泉健太代表記者会見

2023年3月24日(金)10時30分~11時25分

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/YIb-2pLMv2Y


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○首相のウクライナ訪問を受けて

【代表】
 おはようございます。
 今、参議院では予算委員会が行われております。ちょうど今、会見が始まる直前の質疑を見ていたのですが、総理がウクライナに訪問をして、そして、ゼレンスキー大統領に地元の名産を渡したという話で、それが外交の慣例だと言っていましたが、戦時中の、戦時下にある、戦争中の緊迫した国家の元首に対して、まさに日本としてどのような支援ができるかという、当然ながら緊迫した外交の中において「必勝しゃもじ」を贈るというのは、どうもやはり違和感が拭えないわけです。
 これは今、日本の国内ではどのように利用されているのかといえば、例えば受験の合格(祈願)であったり、例えば甲子園を初めとしたスポーツの応援であったり、そして、総理自身も受け取ったことがある選挙の応援のときであったりという、平時におけるその必勝ということについて、しゃもじというものが使われて戦後は愛用されているわけですね。
 では、岸田総理が、戦前の日清戦争・日露戦争だというときの、まさに「敵を召し取る」と、そういう文脈でゼレンスキー大統領に日本の総理として「必勝しゃもじ」を贈ったということならば、それは戦前の験を担いで、今のウクライナにもっと戦えと、必ず勝てと、そういう外からのメッセージを送るということなのですかという意味で、二重に違和感がありました。
 やはり本来大切なのは、我が国の国民の血と汗の結晶である税金を使ってウクライナを支援するわけですから、今回のウクライナ支援において地元の名産をアピールすることではないわけです。本来必要なのは、やはり発電機やカイロや、そして蛍光ラインがついたベストや、実際にウクライナの民生に役に立つものを日本がしっかりと支援していますということをアピールするのが国民に報いることであって、いつでも地元をアピールすればよいというものではない。ここは緊張感のなさを露呈したと、私はそう感じます。何をしているのかなと。
 国民を代表してウクライナに行ったのならば、電撃訪問したのならば、やはり日本国全体としてのその支援の詳明をしていただくべき、アピールをしていただくべきだったのではないかと思います。

○放送法解釈問題について

【代表】
 そして、今もまた、これも参議院予算委員会ですが、高市大臣の発言をめぐってということでやりとりもありましたが、改めて政府は、事実上、この総務省の放送法の解釈というものについては、総務省自身はかつて一つの番組で(政治的公平性について判断できる)というような答弁をしたわけですが、それを事実上撤回したかのような修正を施しているやにも見えますが、明確には補助的説明を撤回したとは言っていないという状況で、苦しい状況に置かれているのだろうなと。与党にも気を遣わなければいけないけれども、総務省としては本当は、かつて安倍政権の下で進められたような新たな解釈を採用するつもりは本当はないのだろうなというふうに思いながら、その総務省の苦しさがうかがえる状況です。
 そして、高市氏の「捏造」発言ですとか、(行政文書の)正確性をめぐっても、やはりなかなかレクの存在を否定することは難しい。だからこそ、その事細かな正確性のところでうやむやにせざるを得ない。そういう状況を抱えて、苦しい答弁が続いている。岸田内閣としてもこういう形で高市大臣の不安定な答弁が続くというのは我慢できないのだろうなと思いながら、我々としては、これは元々高市大臣が発言をしたところで、本来の本論ではない話、要は辞任しますということになってしまっているわけですから、そこの決着をつけるのはあくまで高市大臣自身であり岸田内閣であるということ。そういった点で、我々はこの放送法の解釈、改めて撤回を求めてまいりたいと思います。

○G7広島サミット LGBTQの人権を守る法整備について

【代表】
 そして、G7、いよいよ始まるということで、いろいろな準備が進んでいくわけです。各国の首脳を招待するということも出てきているわけですので、ぜひ、このG7ではジェンダー平等ということを改めて主要課題に据えていただきたい。もちろんウクライナ情勢、そして気候変動などもありますが、我が国自身がジェンダー平等指数が残念ながらG7主要国でありながら下位であるということもそうでありますし、いまだに多様性ということにおいても、LGBTの理解増進法もまだ成立していない状況ですし、当然ながら差別解消法も全く与党の側では進められていない、同性婚もできないという、さまざまな、他のG7諸国とは違う状況が続いています。  たしか来週でしたか、近々アメリカのエマニュエル大使も院内での集会か何かに来られるはずですが、こういった話題については常にエマニュエル大使も日本はやはり早く法制度を整えるべきだということを言っていたと思います。  改めて我々としては総理に、経団連の十倉会長も整備が遅れているということについて恥ずかしいというふうに述べていますので、我々としては改めて、このG7までに国内の法制度を整えるべきだということと、そして、このG7でも主要課題として取り上げるべきであると訴えたいと思います。

