参院政治倫理審査会は12月18日、自民党の裏金問題について吉川沙織、木戸口英司各議員が質疑を行いました。

■吉川議員の太田議員に対する質疑

 吉川議員は、参院で2月27日に審査申し立ての趣旨説明を行ってから「ここまで時間がかかった理由」について確認しました。太田議員は「政倫審の議論が還付金を再開したことについての議論に集中していたこと等、私のように経緯をあまり知らない者が出ていくことは控えたほうがよいと考えた」と発言しました。

 吉川議員は「いろいろな立場の人から伺うことで構造的な問題が明らかになる」と述べました。

 吉川議員は「還付金を認識していたか」太田議員に確認したところ「認識していなかった」と答え、2020年11月初め頃に、認識に至った経緯について説明しました。

 吉川議員は今回、参院政倫審への出席の申し出があった議員が全員女性であったことについての感想を太田議員に求めると「今回、説明責任を果たしたいと思っている」と述べるにとどまりました。

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■木戸口英司議員の松川議員に対する質疑

 木戸口議員は裏金問題をめぐる派閥幹部の態度、責任の取り方などについての所感を求めました。松川議員は「それぞれの幹部の先生方は真摯に説明したと思う」「本当に分からないというならば、さかのぼって調査すべきだったという思いはある」「重い処分は十分に受けたと思っている」と、国民の受け取り方とは大きく齟齬のある回答をしました。

 2022年4月幹部会合において還付を決めたことについて、清風会会長の世耕前参院議員が各議員に連絡したとする件については、松川議員は「記憶にない」を繰り返しました。

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■木戸口議員の森議員に対する質疑

 木戸口議員は当初、自民党の参院政倫審への出席予定者がいなかったことに言及。結局は4名の議員が出席となったことを踏まえ、「党から説得があったのか、それとも他の出席者と申し合わせをしたのか。来年の参院選への影響を意識したのか」と質問しました。森議員は、「いずれもない」としつつ、参加を決めた背景について「当初は(裏金)問題の経緯を知らない私が出席しても意味がないと思っていたが、有権者から多くの意見をもらう中で、説明責任を尽くそうと考えた」と回答しました。

 また、回答中に森議員が「問題の経緯を知らない」と発言したことについて、木戸口議員は「自分から知ろうと思って動いたか」と質問。森議員は「動いたが、誰からも納得できる回答をもらえなかった」と述べました。

 質疑の最後、木戸口議員は森議員がパーティー券販売のノルマを達成していなかったにも関わらず、ノルマの超過分として派閥から還付金を受け取っていたことに言及。収支の管理は秘書が行っており、森議員には報告がなかったと説明していることについて、「ノルマ達成がない中で還付があったら秘書としては驚きではないのか。議員に報告がなかったというのは本当か」と質問しましたが、森議員は従来通り、報告はなかったとの説明を繰り返しました。

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■吉川議員の山谷議員に対する質疑

 吉川沙織議員は冒頭、閣僚等も経験していることを踏まえても説明責任を果たすことは重要だとして明確な答弁を求めたいと語りました。山谷議員は5年間で2400万円を還付されていたものの、政治資金収支報告書に記載していなかったことを自らのSNSでも明らかにしています。

 還付というしくみがあることを知った時期を吉川議員が確認したのに対し山谷議員は「いつの時点というのは明確な記憶がない」としたうえで、パーティノルマを納めるなかで知るに至った旨を語りました。

 ノルマの額については平成30年が366万円、令和元年が400万円、令和2年が200万円、令和3年が200万円、令和4年がゼロだと吉川議員は説明。令和2年・3年はコロナの影響で半額になり、令和4年は選挙の年であったのでゼロになったとの説明がありました。吉川議員はノルマを超えた分が還付されたのかを確認したのに対し、「ノルマを超えた分が還付された」と明言。いつから不記載だったかについては、「いつからかは明確ではないが、ここ数年やっとノルマを超えることができた」ことによると述べました。また、不記載という認識はなく、派閥の事務局幹部から「記載の必要はない」との指示に基づき、秘書が処理してきたと述べました。「秘書のせいにするつもりはないが、ベテランの事務局幹部から記載しなくていいと言われると従ってしまいがち」と語りました。

 吉川議員は清和政策研究会の記録を見ると、改選議員全員の支部に200万円の寄付があったのがその後は寄付がなくなっていることも問題視。「まだまだ明らかになっていないことが多いのかもしれない」と吉川議員は述べ、国会として真摯に議論をして解明すべき事項があればしていきたいと述べました。

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