枝野幸男代表記者会見(#政権取ってこれをやるVol.9)

2021年10月7日(木)15時01分~15時37分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/yIs0-NrdVnY


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○「#政権取ってこれをやる」第9弾 若者の未来を創る政策プラン

【代表】
 私のほうから、まずは「#政権取ってこれをやる」のバージョン9、自民党では実現しなかった「若者の未来を創る政策プラン」を発表させていただきます。いわゆる若い世代の皆さんが直接的に関連する政策を束ねました。その主なものとして7項目をご紹介させていただきます。
 1点目に、国公立大学の授業料を半額まで引き下げます。
 二つ目に、私立大学生や専門学校生に対する給付型奨学金を大幅拡充いたします。
 三つ目として、ひとり暮らし学生への家賃補助制度を創設いたします。
 4番目、ポスドクや大学院生の処遇を改善いたします。
 5番目として、ヤングケアラーの早期発見と支援体制を構築いたします。
 6番目として、同一価値労働同一賃金の法制化をして、雇用の安定化をいたします。
 7番、派遣法の見直しなどで、原則として、希望すれば正規雇用で働ける社会を実現いたします。
 必ずしも若者が直接の当事者となる機会の多い政策はこれだけではありませんが、特に若い世代、特に学生あるいは初めて仕事に就くといった皆さんが、安心して学び、研究し、働くことができる、その構造が特にこのアベノミクスの9年近くの間にさらに脆弱化してきていると思っています。これはアベノミクスを否定して方向を大転換しなければできないことだと思っておりますので、「政権取ってこれをやる」のバージョン9としてまとめて発表させていただくことといたしました。

○年金振込通知書誤送付問題について

【代表】
 きょうの予定されていたテーマはこれでありますが、一点。日本年金機構の年金振込通知書97万通が誤記載され誤送付されていたと、間違った宛名で間違ったところに送付されていたという件が明らかになりました。
 年金に対する信頼は、「消えた年金」の問題によって大きく傷つけられました。安倍総理は一人残らず解決するとおっしゃっていた、その話もうやむやであります。さらに、年金に対する信頼、あるいは年金に関するさまざまな通知等に対する信頼が覆される事態となりました。まさに政府として、岸田総理みずから強い危機感を持ってこの問題に当たっていただかなければならないと思っております。
 当然のことながら、国会においてご報告いただき、質疑をさせていただいて、事実関係、そして善後策、しっかりと政府としてご説明をいただき、国会としての役割を果たしていかないと、もともと信頼が傷つけられている年金であります。ますますその信頼が損なわれるということを食いとめなければならないと、強く政府に対し求めてまいりたいと思っております。


■質疑

○「#政権取ってこれをやる」第9弾について(1)

【日本経済新聞・中村記者】
 若者向け政策について伺いたい。「国公立大学の授業料を半額にまで引き下げ」とあるが、これについて、あまり詳細にはというところもあるとは思うが、ロードマップでいつごろまでに実現するとか、国公立大の授業料を下げると国公立大学の経営に直結するが、運営費交付金など、実施に向けての具体的な詳細をもう少し伺いたい。

【代表】
 まず、これとは別に、経済の下支え、裾野を支えるという意味でも、国立大学の運営費交付金は増額する、そして大学経営を安定化させるということを既に発表いたしております。当然のことながら、授業料収入が減る分は、それとは別に運営費交付金を各大学にお支払いするということが前提であります。
 これから総選挙ですと、令和4年度に間に合わせるのはなかなか困難かなと思いますので、その辺は政権をお預かりした段階で財務当局等ともご相談をさせていただき、遅くとも令和5年度には実施をするというふうに思っています。

【日本経済新聞・中村記者】
 関連で、財源の見通しは現状立っているか。

【代表】
 これは、皆さんなぜか野党にだけは個別政策ごとに財源の裏づけというふうにおっしゃいますが、全体の予算編成の中で最優先で確保していくことの一つであるということであります。

