長妻昭厚生労働部会長らは25日、国会内で田村厚生労働大臣に「新型コロナウイルス感染症による自宅死を防ぐため在宅医療をはじめとする医療提供体制の大幅強化等を求める緊急要請」を手交しました。申し入れには、川内博史政務調査会長代行、山井和則、中島克仁、稲富修二、尾辻󠄀かな子各衆院議員が加わりました。
要請は、新型コロナウイルス感染症の感染者数が急増し医療がひっ迫したことにより、受入れ先がなく在宅療養を余儀なくされている患者が増えていることを受け、次の5項目を緊急に求めるものです。
1.外来のみならず、在宅での抗体カクテル療法の使用条件等について、医療看護下であれば自宅でも使用されている米国など国外の諸状況を調査の上、自宅死が相次ぐ日本の現状に鑑み、速やかに検討し、使用を認めること。
2.在宅の新型コロナウイルス患者の命を守るために、在宅医療の専門チームを全国各地で構築するなど、在宅医療体制を大幅に強化すること。その際、医師確保のために往診・訪問診療等の報酬を大幅に引き上げること。
3.医療体制が特にひっ迫している地域には、全国から医療従事者のマンパワーを結集し、国有地・公有地に臨時の医療・宿泊療養施設を設置するなど、医療を受けられる体制を早急に整備すること。
4.オリンピック終了によって空いた選手村やホテルの一部、医療施設や療養施設について、パラリンピック閉幕を待たず可能な範囲で、新型コロナウイルス患者のための臨時の医療・宿泊療養施設として速やかに転用すること。
5.両立支援等助成金 育児休業等支援コース 新型コロナウイルス感染症対応特例の上限を撤廃し、個人事業主も含め、小学校休業等対応助成金・支援金同様に賃金相当額の支給を実現すること。
新型コロナウイルス感染症による自宅死を防ぐため在宅医療をはじめとする医療提供体制の大幅強化等を求める緊急要請.pdf
長妻部会長は、緊急要請について「必要な医療が受けられず、助かるはずの命が助からないという最悪の事態を招かないために早急に取り組んでほしい」と趣旨を説明し、「臨時の医療施設の整備についは、医師、看護師がリモートで対応すること、パラリンピックの開催中でも空いているところもあるので、そういうところも使うことも検討して早急に対応していただきたい」と要望しました。
田村大臣は要請について、「われわれも同じ思いのところもたくさんある」と述べ、感染力の強いデルタ株の抑え込み、医療提供体制の確保に取り組みたいと応じました。
稲富議員は、抗体カクテル療法をぜひ自宅で療養している人にも提供できるようにしてほしいと訴えました。
尾辻議員は、感染の更なる「延焼」を抑えて「鎮火」が必要だとし、そのための議論をしっかりするために、改めて国会の開会を求めました。
中島議員は「抗体カクテルは早期に投与すればそれだけ効果が高いということを実際に聞いているので、自宅で入院調整で待機している方にも迅速に使える体制を整えることが、その先の医療ひっ迫を防ぐ一番の手立てになると思うので、早急に対応していただきたい」と話しました。
早稲田議員は、デルタ株の感染拡大で子どもたちの感染が急増し、夏休みの延長、臨時休校が広がり、保護者から不安の声が上がっていることを紹介し、小学校休業等対応助成金・支援金を復活させることが重要と説明しました。現在は両立等支援金があるが、上限が1人5万円、1事業所あたり10人までとなっており、対象が非常に狭く、周知徹底もされていないことを挙げ、「ぜひ対象拡大、上限を撤廃して、フリーランス・個人事業主の方にも使っていただけるようにしていただきたい」と話しました。
山井議員は、同日の衆院厚労員会で田村大臣が外来での抗体カクテル療法を検討すると答弁したものの、在宅での使用について言及しなかったことは非常に残念と指摘しました。そして、抗体カクテル療法は軽症者向けの治療法だが、軽症者は入院できず、かつ多くの方は外来に行かれずにいるのに、外来に来られる人しか抗体カクテル療法を使わないということは「総理の言っていることと矛盾している」とし、「先進的な24時間訪問医療をやっている地域もあり、そういうところでは早急に、在宅での抗体カクテル療法を認めるべきだ。これが1日遅れたら救える命が減る」と訴えました。