○議員立法の提出予定について

【代表】
 そして、学校給食の無償化法案。これは来週国会に提出したいと考えています。
 また、本日は、議員立法の「非正規雇用処遇改善法案」、これも提出をすることになっております。

○GX推進法案の対応について

【代表】
 そして、きょう委員会採決の中で、いわゆるGXの脱炭素電源の法律、この「GX推進法案」の採決が行われるということになっていると思いますが、我が党の中でも党内で議論を進めてまいりました。党内には、賛成、反対、両論ございました。
 枠組みとしては、私も含めて、ある意味当然進めていくべきだと考えているところがあります。GXそのものは反対ではありませんので、GXそのものには賛成。
 そして、移行債ということがありますが、我々立憲民主党は既に政府の言う20兆よりも大きい規模の政府投資を行うべきだということで50兆という数字も上げてプランをつくっていますので、そういった取組そのものは同じ方向だと思っていますし、また、エネルギーシフトに伴っての雇用の公正な移行、こういうことも大事だということを主張してきました。ここは連合とも共に主張してきて、我々自身の主張は、それはその主張として与党の側には伝わってきたのかなと思っています。
 ただ、このGX移行債の使い道というところにおいては、新たな原子力発電の研究開発が、そして建設までが含まれていて、その額が1兆円というふうにも言われているわけです。立憲民主党としては安定供給が必要だと言ってきましたし、そして、現在存在する原子力発電については、これは今の電力供給の安定化ということにおいて必要であれば、現在存在する原子力発電については稼働させることもあり得るという現実的な判断をしてきましたが、やはり中長期的な我が国のエネルギー戦略という意味では、この原子力への依存度を下げていくということが我々立憲民主党の訴えですので、その意味で、今から新たな原子力発電、新増設に関わっていくような研究開発と建設までのスケジュールを経済産業省が持っている中でこの政府案を認めるということは、なかなか我々としてはこれは認められないというふうに考えております。
 それだけの額の投資を原子力分野に行うということになれば、むしろ我々は、廃炉ですとか、あるいは現行の原子力発電所の安全対策ですとか、これもまだまだ大きな産業分野でありますので、そういった人材を育成する。そういった技術をより促進させて、世界の廃炉市場をむしろ獲得していく。こういう文脈には立憲民主党としても前向きに取り組むべきだと考えているのですが、今から新たな原子力発電所を造る技術、新たな原子炉を造るということに対する投資というのは、やはりこれは我々と考え方が違うということで、党としては賛成したい部分もGXに関してはあるわけですが、難しい判断ではありましたが、法案には反対するということを決めさせていただいたところであります。

○統一地方選及び国政補選に向けて

【代表】
 そして、来るべき統一地方選挙、そして国政補欠選挙ですね。我々として候補者も各地で決まってまいりました。
 千葉5区の矢崎堅太郎さん。いい勝負をしております。
 山口4区の有田芳生さん。ここも早速、地元では高い知名度で活動を開始しております。
 そして、大分参議院補欠選挙の吉田忠智さん。我が党のこれまでも参議院議員として活躍をしていただきましたが、元々野党の側の候補者が当選していたこの参議院大分選挙区ですので、立憲民主党として必勝を期したいと思っております。
 また、これは立憲民主党の公認や推薦ではありませんが、山口2区では元法務大臣の平岡さんが立候補を表明されたということで、これは政党としては政党の手続に乗せるものではないという判断になっておりますが、ぜひ頑張っていただきたいと、そういうエールは送らせていただきたいと考えています。
 そして、統一地方選挙については、我が党の今回の統一選の女性割合というのは30%ということで、まだまだ少ない状況ではありますが、引き続きこの女性議員の比率を高めていきたいと。このことを立憲民主党としてより取り組んで、票ハラもなくしていく。議会におけるハラスメントも根絶していく。さまざまな取組を前に進めていきたいし、この女性の観点、母親の観点がまだまだ、日本の社会の法制度、予算にも足りないと思っておりますので、そういったことも進めてまいりたいと思います。


