衆院文部科学委員会で10月26日、永岡桂子大臣の所信に対する質疑が行われ、立憲民主党から柚木道義、菊田真紀子、森山浩行各議員が質問に立ちました。

 立憲民主党「次の内閣」ネクスト文科大臣の菊田議員は、(1)包括的性教育の推進といわゆる「はどめ規定」の撤廃(2)旧統一教会問題に対する対応(3)東京五輪汚職と冬季五輪札幌承知――について取り上げ、政府の見解をただしました。

 菊田議員は、「教育は国家、社会の礎。親の所得格差が教育格差に直結し、学ぶ機会が失われてしまう子どもが大変多くいる。コロナ禍で10代の自殺が増えていることへの真剣な対策も求められる。教職という職場が今やブラック職場と言われるほど劣悪な環境に置かれていることも喫緊の課題。そもそもわが国の公財政教育支出の対GDP比はOECD平均より低く、子どもたちへの投資、人への投資が不十分。立憲民主党は教育・子育て予算の倍増法案を提出した。新たに『子ども・若者応援本部』(本部長・泉健太代表)を設置し、すべての子どもの育ちを応援していきたいと考えている」と表明。文部科学行政の分野では、旧統一教会問題や、東京五輪汚職、全日本私立幼稚園連合会の汚職事件など不祥事や政府の不作為の結果とも言える事案が相次いでいるとして、永岡大臣に対し「不祥事にしっかりと向き合い国民の信頼を取り戻すために大きな指導力を発揮してもらいたい」と求めました。

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 その上で、学校教育における包括的性教育の推進をめぐっては、党として24日、ジェンダー平等推進本部と文科部門会議合同で文科省に申し入れた4項目について言及。特に泉健太代表が10月5日の衆院本会議での代表質問でも取り上げた、学習指導要領における「はどめ規定」の撤廃について、性教育を実施するには「児童生徒の発達段階を考慮すること」「学校全体で共通理解を図ること」「保護者や地域の理解を得ること」「集団指導と個別指導の内容の区別を明確にすること」のハードルを越えなければならず、その判断は校長先生など管理職の考えによっても大きく左右されると指摘しました。2000年に全国平均より高かった10代の人工妊娠中絶の致死率を、県を挙げて性教育を継続的に実施することによって減らした秋田県の取り組みを紹介。しかしながら、2003年に都立養護学校で実施していた性教育を不適切だとして都議が批判し、学校や教員に対するバッシングが起こったことを契機に、裁判では「教師の裁量権に対する不当な介入」が認められ教員側は勝訴したものの、教育現場の萎縮と性教育の後退を招いたと言われているのが現状です。

 菊田議員は、「SNSなどで性に関する情報は巷にあふれているが、子どもたちは性交や妊娠、中絶等の正確な知識を持っていない。従って望まない妊娠、10代の中絶と悲しいことがいろいろなところで起こっている。身体について学ぶことは、イコール人権について学ぶこと。自分の自己決定権を持つことの大切さを、先生が委縮することなく堂々と教えられるようにすべきだと思う。その第一歩としてまずは歯止め規定を撤廃し、包括的性教育の推進に取り組んでいただきたい」と述べ、久しぶりの女性大臣となった永岡大臣に期待を寄せ、見解を尋ねました。

 永岡大臣は「まずは現行の学習指導要領に基づく指導を進めていく」「歯止め規定を撤廃することは考えていない」と答弁。菊田議員は、日本財団も提言していることにも触れ、「積極的に検討して実行していただきたい」とあらためて求めました。