枝野幸男代表は20日、遊説先の千葉県我孫子市で記者団の取材に応じました。

 枝野代表は衆院議員の任期満了まで約1カ月となる中、総選挙に臨む意気込みを問われ、「4年前の選挙の直前に一人から立ち上げた政党で、定数の過半数を超える候補者を擁しながら、他の野党の皆さんとも連携して総選挙を戦えることは大変ありがたいこと。国民の皆さんの関心の高まりをしっかりと受け止め、ここから2カ月弱となると思うがわれわれの考え、訴えを広げていきたい」と述べました。

 与党側から菅総理の後継の首相指名選挙をおこなう臨時国会を10月4日に召集する方針が伝えられたことを受け、「どのような審議を求めるか」との質問には、「隠す・ごまかす・説明しない安倍・菅政権から変わっているかどうかを示す1つの試金石だと思っている。この説明しない菅政治から変わるのであるならば、当然予算審議でしっかりとした実質審議に応じていただけると確信している」と発言。

 自民党総裁選での各候補の論戦についての所感を求められると、「見ていない。あくまでも党内の話であって、どなたかが総裁になって自民党の公約になって初めて意味を持つ」と答えました。

 立憲民主党のコロナ対策についてあらためて問われると、「一貫して申し上げている通り、そして具体的な法案も出している通り、水際対策の徹底。10日間はしっかりと国の管理で隔離・保護させていただく。それからPCR検査を気軽に受けられる状況を作る。そして補償はセットでおこなう。この3つが柱だ」と主張。自民党との違いについての質問には、「3つともわれわれがいくら繰り返し訴えてきても、まったくやらないどころか、むしろ事業者をつぶれるに任せ、検査は実態まったく広がらず、感染ルートも追えず、水際対策は逆に緩めている。まったくやるべきことと逆行している」と指摘しました。

 遊説日程についての問いには、「各地の受け入れ状況と、わが党の候補者の擁立状況といったものを総合的に選んでいる。昨日(19日)は地方で、わが党で足場のしっかりしている、ただし現職も完全に抜け切れているわけではないので、てこ入れをしておきたいということ。千葉は新人中心に、新人だが現職を倒してひっくり返せる地域。それぞれ事情は違うが3つくらいの戦略の中で組み合わせてやっている」と述べました。

 無党派層が多いと言われる都市部での感触を問われると、「買い物の行き帰りの方、駅でのコンコースを通行される方を一番よく見るが、立ち止まり方や、忙しくて立ち止まることはできずにこちらを見ていただく方の感触は4年前の10月5日頃の雰囲気に非常に近いと思っている」と述べました。

 自民党の総裁選挙一色になっていると指摘されるマスメディアの報道状況についての見解を問われると、「それはむしろ有権者の皆さんが報道機関の皆さんをどう思うかが一番大事。報道機関の皆さんにこそ、いろいろ考えていただくこと」だと指摘。こうした状況での党の取り組みについては、「あちらが、ある意味ではメディアでの露出量が異常に高くなっているときに、同じ土俵で勝負してはいけない。こういうときにこそ地上戦をしっかりやるということ。都市部での地上戦は、街宣車を流したり、ビラを投函したり、いわゆる辻立ちを繰り返すということを含めて、しっかりと地に足の着いた活動量で、メディアの露出量に対抗する。日頃必ずしも強くない仲間が多いので、こういうときにこそしっかりと稼いでおくことが大事」だと述べました。

 野党の支持率が伸びていないとして「追い風を起こすためには何が必要と考えるか」との質問には、「風で選挙をやらないとずっと4年間申し上げている。いい候補者は地域で地に足付けて、政党支持率に関係なくしっかりと戦っている。一般的に野党の支持率は、支持率が高いから選挙に勝つのではなく、選挙に勝つから支持率が上がる。歴史的にはっきりしている」とコメント。野党共闘が課題になっている地域があることには、「すべての選挙区で野党を一本化するとは、はじめから言っていない。各党ともそれぞれ違いがあるから別の党。全国で50から100くらいの接戦選挙区で一本化できればいい。すでに全国ではそういう状況になっている」と述べました。

 政府は17日、新型コロナウイルス感染症の新たな水際対策措置を決定、デルタ株など8つの系統の変異ウイルスについて、重点的な水際対策が必要な44の国と地域を指定し、日本に入国する人には検疫所が管理する宿泊施設で3日間待機するよう求めると発表しました。この件の受け止めをあらためて問われると、枝野代表は「停留措置の対象自体が限定された感染拡大地域にとどまっていて、それではそもそもが『ざる』。変異株は感染地域の指定の前に入ってきているのが過去の実績で、すべての国を対象にしないと意味がない。短縮するというのは、変異株で第5波を生んだと、ご自身たちが言っているわりには、言っていることとやっていることが逆行している。国民の命を脅かす、逆行する判断だ」と批判しました。