衆院予算委員会では11月29日、令和4年(2022)度第2次補正予算の質疑が終局し、立憲民主党・無所属と日本維新の会は予算を撤回のうえ編成替えを求める動議(組み替え動議)を提出、その趣旨弁明と討論の末、補正予算等が採決されました。立憲民主党など野党は予算3案に反対しましたが、与党などの賛成多数で原案通り可決されました。

 組み替え動議の趣旨弁明に立った渡辺創議員は、提出理由について「長期化する新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響など、国民生活を取り巻く厳しい経済状況を踏まえ、特に若者や子育て世代に対し、より具体的で効果的な対策を講じる必要があると考えるが、政府における対策は全く不十分。若者・子育て世代への支援を抜本的に拡充するために編成替えを提案する」と述べました。編成替えは(1)出産費用の実質無償化(2)養育費立て替え払い制度を導入(3)児童手当の特例給付の復活(4)公立の義務教育段階の子どもの給食費無償化(5)奨学金の返済減免と制度拡充――の5項目からなるもので、その財源については、財政民主主義の趣旨に反して過大に積み上げられた「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」や「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」、補正予算の緊要性の要件を満たさない支出の削減と、それでもなお不足する分については特例公債の追加発行で手当てするとしています。

 採決に先立ち渡辺議員は、政府提出の補正予算案については「反対」、立憲民主党・無所属と日本維新の会提出の組み替え動議は「政府予算の足らざるを補い無駄を削る内容になっていることから賛成」、国民民主党およびれいわ新選組提出の組み替え動議には「反対」の立場から討論に立ちました。

 渡辺議員は、今回の補正予算審議は3大臣が立て続けに辞任する前代未聞の事態が続く中で行われたと述べ、岸田総理の任命責任は重いと言わざるを得ないと批判。その上で、予算案については国民生活を取り巻く厳しい経済状況に対応するには不十分であり、特に、子育て世帯、低所得世帯への給付は、対象が狭く額も不十分だと指摘しました。予算の緊要性の観点からも、「本予算には疑念のぬぐえない経費が含まれる」と問題視。例として防災・減災・国土強靭化のための5カ年加速化対策に係る経費や、8.9兆円もの予算が基金に積み増しされていることを取り上げ、長期的計画に基づいて毎年必要となる経費や、本来中長期的な課題に対応することを旨とする基金事業に多大な額が補正予算に計上されるのは妥当ではないと述べました。さらにウクライナ情勢経済緊急対応予備費の新設に1兆円、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費を3兆7400億円積み増すなど予備費が5兆円規模となっていることに、「多様な予備費の形状は財政民主主義の趣旨を没却しかねない」と断じました。

【衆院予算委】「令和四年度一般会計補正予算編成組み替え(2022年11月29日).pdf

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