【「フランス10」・及川記者】
 若者政策と言う場合、ロスジェネ世代も含まれると私は考えている。ロスジェネ世代は、一番上の世代が47歳、あと13年で60歳になってしまう。年金も入っていらっしゃらない方もいるだろう。幾つかの試算によると、ロスジェネ世代が年金受給世代になるとき、生活保護の申請を多数することになり、制度が崩壊してしまうのではないかという危機感も持たれている。ロスジェネ対策は若者に含まれるのか、どのようなロスジェネ対策を考えていらっしゃるのか伺いたい。

【代表】
 まず、きょう丁寧に申し上げておりますが、若者が主に当事者となる政策の中で主なものをピックアップさせていただきました。ただ、この中で「同一価値労働同一賃金の法制化」、それから「希望すれば正規雇用で働ける社会を実現」、これは世代を問わず、まさにロスジェネ世代の皆さんが一番雇用の不安定な状況でご苦労をされている方の多い世代でありますので、これはダイレクトにそうした世代に効く政策だと思っています。
 同時に雇用政策として、職業の訓練、その訓練をしている間あるいは職業・仕事を探している間の生活支援、そして仕事のマッチング、これをさらにパッケージ化して全体の流れとして支えられるような仕組みというものを構築しなければならないということを、雇用政策の一環として掲げていきたい。これも今、足元でそうしたことを必要とする方はロスジェネ世代に多いと思っています。
 そして、この世代の皆さんが、今の年金などの状況のまま、いわゆるリタイアをした状況のときの対策は今から準備を進めておかなければならないと思っていますが、これは半年、1年という話ではありませんので、まさにそうしたご指摘のような事態が危惧されることを前提に、やはり年金の最低保障機能を高めるというようなことは急ぎ進めていきたいと思っています。

【NHK・佐久間記者】
 個別のことではなく全体の若者政策のことで伺いたい。授業料を減らしたり家賃手当を出したりと、金銭面の手当の政策が多いかと思うが、若者世代を取り巻く経済状況を代表はどう捉えているのか、全体としての問題意識を教えていただきたい。

【代表】
 やはり若者世代においては社会全体の問題である格差とその固定化が顕著にあらわれている。当事者の皆さんがどれぐらい主観的に認識されているかどうかは別として、その問題が如実にあらわれていると思っています。学ぶ意欲と能力を持ちながら学ぶことができない方、あるいは学校を卒業した直後の就職採用の時点で正規雇用を希望して得られた方と、希望しながら正規雇用を得られなかった方ということで、一気に経済的な格差も生じてしまう。親の世代からの格差の固定、そして当事者としても若い世代において一定格差が固定化されてしまうリスクが高いということは、個々の若い皆さんの当事者としての問題であると同時に、社会全体の活力にとっても大変深刻な状況であると。意欲と能力のある方がどなたでも学べる、そして若い時代の選択で一種格差のようなものが固定化されないという流動性のある社会をその点ではつくっていかなければならないと思っています。

【東京新聞・我那覇記者】
 「ヤングケアラーの早期発見」について伺いたい。なかなか本人が問題だと感じていないようなケースもあり、なかなか表面化しづらいこともあろうかと思うが、早期発見の具体的な方法として何か現時点でお考えがあるかお聞きしたい。

【代表】
 特に、若いといっても、学生、小学生ぐらいからそういった実態があるというふうに言われています。小学校・中学校・高校などにおいて、何でもかんでも学校の先生に頼るというのは、これは我々適切ではないと思っている一方で、やはり日常の生活等について、ヤングケアラーですから家族の中からの問題提起がなかなか期待できないということの中では、特に義務教育である小学校・中学校などにおいて、しっかりとそうした実態のあるお子さんがいないのかどうかということをやはりアンテナを張る、それに対してしっかりと支援をする、この体制が早期発見のために必要だと思っております。高校に通いながらという方も十分あり得ますから、そういった方についても、高等学校などについても、一定のご協力と支援を学校に対していくことというのがやはり一番の大きな窓口になり得ると思っています。

【毎日新聞・宮原記者】
 同じくヤングケアラーの部分で、「支援体制の構築」ということだが、金銭的な支援とか人材的な支援とかいろいろ考えられると思うが、具体的に支援体制というのはどういったところか。

