立憲民主党は6月14日、衆院に「公費解体促進法案」を提出しました。
能登半島では、1月1日の地震で被災し倒壊した建物の解体が進んでおらず、生活環境へ影響や建物のさらなる倒壊による2次災害の危険性、早期の生活再建への支障などの懸念がうまれています。
公費解体が進まない理由としては、作業員の宿泊場所不足や廃棄物の処理の問題もありますが、申請の手続きの複雑さも大きな原因となっています。5月28日には、環境省と法務省が通知を出し、被災家屋で共有者が一部不明で「建物性なし」と認められた全壊建物については「滅失登記」として市町村の判断で解体ができるとしましたが、該当しない建物も多く残り、依然として手続きを阻んでいます。
そうしたことから立憲民主党は、所在などが不明な共有者の財産権にも配慮しつつ建物の解体・撤去を円滑にするために、裁判により共有者の同意を得ることなくその建物の解体・撤去を行うことができるようにするための法案を提出しました。また、対応が進んでいない半壊の建物や共有者が判明している建物についても、公費解体が進められるようにするための法制上の措置等をすべきとしています。法案の正式名称は、「令和六年能登半島地震災害により被害を受けた建物の除却の円滑化に関する暫定措置法案」です。
提出者で被災地が選挙区の近藤和也議員は、提出後の記者会見で、「能登半島では代々同じ場所に住んでいることから所有者の相続登記が進んでいない現状もある。政府ができていない部分に着手することで、一刻も早い復興をめざしたい」と提出に至った理由について説明しました。
また、長妻昭政務調査会長からは、「本来、復旧復興の障害になっている問題は政府が率先して方策をとるべきだ。立憲民主党はこれまで4回にわたって政府に申し入れをしてきたが、実現していない部分もあるので、今回立法措置を検討するにいたった。政府・与党に速やかに対応してほしい」としたうえで、「復旧・復興に向けては本来であれば補正予算でしっかり対応するべき。これだけ時間が経って、過去補正予算がなされていない災害は過去にない。予備費をちょっとずつというやり方自体が復旧・復興を遅らせている」と政府を批判しました。
また、内閣部門(災害対策)座長の杉尾秀哉参院議員は、「公費解体が決定的に遅れていて、1%程度しか進んでいない。明らかに復旧復興の妨げである。ぜひ各党にも賛同頂いて成立させたい」と意気込みを語りました。
提出には、山井和則、菊田真紀子、西村智奈美、階猛、山崎誠、森山浩行、米山隆一各議員も同席しました。
【チャート図】通知を踏まえた整理.pdf
【概要】令和六年能登半島地震災害により被害を受けた建物の除却円滑化暫定措置法.pdf
【条文】令和六年能登半島地震災害により被害を受けた建物の除却の円滑化に関する暫定措置法案.pdf