■質疑

○放送法解釈問題 高市大臣の発言について

【時事通信・木田記者】
 冒頭発言に関連して2点ほど伺いたい。1点目は高市大臣の件で、先ほどレクの存在を否定するのは難しいとおっしゃったが、進退について、岸田内閣、高市大臣ご自身が判断するというのはそのとおりだとは思うが、泉代表ご自身は高市さんの進退については現時点で国会答弁などをご覧になってどのようにお考えになるか。

【代表】
 高市さん自身が言ったことを守るかどうか。自身の発言を、高市さん自身が守るかどうか、従うのかどうか。自分の発言ですね。やはりそれを守るかどうかではないですか。

○国政補欠選挙について(1)

【時事通信・木田記者】
 山口2区の補欠選挙に関して、平岡さんにエールは送りたいということをおっしゃったが、具体的にどのように2区に対しては取り組まれる方針か。

【代表】
 エールを送りたいと言いましたので、具体的に取り組むという話はしていません。

【時事通信・木田記者】
 具体的に支援をするということは考えていないと。

【代表】
 党として推薦や公認をしている状況にはありません。

○首相のウクライナ訪問を受けて(1)

【朝日新聞・笹川記者】
 冒頭発言に関連して。総理のウクライナ訪問で「必勝しゃもじ」をお土産に持参したことについて、この必勝という、勝利を願うということが、今回の訪問の趣旨としては不適切だったというふうに代表としてはお考えか。

【代表】
 勝利を願うというのは、それはいろいろな形で表現をしてもよいと思うのですが、どういう表現を総理がするかというところですね。地元の名産品にこだわる必要はないし、そして、いわゆる験担ぎ的に我が国の中で特に戦後は使われているものが前面に出ることはふさわしくはないと思います。もっと切実だし、もっと現実だと思いますよ。験担ぎのものでアピールする話ではないと思います。

【朝日新聞・笹川記者】
 験担ぎのような形で日本が戦争の勝ち負けみたいなものを考えているというふうに国際社会に取られるところが不適切という、そういうご趣旨か。

【代表】
 それはウクライナが、やはり負けられない、今、戦いをしている。何とかロシアの侵略を排除したいと。その意味では、表現はいろいろなのですが、勝つとか負けるよりも、本当に自国を守りたい、国民を守りたい、そういう気持ちで戦っているので、いわゆる我が国で必勝とよく使って、先ほど言ったようにスポーツだ受験だ選挙だという使い方をしているわけですよね。では、例えば必勝のハチマキを贈ったらどう思いますか。必勝のうちわを贈ったらどう思いますか。しゃもじを贈ったらどう思いますか、ということのメッセージとして、地元産にこだわって今このときに地元をアピールする環境ではないでしょうと。そういうことだと思います。
 ここは、その必勝という言葉ももちろん違和感は、日本で使われている必勝という言葉と、それをウクライナに、現に戦争している国に持ち込む話との違和感というのは、やはりありますよね。

○首相後援会会合での「サミットまんじゅう」配布について

【朝日新聞・笹川記者】
 ちょっと関連というか、きのう参院予算委員会で田名部議員が取り上げていたが、岸田首相が地元で開いた政治資金パーティーのお土産にG7のサミットのロゴをあしらったものが使われていたということで、冒頭の発言で泉代表からも緊張感のなさというご指摘があったが、こうしたことも含めてどのようにご覧になっているか。

【代表】
 やはり自民党議員であってもルールは守らなければいけないということではないでしょうか。千葉5区で自民党議員は政治資金規正法を破って辞職をしたわけですね。広島では多くの自治体議員に河井克行氏がお金を配って議員辞職になったわけですよね。そのように、与党の議員であっても野党の議員であっても、定められたルールは守らねばならない。まず、これが第一点です。
 では、そのときに、田名部匡代議員は事前に役所を呼んでレクを受けました。そうしたら、そのG7のロゴマークは特定の政治・宗教には使えないというルールがわざわざ書いてあったということで、じゃあ私がパーティーでこれを使っていいんですかと質問前に役所に聞いてみたら、役所は、うーんと首をひねって、それはちょっととおっしゃった。そして次の日に、総理がパーティーでG7の焼印を押したおまんじゅうを配っていたということを質問したときに、結局、後援会のパーティーだから政治活動であることは間違いないのだけれども、申請書を出して許可を取っていたからオーケーだという、何だかダブルスタンダードのような話を役所が答弁したので、じゃあ総理がルールを決められるのですかと。じゃあ元々役所が定めた公平なルールとは何ですかと。そういうところがやはり問われているのではないかと思います。
 ですから、確かに権力者が、これは捏造だ、捏造(ではないもの)だったら辞めると言ってしまえば、役所はそうならないようにばたばたしなければいけないし、例えば権力者がこれは問題なく利用しましたと言えば役所はそれに従わなければいけないというものがやはり垣間見えてしまうのは、全く公平でないし、法治国家としてやはりあるべき姿ではない。
 ですから、田名部議員も言っていましたが、そうであれば特定の政治や宗教では使えないなんていうルールはもう撤廃してくださいと。でないと不公平ではないですかと。普通の政治家が使いたいと言ってもだめと言い、総理が使ったら、これは問題ありませんと。そんなことでは許されないということです。 岸田総理に重ねて言えば、「李下に冠を正さず」ということなのかなと思います。NHKさん、すみませんね、ちょっとお待ちください。ちょっと先に、先ほどの質問に答えたかったので。息子さんを秘書官にするだとか、自分のパーティーでそういうG7の焼印を使うだとか、疑念を持たれるようなことをする。それを居直るということそのものが、全体的にこの国の法律に対する信頼性や規則に対する信頼性を失わせるのではないかということもつけ加えたいと思います。

