参院本会議で12月2日、2022年度(令和4年度)第2次補正予算案が自民、公明両党と国民民主党の賛成で可決・成立しました。

 採決に先立ち、「反対」の立場で討論に立った横沢高徳議員は、反対の理由として、(1)政府の対応は、その場しのぎで不合理な上に、遅すぎる点(2)財政民主主義の趣旨に反して、異常な規模の予備費を積み上げている点(3)年度内に支出することが困難なものや、来年度当初予算で措置すべきものを多分に積み上げている点(4)政府自身が危機的状況と認識している課題にすら、ほとんど取り組まれていない点――の4点を挙げました。

 横沢議員は、政府が10月28日に「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定し、それに基づいて第2次補正予算を提出したことに、「あまりにも遅すぎると言わざるを得ない」と批判。立憲民主党は3月の当初予算審議の段階から物価高騰対策の必要性を訴えるとともに、4月には緊急経済対策を取りまとめ、本格的な補正予算の編成を求めてきたとして、「当初予算の時点で組替えをしていれば、あるいはわれわれが経済対策を示して補正予算の編成を求めた4月の時点で本格的な補正予算を編成していれば、今頃、国民には支援が行き届いていたはず」だと述べました。

 自身の地元、岩手県内の高齢者介護施設や障害者支援施設では、電気代や燃料費が増える冬に向けて、7割以上の施設が経営への影響を不安視していること、また、施設で提供している給食の食材費が上がり、価格の安い食材に切り替えたり、提供する食事の量を減らしたりしていることなどに触れ、「政府の対応の遅れは最終的に国民の生活にしわ寄せがくるということを、重く受け止めていただきたい」と述べました。

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 異常な規模の予備費については、財政法第24条によると「予見しがたい予算の不足に充てるため」とあり、「総理は、わずか数カ月の間に約6兆円もの予備費が必要であるとする根拠を明らかにすべき。年度内に新たに予算が必要になった場合は、補正予算を編成して、国会審議を経ることが、本来あるべき姿ではないか」と提起しました。

 財政法第29条では、補正予算は「特に緊要となった経費の支出」とあるにもかかわらずそうなっていないとも指摘。補正予算である以上、「会計年度独立の原則」に基づき、原則として年度内の支出が可能なものを計上すべきであり、歳出予算の繰り越しはあくまで例外にとどめるべきだと主張。「政府は、あらかじめ繰り越しを想定している予算と、年度内に支出を終える予算の内訳を明らかにすべきだ」と求めました。

 また、松野官房長官が11月28日の記者会見で、今年1月から9月までの出生数が過去最少のペースで推移していることについて「危機的状況だと認識している」「結婚支援、妊娠・出産支援、男女ともに仕事と子育てを両立できる環境の整備、子育て世帯の経済的支援など、ライフステージに応じた総合的な少子化対策を進めていきたい」と発言したことに言及。立憲民主党は、こうした課題解決に有効な、政府予算の足らざる点を補い、無駄を削る組み替え動議を、日本維新の会と共同で衆院に提出したが、残念ながら否決されてしまったと述べました。  

 横沢議員は最後に、「約3年にも及ぶコロナ禍からの物価高騰、出生数が過去最少とわが国の生活や仕事の現場は『待ったなし』の状況です。国民の生活が第一、本気でこの国を立て直していかなければなりません。その熱い思いが、この補正予算からは伝わらない」と断じ、討論を締めくくりました。

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