【代表】
 率直に申し上げて、これはようやくメディアの皆さんも含めて、せいぜいここ数年、この問題が指摘されています。従来からあったのだと思いますが、そうした状況の中で、現状、残念ながら全体像は誰もわかっていないと思っています。どれぐらいの規模であるのか。そして、そうした皆さんがどういう生活実態にあるのか。まずそれを把握しないことには全体像をつくり上げること自体が困難だということで、まずは早期発見ということを掲げています。
 その上で、発見できたところはすぐに対応していかないと、まさに若いほど、子どもたちほど、将来に大きな影響を与えます。そうした意味では、お金の面で解決できる部分は大きくはないと思っています。実際にヤングケアラーで保護者となるべき方が介護等を必要とされているような場合、子どもたちに、若い世代にケアを依存せざるを得ないような構造の場合、お金を使って外部にいろいろなことをお願いすること自体が困難な状況であるというふうに見るべきでありますので、これはやはり直接的な現物給付が必要であると。
 ただし、それは相当なエネルギーが要りますし、規模感をつかまないと、どういうことができるのかということがなかなか現時点は誰も判断できないというのが正直なところだと思います。発見をして、まずそのことに対する対応を順次進めていきながら、全体構造をできるだけ早期に把握して、それに見合った体制をつくりたいと思っています。

【朝日新聞・吉川記者】
 「国公立大学の授業料を半額まで引き下げ」だが、私立大学は含めずに国公立大学にした理由、考え方というのを、今までも述べていらっしゃるとは思うが、改めてお願いしたい。

【代表】
 財源の問題などを考えなければ、やはり多くの先進国で、大学教育、高等教育まで完全無償化している国もないわけではありませんから、それが望ましいとは思います。ただ、一方で財源の問題がある中で、せめて選択肢をつくりたい。
 少なくとも40年ぐらい前は、国公立大学と私立大学では初年度納付金に相当差がありました。2倍とか3倍というレベルを超えた、もっと大きな差がありました。そうした意味では、経済的に必ずしも豊かでない家庭であれば、国公立ならば授業料の負担が小さいという選択肢があった。この選択肢が事実上この30、40年の間になくなってしまっているのは深刻な問題だと思っておりますので、まずここから始めたい。
 そして同時に、学部・学科の事情とかさまざまな事情で私立大学をどうしても選択したいという意欲と能力のある若い人も当然いるわけですから、そこについては給付型奨学金を2桁レベル以上大幅拡充することで手当もしっかりとやっていくということで、まずはやらせていただきたいと思っています。

○連合について

【フリーランス・宮崎記者】
 一部で報道が出ているが、先ほど連合の芳野新会長の記者会見があり、私も出てきたが、そこで共産党との連立政権に関する閣外協力の枠組み合意に関して否定的な発言があった。また、その枠組み合意をしてからのこの1週間の間に、連合推薦候補の陣営に共産党が入り込んで政策を共産党の政策にねじ曲げようとする動きが現場ではあると地方連合会から報告されており承知していると、そういうような発言があった。すごく和やかな記者会見だったので、それを聞いてびっくりしてしまったが、そういった認識があるということのようだ。それで、岸田総理とは会ったことがなく、枝野代表とは名刺交換も含めてお会いしたことがないと芳野会長はおっしゃっていたが、もう31日が投票日だが、連合会長とのこの意見の埋め合わせというのはどのようにお考えか。

【代表】
 まずは、これまでの神津会長・相原事務局長には長年にわたって大変ご尽力をいただいて、さまざまなご指導ご支援をいただいてきたことに感謝を申し上げたいと思っております。新しい芳野会長・清水事務局長におかれても、大変なご重責だと思います。特に芳野会長におかれては、残念ながら日本では初めての女性の会長ということで、そうした意味での期待も大きい中でありますので、ご活躍をお祈り申し上げたいと思っています。
 私どもも、会見のおこし等、既に届いておりますが、私どもがこの間に連合の皆さんともいろいろとご相談をしてきた方針にのっとって、いわゆる閣外協力ではなく限定的に閣外から協力をするという、連合の方針といいますか、連合としてもこういうことならばあり得るよねということで一定ご理解をいただける内容であることを芳野会長もご理解をいただいているというふうに思っています。ただ、伝わり方等、今のように「閣外協力」と省略したい気持ちはわかるのですが、でも、狭い意味での閣外協力のように事前審査などを一緒にやるとかということは全く想定していませんので、いわゆる閣外協力とは違うという実態がきちっと組合員の皆さんや国民の皆さんに広く伝わるように、さらに努力をまいりたいと思っております。
 それから、他の党の方が、あるいはそれを支援する方が、いろいろな形でいろいろなアプローチがあるということは、それは各地であり得ることだと思っておりますが、私どもとしては、連合や、あるいは一体的に選挙を戦うということで合意をしている国民民主党さんとはともかくとして、それ以外の党外の方と選挙態勢を一緒に一体となって組むということは我が候補者の陣営を含めて全く考えておりませんので、そこは党内で徹底もしておりますし、ご心配には及ばないということをしっかりとご説明したいと思っています。
 ご心配の向きがあることは理解をしておりますが、全くご心配には当たりませんし、逆に、ご心配をされているようなことについては、しっかりと連合の考え方と我々の今進んでいる方向とは一致しているということは、会見の起こしなどを読ませていただいても、こちらも安心をしています。

