【談話】政府の追加物価高騰対策決定にあたって
立憲民主党 政務調査会長
長妻 昭
政府は9日、追加の物価高騰対策を決定した。
現下の物価高騰は国民生活に多大な影響を与えており、まさに「生活氷河期」とも言える状況にあるが、今回の政府の対応は遅すぎる上に全く不十分である。
物価高騰の影響を最も大きく受ける低所得者への支援は不可欠だが、政府が決定した住民税非課税世帯への5万円給付だけでは不十分だ。住民税課税世帯であっても長引くコロナ禍や物価高騰で苦しい状況にある人は多い。国民生活の実態を踏まえ、対象範囲の拡大や給付額の増額などを図るべきである。
小麦高騰対策については、我々は4月の時点から輸入小麦の政府売渡価格におけるマークアップ分の引き下げという具体案を示してきた。今回、政府は10月期の売渡価格について4月期の価格を適用することで据え置きを図ると言うが、売渡価格は4月期に既に17.3%上昇しており、据え置きというよりは高止まりである。対応があまりにも遅すぎると言わざるを得ない。
原油価格高騰対策については、現行の燃料油価格激変緩和対策事業を年末まで延長するとのことだが、過去最高の収益を上げている石油元売り会社に巨額の補助金を投入するのではなく、トリガー条項の発動や購入費の補助など、家計を直接的に支援する方策に転換すべきである。
物価高騰による生活苦の根本的な解決には賃上げが欠かせない。しかし、中小・小規模事業者は十分に価格転嫁ができておらず、賃上げの原資でもある収益が圧迫されており、事業の継続さえ危ぶまれる状況だ。我々が訴えている事業復活支援金の延長・拡充、コロナ債務負担の軽減により事業を支えつつ、価格転嫁を促進して、雇用を守るとともに賃上げの原資を確保できるようにすべきである。
また、現下の物価高騰の要因となっている輸入物価の上昇は、その約5割が円安によるものである。為替相場は7日に一時1ドル144円台を記録し、年初時点から30円近く下落するなど、急速な円安が進行しているが、政府・日銀は何の対策も講じていない。アベノミクス以来の「異次元の金融緩和」への固執が内外金利差を拡大させ、円安を進行させていることを踏まえ、出口戦略の議論を始めるべきである。
そもそも現下最大の課題の1つである物価高騰対策を国会の審議無く予備費の支出で済ませようとするのは国会軽視であり、国民軽視でもある。我々は日本国憲法53条に基づき臨時国会の召集要求を行っており、政府は一刻も早く国会を開いて、補正予算の編成を含め、物価高騰対策について議論すべきである。立憲民主党は、来たる臨時国会で徹底的な議論を尽くし、政府の対策の問題点をただすとともに、「岸田インフレ」から国民の暮らしを守り抜くために尽力していく。