【談話】政府の追加物価高騰対策決定にあたって
立憲民主党 政務調査会長
長妻 昭
政府は22日、追加の物価高騰対策を決定した。
対策全体を一言で言い表すならば「遅すぎる上に、的外れ」である。我々は昨年来、2度にわたり緊急経済対策を提言するなど、国民生活の実情に即した対策の実現を度々求めてきたが、今回の政府の追加物価高騰対策は、その後追いであると同時に、未だに不十分な内容に留まっている。
まず、政府は低所得世帯への3万円給付を決定したが、相も変わらず対象は住民税非課税世帯が想定されている。長期間にわたり続いたコロナ禍、足元の物価高騰により、多くの世帯で暮らし向きが厳しくなっている現状を踏まえれば、我々が昨年時点で訴えていたように、住民税非課税世帯の2倍の水準の世帯にまで給付を実施するなど、対象範囲の拡大を図るべきである。
また、低所得の子育て世帯に対しては、子ども1人あたり5万円を給付するとのことだが、食費の上昇により子どもの栄養状態にも悪影響が出ている深刻な実態に鑑み、我々は先立って、同様の給付を可能とするための「『低所得子育て世帯給付金』再支給法案」を国会に提出している。予備費対応の迅速さを強調する割には、対応が遅すぎると言わざるを得ない。
足元のエネルギー価格高騰への対策も的外れだ。政府は、電気・ガス事業者への補助金を通じて料金抑制を図る既存の対策の執行加速などを掲げているが、事業者への補助金制度には「中抜き」の懸念があることに加え、エネルギー価格高騰の度に補助金を給付する手法は、財政的な持続可能性を欠く。我々は、利用者への直接給付と、大胆な省エネ・再エネ投資の実施を訴えており、対策の抜本的転換を強く求める。
加えて、政府は今頃になってようやくLPガスを支援対象としたが、我々は昨年4月の時点から、政府の原油価格高騰対策の対象にLPガスが含まれていないことを問題視し、利用者の負担軽減を求めてきた。日本の全世帯の約半数がLPガスを利用しており、特に地方ほどその割合が高い。統一地方選挙を前にしなければ、こうした地方の実情にさえ目を向けることのできない政府・与党には、失望を禁じ得ない。
また、我々が度々対応を求めてきた酪農支援については、現行の飼料価格高騰緊急対策事業の継続・拡大など、一定の対応は見られたものの、前例のない早さで離農が進む危機的な現状に鑑みて、十分な内容とは言えない。政府として本気で酪農を支える姿勢を明確にし、ひいては我が国の食料安全保障を確かなものとするためにも、抜本的な対策を講じるべきだ。
立憲民主党は、引き続き、国会論戦の場などを通じて、国民生活の実情を十分に踏まえた効果的な物価高騰対策の実現を求めていく。