○基本的人権に関する憲法議論について

【IWJ・浜本記者】
 米プリンストン大学の真鍋淑郎氏がノーベル物理学賞を受賞し、多くのメディアが日本人の受賞と報じているが、真鍋さんは米国籍で、本来は日本生まれの米国人と報じるべきだ。この国籍離脱の自由等について質問したい。現在自民党の政調会長である高市早苗氏は9月26日のネットでの総裁討論会で、居住・移転の自由、職業選択の自由、外国への移住、国籍離脱の自由を定めた憲法22条にも制限を加えたいと発言している。これは真鍋さんのような方に国籍の離脱を許さないと言っているようなものだ。憲法22条と財産権を定めた憲法29条は経済的自由権を保障する重要な条項だが、その経済的自由権を制限するに等しい高市氏の発言について大手メディアは大きく取り上げず、ほとんど見過ごされている。また、高市は22条だけではなく、人権保障の基本原則を定めた憲法12条、表現の自由の根拠条文である21条の改憲にも言及している。人権、表現の自由、経済的自由といった私権を尊重する憲法の各条項に制限を加えたいと発言していることは大変大きな問題だと思われる。これら三つの条項の安易な改憲の発言について、枝野代表及び野党共闘はどのようにお考えか。また、このような改憲発言を公言している高市氏を政調会長に起用した岸田総理・総裁の判断をどのようにお考えになるか。

【代表】
 現在の日本国憲法においても、基本的人権(の制約)は公共の福祉の名のもとで許されています。社会的に必要のある制約は現行憲法下でも問題なくできます。したがって、そこについて手をつける必要は全くない。憲法についての理解が乏しいと言わざるを得ません。それだけです。

○参院補選について(1)

【朝日新聞・鬼原記者】
 参議院の補欠選挙について伺いたい。山口では御党の候補は立っていないと思うが、静岡で立憲と国民民主が推薦している候補が立っている。投開票日が24日ということで、衆院選の1週間前になる。この選挙の結果で衆院選に向けた追い風になるなり逆風になるなりという、いわゆる前哨戦としての位置づけもあるかと思うが、この補欠選挙の位置づけについて代表のご認識を伺いたい。

【代表】
 静岡では候補者を推薦していますので、全力で戦いたいと思っていますが、この1年ぐらい、とにかく総選挙で政権選択をしていただける選択肢となって、そういう構図の選挙をつくるということに全力を傾けてまいりました。それが目前に迫っていますので、なかなか、まだ十分な余力のある政党ではありません。とにかくこの政権選択選挙をどう戦うのかということに全力を挙げたいと思いますし、選挙の構図とか、選挙になった理由なども含めて、ちょっとこの政権選択の大決戦と構図が違うと思っています。

【朝日新聞・鬼原記者】
 静岡には共産党の候補者も出ている。野党共闘一本化ということを考えると、参院選ではあるが、その候補者調整がかなわなかったのかなと思うところもある。共産党との候補者調整について、この静岡選挙区では行われたのか。