○エネルギー政策(1) GX推進法案の対応について

【NHK・高橋記者】
 冒頭あったGX法案の賛否について伺いたい。代表ご自身も、党としてはGXに賛成したい部分はあるが、難しい判断だが法案に反対するということで、この間、党内での議論もさまざまな意見が出てきた中で決められたと思うが、改めて、その難しい判断の背景にはどんな理由があったのか教えていただきたい。

【代表】
 GX法案ですが、私たちの中では当然、エネルギーシフトを進めていきたい。グリーントランスフォーメーションを進めていきたい。そして、再エネに積極的に投資をしていきたい。これが立憲民主党ですので、その意味ではやはり賛成という考え方もあったし、そして、先ほど言ったように雇用の公正な移行というものもちゃんと伴って労働者に負荷をかけないエネルギーシフトを目指していきたいという思いもありました。また、法案には直接原子力発電の記述・記載がないという意味では、スキームだけで捉えれば賛成ということもあり得るのではないかと、そういう議論は党内にありました。
 ただ、スキームだけで捉えるということと、実際に政府が想定しようとしていること、やろうとしていることの中身を見ていくと、次世代原発、原子炉ですね、こういうことに巨額の投資を予定しているということがもう明確になってきていますので、それでは我々としては同意はできないと。こういう議論の中での厳しい難しい判断だったということです。

【NHK・高橋記者】
 この法案に関して、維新の会のほうは、きのう自民党の高木国対委員長とも会談し、修正協議をしていき、その上で賛成するということだが、連携している立憲と維新の違いが明確になる判断とも言えるかと思うが、この点の受け止めを。

【代表】
 いや、別に。全部の法案で一緒だったら同じ党になればいいので、違うときは違うのではないですか。

【NHK・高橋記者】
 立憲としてはそういった賛成できる部分もあった中で、修正協議等々は。

【代表】
 やってきました。水面下ではさまざま、附帯決議ですとか、法案について、修正協議と呼ばないかもしれませんが、いわゆる与野党協議ですね。これは我々はやってきました。
 その上で、残念ながら、我々の言うような路線ではなく、巨額の次世代原子炉への投資を是とする自民党の考え方というのを変えないということだったので、そうであれば我々としては賛成はできないということになったということです。

【NHK・高橋記者】
 もう一点。維新との連携で言うと、勉強会、エネルギーのほうは公表する取りまとめの時期がずっと延び延びになっていたり、安全保障に関しては勉強会もまだ開くところにも至っていない。この段になって連携に少し溝が出ているのではないかという指摘もあるが、代表ご自身はどう受け止めていらっしゃるか。

【代表】
 たぶん、例えば1本の木材でも1本のボールペンでもそうだと思いますが、こう(遠目に)見たらまっすぐに見えますが、細かく見ていくとでこぼこは必ずあると思うので、そういうものかなと思います。
 国会の中では基本的に連携をして与党に対峙していくという方針がまずあって、でも、その中で当然ながら交渉においては波というのはありますから、そういうものの一つかなと思っています。

○首相のウクライナ訪問を受けて(2)

【共同通信・久納記者】
 総理のウクライナ訪問について伺いたい。冒頭しゃもじなどの話もあったが、訪問自体の評価。きのう参院の予算委集中審議でも報告があったが、それを聞かれて、全体。周辺国からは評価の声もあるが、代表として訪問自体の成果、意義という部分の評価をお願いしたい。

