衆院予算委員会で10月17日、基本的質疑が行われ、立憲民主党の1番手として幹事長の岡田克也衆院議員が質問に立ち、(1)内閣と国会の歪んだ関係、(2)有事の邦人等保護、(3)原発とミサイル攻撃――等について、質問しました。
■内閣と国会の歪んだ関係
岡田議員は、「この10年間、特に内閣と国会の関係が歪んでいる。民主主義の根幹を壊しかねない」と指摘し、(1)公文書の適切な扱いが歪み黒塗りが多い(2)事実に基づかない国会の答弁があったこと(3)国会で確認されてきた解釈を政府が簡単に変更してきたことについて、繰り返さないという固い決意をもってほしいと岸田総理に答弁を求めました。
岸田総理は、「公文書の管理、現在および将来の国民に対して説明責任を全うする。民主主義の根幹に関わるもので極めて重要。国会の議論について真摯に丁寧に行われることが重要なのは言うまでもない」と一般論で答えるにとどまりました。
(4)憲法53条に基づく臨時国会の召集について岡田議員は、野党が20日以内に国会召集をする議員立法を提出したことを紹介し、内閣と国会の関係に一定の規制をいれる必要性について問いました。
岸田総理は、「憲法の要請は合理的な期間内に内閣として対応しなければならない。合理的期間に上限を設けるかという問題提起と認識する。与野党が議論すべきであり政府として直接申し上げることは控える」と回答を避けました。
岡田議員は、「合理的期間を内閣が判断していることが問題だ」と反論し、「もりかけ問題などは政府が答弁できない状況なので、内閣から見れば生き残るために合理的かもしれないが、民主主義からみて、合理的なのか」と批判しました。
岡田議員は、(5)経済対策が3.5兆円の予備費を使ったことについて、国会の審議を経ていない、巨額で健全ではない、備費は中毒性があると指摘し、「来年度の予算においては、巨額の予備費は置かない。歯止めをかけると約束してほしい」と岸田総理に求めました。
岸田総理は、「その時々の政治課題に応じて、機動的に責任を果たすため」に必要と答えました。
■有事の邦人等保護
岡田議員は、安全保障に関連して、邦人等の保護の問題を取り上げました。シェルターの確保が十分ではなく、今年の5月に東京都等で緊急の一時避難施設として、地下鉄の駅が指定されたことに触れ、「基本的には自治体にお願いする仕組みでは進まない。国がもっと主導権をもって仕組みを再構築」すべきと政府に求めました。
岡田議員は、朝鮮半島有事等で、日本人や外国人、さらに多数の避難民が日本に来ることが予想できると述べ、「日本国内で受け止める覚悟と準備ができているのか」と政府に問いました。岸田総理は、「邦人等保護は政府にとって重要な責務の一つ」と述べ、「安全保障環境は刻々と変化していく中にあっても、万全を期すよう検討をしていく」と述べました。
■原発とミサイル攻撃
岡田議員は、原発とミサイル攻撃について、「電力確保のためにリスクはあるが、一定の再稼働は認めざるを得ないというのであれば、国民にきちんと説明すべき。国民をどう説得するのか」と岸田総理に問いました。
しかし、岸田総理は「あらゆる選択肢を排除せず」といった従来の答弁を繰り返すだけでした。
岡田議員は、「10年前を思い出す。大きな津波はこない。専門家が可能性があると言っても来ないことにし対応を怠った。東京電力、経産省も保安院も責任がある。今、同じことが起きているのではないか」と指摘し、「ミサイル対応できない状態にも関わらず、攻撃はないだろうという前提で議論するのではなく、場合によっては、甚大な影響が出ることを想定し、安全保障の専門家の議論が必要。年内の安全保障の議論に、この問題も取り上げるべき」と政府に求めました。
さらに、岡田議員は、使用済み燃料については、更田原子力規制委員長が、乾式キャスクの方がテロ対策を考え安全性を高める手段と述べていることに触れ、早急に乾式キャスクに移すべきだと政府に求めました。
西村経済産業大臣は、「「貯蔵に関することは、独立した原子力規制委員会が一元的に所掌している。これ以上は経産省としては控える」とだけ答えました。
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