【代表】
 詳細は私は存じ上げませんが、私が申し上げてきているのは、参議院選挙のときには、参議院選挙の前に「1人区の性格上、1人区は一騎打ちの構図をつくりたい」ということを申し上げましたが、複数区については考えていませんし、実際そうしませんでした。衆議院選挙は全てが1人区なので、逆に完全な一本化はできないという前提でできることを最大限しましょうということで、実際にそれがほぼ実現しつつあるということです。
 今回、複数区の、しかも補欠選挙だから定数1という、全く特殊な事情でありますので、参議院の通常選挙や衆議院の総選挙とは全く違う次元で物事が動いていると。私としてはそういう認識です。

○甘利氏あっせん利得疑惑について

【「フランス10」・及川記者】
 けさ泉健太政調会長にも伺ったが、「週刊文春」で今週もまた甘利明自民党幹事長のスキャンダルが報じられた。きのう、おとといと野党合同ヒアリングで追及しているわけだが、今後甘利さんの問題をどのように追及していくお考えか。代表としてのお立場からご見解をお示しいただきたい。

【代表】
 いずれにしろ、大臣をお辞めになるときに、いずれ国会でご説明されるというお話をしながら、説明がないまま大臣をお辞めになりきょうに至っておられるわけですので、その案件を含めて、その後さまざまな疑惑がご指摘される状況で与党幹事長として総選挙に臨むのはご本人も本意ではないでしょうから、我々としてはいつでも政倫審に出てきてくださいと強く求めております。当然、潔白であるならば、そういう対応をされるのだろうなと思っております。

○金融課税強化の検討について

【共同通信・小野塚記者】
 重ねて毎度聞いて申しわけないが、経済対策について伺いたい。岸田首相が金融課税強化を検討という形でおっしゃった。御党もおっしゃっていると思うが、岸田首相がおっしゃる金融課税強化の検討というのはどれぐらい実行可能性があると見ていらっしゃるか。

【代表】
 すみません、正確な確認はとっていませんが、実は、自民党政調かな、もう2年ぐらい前から金融課税強化は検討を始めているはずで、1年も2年も検討したのに結果が出せていないわけでありまして、もう2年も検討していてこれから検討ですか、やる気がないんでしょうねと。むしろ具体的に所信表明でいつごろからどう強化するのかお示しいただけるのだと期待をしています。

○「#政権取ってこれをやる」第9弾について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 「若者の未来を創る」という政策プランが、ほとんど大学に行くことがごく当たり前だということを前提条件にしているように思うが、中学卒業・高校卒業で働く人もいるので、そっちのほうにウエートを置いたほうがいいと思う。つまり、ある意味で、授業料を安くするとか奨学金ということだと、ここに経済的な無理があると。本当に大学に行って何を学びたいかということはわかっていない人たちが多い。ですから女子大学生などでアルバイトのために風俗に身を落とす方が多いと、貧乏な女性を描いている中村淳彦さんなどの本には出てくるが、要するに大学に行くばかりが能ではないというような政策を出すような意思はあるか。

【代表】
 今回発表した、若者が直接のターゲットになる、当事者になる政策七つの中でも、5番から7番までは全く大学進学を前提としておりません。特に5番のヤングケアラーは、逆に当事者は高校進学・大学進学したくてもできないという状況に置かれた方が少なからずいると認識しておりますので、決して大学進学を前提としたプランだとは思っておりません。
 それから、大学に進学することの意義については人それぞれの判断だと思っていますし、大学で何を学び、その後どうするか、私も40年前に別に明確に意識していたわけではありません。ここの大学に入ったらこういうルート、ここの大学に行ったらこういうルート、いろいろなことを考えながら、政治家になりたいとは思っていましたが、弁護士を目指したのはたまたま受かったのが東北大の法学部だったからということですので、別に明確なことが決まっていないから進学しないほうがいいとは必ずしも言えないし、あくまでもそれぞれの判断。
 問題は、大学進学率がこれだけ高くなっている中で、経済的な理由で進学を断念している人がいる。これは間違いなく多数いらっしゃる。あるいは、断念はしていないけれども数百万円単位の奨学金という名前の借金を若い人たちに負わせている。これも間違いない。これについては政治がしっかりと対応して、意欲と能力がありながら経済的な理由で断念する人をなくさなければいけないし、また、そういう皆さんに多額の借金を負わせるという社会はゆがんでいる。これは改めていきたいと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 ちなみにお伺いしたいが、私のときは大学の授業料は月1000円だった。枝野さんのときは月どれくらいだったか。

