県への緊急事態宣言の8月31日までの延長――の方針について同日午前の基本的対処方針分科会で承認されたと報告しました。

 吉川議員は、新型コロナウイルスの感染状況について感染力が強いデルタ株への置き換えが進んでいることに触れ、この状況に対応して対処方針を変更した部分があるかをただしました。西村大臣は協力金の早期支給、酒類の「路上飲み」禁止の徹底、職場・大学・診療所等への抗原検査キットの配布を通じた検査の拡充を挙げましたが、吉川議員は、それらは従来から実施していることであり、新たに追加された事項はほとんどないと指摘しました。

 また、20代から30代で新規感染者が増えている原因をどのように分析しているかを問いました。西川大臣は、自粛疲れもあり繁華街などでの人出の増加、症状が風邪に似ていて検査を受けていないため感染に気が付かずに行動しているのではないかと話したところ、吉川議員は、40代、50代の現役世代も仕事等のために活動しているのは同じで若年者に固有の理由ではないと指摘し、政府が根本的な原因を把握していなことを批判しました。

 次に、政府がアストラゼネカ製のワクチンを原則40歳以上に接種することを決めたことを取り上げ、さっそく自治体から今まで使われていなかったワクチンを使用することへの不安の声が上がっていることを紹介し、(1)なぜこのタイミングで使うことになったのか(2)メリットだけでなく副反応などのデメリットについても説明すべきではないか(3)海外では接種対象が50歳以上の国もあるが日本ではなぜ40歳以上としたのか――をただしました。西村大臣は、厚労省の予防接種に関する専門部会でワクチンのマイナス面も考慮したうえで使用が了承されたと説明しました。

 吉川議員は、感染状況に切迫しているとの認識を共有し、国民に協力をお願いするにあたって、総理自身が説明すべきだと述べ、同日も政府・与党が総理の委員会出席を拒否したことに苦言を呈しました。

 最後に、野党4党は16日に憲法第53条に基づき、臨時国会の召集要求をおこなったことを取り上げ「国民には緊急事態宣言の発出、延長・解除を繰り返して、政策決定の適切性や効果についての疑念のみならず、諦めの空気が広がっている。社会全体が共通の危機感を共有し、対処することが求められるからこそ、国会を開き、与党か野党かは関係なく問題点や課題を明らかにして対応策を議論し、必要に応じた立法措置をおこなうことが必須」と述べ、憲法に基づく要求が出されている以上、内閣は召集義務を果たさないといけないと念を押し、臨時国会の開会を改めて求めて質疑を終えました。

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