令和6年度補正予算の基本的質疑が12月10日行われ、長妻昭、奥野総一郎、大島敦、本庄知史議員が質問に立ちました。
■長妻昭議員
代表代行の長妻議員は(1)石破総理の総裁選の公約と、首相就任後の政策との関係(2)年金改革(3)企業・団体献金禁止――等について質問しました。
長妻議員は、「来年は社会保障新改革元年にしないといけない」と主張し、(1)昭和に換算すると100年に当たること(2)2040年対策――の2つの観点で社会保障のあり方を検証していく必要があると問題提起しました。
「来年は団塊の世代の方々がすべて75歳以上の後期高齢者になり、前期高齢者と後期高齢者では、医療費が1.6倍、介護費は10倍になる。社会保障のほころびが致命傷になり、社会の分断を生むことになりかねない」との見方を長妻議員は示し、このほころびを正すことが来年の重要課題だとしました。また、2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上の年金受給開始者となることから、「団塊ジュニア世代への対応として重要なのが年金」だとしました。
そうした実態を踏まえたうえで、基礎年金が今後、実質価値で3割目減りするとされる現状を何とか止めないといけないと指摘。厚生労働省の審議会で議論されている政府が打ち出している厚生年金と基礎年金を合わせる対策案について「基礎年金が実質価値で3割下がるところを1割減で抑えようとする狙いは賛同するが、重要なことを隠してマスコミに報道させている」として、「厚生年金受給者の99.9%の受給額が増える」と報道されている点を問題視。実際には30年投影モデルではいくらになるかを厚生労働大臣に質問しました。
福岡厚労大臣は「実質1%成長を仮定した成長型経済のケースではすべての方々で給付水準が上昇する」とした一方、「実質ゼロ成長を仮定した過去30年投影ケースにおいては、2040年度までに受給される方は現行制度と比べて給付水準が低下する」と答弁、15兆円だとしました。
長妻議員は「2階部分を15兆円削ってルールを変更して、それを将来の基礎年金に当てていくということをきちんと国民に説明しないと。年金額が減る方がいる。減るけれども我慢していただいて、ルールを変えて将来世代を豊かにしましょうとお願いすることを行わないと誤解を招く」と指摘しました。
その分岐点は2040年だとしたうえで「2040年に65歳になる年金を受給される方は全員年金が増えるということで間違いないか」を長妻議員が質問したのに対し、福岡厚生労働大臣は過去30年投影ケースであればそうなると回答。長妻議員は、つまり50歳以下の人は「2階建て部分も減らずに基礎が下げ止まるので得する」との見方を示し、「ところがそれ以上の方はそうじゃない可能性がある」と分析し、「何らかの手当てをしないと世代間格差・世代間論争を生んでしまう」と指摘し、年金制度の議論の積み上げを求めました。
また、2040年まで死亡する人は全員がルール変更によって年金額が減らされるという理解でいいかを確認。福岡厚労大臣は明言を避けました。長妻議員は減らないケースの類型の委員会への提示を求めました。
■奥野総一郎議員
奥野議員は、(1)補正予算の規模(13.9兆円の予算規模について、必要性)(2)地方創生(新しい地方創生交付金の倍増の効果、地方創生交付金・重点支援地方交付金と地方交付税について)(3)給食費の無償化(石破総理も総裁選の公約にあげているが実現しないのか。文部科学省として給食費の完全無償化に取り組むべきではないか)(4)政治とカネ--について質問をしました。
■大島敦議員
大島議員は、(1)金融機関を中心とした機関投資家のあるべき姿を規定したスチュワードシップコードとコーポレートガバナンスに対する総理の認識(2)厚労省年金部会で議論が進む「106万円の壁」の撤廃により週20時間以下への「働き控え」が起こる問題(3)日本の「下請け構造」をめぐる問題と「中小企業憲章」の見直し――等について質問をしました。
■本庄知史議員
本庄議員は、(1)政府の「総合経済対策」と補正予算案の決定プロセス(2)補正予算案で積み増しされた「宇宙戦略基金」(3)税外収入の使途--について質問をしました。