【代表】
 初年度納入金が10万円台だったと思います。入学金等の初年度納付金が、20万まではいっていなかったと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 今、国立大学の授業料は年間50万とか60万する。

【代表】
 初年度納入金は70万、80万に下手するとなる。当時の私立大学の水準と変わらなくなっている。所得水準はそんなに上がっていないというのが現実だと思っていますので、とても選択肢に、(現在のような学費水準では)例えば40年前の我が家の状況であれば国立大学という選択肢があんなに重たいウエートを持たなかっただろうなと思います。そういった意味では、今は選択肢がないという状況に間違いなくなっていると思います。

○森友問題「再調査せず」政府方針について

【日本テレビ・江口記者】
 公文書の書きかえを命じられて自殺された近畿財務局の赤木俊夫さんの奥様が、岸田総理に再調査の依頼をする手紙を送られた。それを受けて官房長官が、再調査は考えていないという考えを示されたが、その受けとめをお願いしたい。

【代表】
 人の話を聞くのが特技だと(首相は)おっしゃっているのですから、まずご当人に直接お話を聞かれるのだと、私はそれが当然のことなのだろうなと思って期待をしているのですが、「それは官房長官、違うよ」と、総理は人の話を聞くのが特技でしたら訂正されるのではないですか。それをご期待しています。

○参院補選について(2)

【東京新聞・我那覇記者】
 先ほどの朝日新聞の鬼原さんへのお答えの中で、やや重なってしまうが、参院静岡補選に応援に行く予定があるかということと、もし行かれないのだったら、その理由について確認させていただきたい。

【代表】
 今、もう10月31日に向けて、かなり日程詰め詰めに具体的に描いてしまっておりますので、ちょっとその余裕はないと思います。

【NHK・佐久間記者】
 私も山口・静岡補選についてだが、コロナや経済対策などについて岸田新首相がこの間訴えてきたことがあるが、この両補選で争点としたい、訴えたいことは何か伺いたい。

【代表】
 総選挙や通常選挙と違いますので、個別の選挙になった理由と地域事情が中心の選挙だと思っております。
 私どもとしては、総選挙の日程的にもかぶりますから、総選挙に向けて、アベノミクスをきちっと否定をして、これを改めるのかどうか、できるのは私たちだけだと。それから、この間の失敗続きのコロナ対策を、失敗をしっかり認めて改めることができるのか。そして、この間の隠蔽、改ざん、説明しない政治を変えることができるのか。この三つで総選挙に向けて戦っていくということが補欠選挙にも一定の影響を与えるだろうとは思っていますが、あくまでも総選挙に向けてしっかりと全国民に訴えていきたい。
 あとは、それぞれの地域の県連が、静岡においては静岡の県連を中心に、そうしたことをベースにしながら全力で戦ってくれると思っています。

○新内閣の顔ぶれについて

【IWJ・浜本記者】
 今回の岸田内閣の組閣を見ると、無名の人が多いと報じられている。若手議員の登用が進んだとも見受けられるが、不自然な印象もあり、一部に野党との接戦選挙区の人が大臣に起用されているという指摘もある。例えば小林鷹之経済安保大臣の千葉2区、牧島かれんデジタル大臣の神奈川17区、堀内詔子ワクチン接種推進担当大臣の山梨2区などだ。野党として個々の選挙区の情勢分析をされていると思うが、岸田内閣は臨時選挙対策内閣なのか、代表のお考えをお聞きしたい。

【代表】
 あまり有権者の皆さんがご存じのない方が多いのは間違いありませんが、それは101代内閣も同じことになります。我が党の議員でよく名前を知られているメンバーはそんなに多くありませんので、101代内閣も同じような構造になりますので、それはやむを得ないことだと思っております。
 問題は、そうした方々がたくさんいらっしゃるだけに、それぞれ個人として大臣としてどういう所信をお持ちであるのか、その所信をどう実現しようとされている方なのか、当然委員会において所信を述べていただき、その所信に対する質疑をやる、このこともなければ判断のしようがない。判断のしようがない状況で選挙を戦うんですかということであると、仮免内閣としか言いようがないのかなとは思っています。