【代表】
 既に私もぶら下がりなどでお伝えしていますが、岸田総理がウクライナに訪問したことをもって、G7全ての元首というかリーダーが、首脳がウクライナを訪問できたということになりますから、もしG7が議長国の日本の総理大臣だけがウクライナに行っていないという状態で開催されれば、やはりそれは国益ではないと思いますから、ウクライナに行く、訪問をする、その価値があるということと、ちょうど日本国としても55億ドルの追加支援ということを決めたわけですから、先ほど話をしたように、海外に対する支援というのは常に、国民の血と汗と涙の結晶である税金からの、その国民の働きがあっての対外支援ですので、そういうものを直接伝えに行く、運んでいくということ、そのものの意義があると思いますし、ちょうど時を同じくしてロシアと中国の首脳会談もあったわけですが、いわゆる西側として常にウクライナに対しては支援の、連携の救いの手が差し伸べられていると、世界とつながっているということをアピールできた。そのタイミングも含めて、私は、一定評価をされるべきだと思います。

【共同通信・久納記者】
 もう一点、事前の国会承認について伺いたい。代表は講演などでも包括的な事前承認の方法もあったのではないかというような話もあったが、改めて今回事前承認がなかったことへのお考えと、与党側からは事前承認自体のルールの修正も含めて検討すべきではないかという一部の声もあるが、そうしたことについてのお考えも改めてお願いしたい。

【代表】
 おそらく与党の中でも、例えば岸田総理から与党の幹部に連絡をする、その手法ですとかタイミングというのもあまり整理されないままここに至っているのだと思うのですね。NHKさんなり日テレさんの取材努力で、それはそれでマスコミ側の努力なのでしょうけれども、総理の動向を察知した。そして、それがポーランドの駅で撮られていることが政府側もわかって、それでもう黙っていられないから与党の幹部には連絡しようというふうに連絡したというのは、いかにも場当たり的です。ですから、与党の幹部の中でも相当不満が実は高まっているのではないかなと。
 こういうときにどのように事前に根回しを国内においてするのかということについてはあると思うのですね。ですから、それは与党、野党、協議をして、今後どんなルールづくりをするのかというのは国益を踏まえて国会の中でも議論をしていくことだろうなと思います。特に戦争中の国ですので、事前承認があったからなかったからだめだとかいいだとか、そういうことではなく、今回のような事例も含めて、どのように、国民の代表、国権の最高機関である国会とのやりとりをするのか。これを与野党でやはり諮っていただきたいと思います。

○国政補欠選挙について(2)

【読売新聞・岩本記者】
 衆院と参院の補欠選挙について伺いたい。22日の講演で、衆参補選について、泉代表は3勝したいとおっしゃったかと思う。これは擁立されている参議院大分、千葉5区、山口4区のことだと思うが。

【代表】
 はい、そうです。

【読売新聞・岩本記者】
 先ほど山口2区の平岡さんについてもエールを送られた。改めて、補選での目標というか勝敗ラインがあれば伺いたいのと、先ほども言及があったが、大分と千葉の位置づけについて伺いたい。

【代表】
 勝敗ラインがあるというものではありません。我々としては全勝を期すということです。
 党として関係しているのは3選挙区ということになりますから、党として責任を持って言及するのはその3選挙区ということになりますが、それは我々は野党第1党でありますから、他の選挙区においても基本的には野党候補に勝利してもらいたいと。そういう気持ちは、野党候補の勝利を願っているという、そういう気持ちは持っているということです。
 よく記者の皆さんから位置づけはということを聞かれるのですが、皆さん方の中で例えば位置づけというのは何種類あるものなのか。ちょっといつも聞かれるのですが、位置づけはと。最重要ですとか、重視していますとか、それは言うのですが、皆さんはどんな答えを期待しているのかなと、ふと考えながら、いつもその質問を聞いております。
 我々として、このタイミングの補欠選挙というのは、統一地方選挙の時期とちょうど重なるということでもありますし、ちょうど国会の中間点ということでもありますし、今の国民生活を国民自身がどのように感じ、また、与党の進める政治に対して採点をどのようにするかという機会だと思っていますから、私たちとすれば、この来年度予算案で防衛費だけが突出していて、子ども予算も少ない、農業予算は下がっている、そして経済産業省の賃上げ予算も全然ついていない、そういう予算であるということを伝えていきたいし、国民生活をもっと向上させるためには違う予算の使い方があるということも示していきたいと思いますし、この10年間、自民党政権の下で人口減少と地方の衰退が続いた、そういうことを転換していかなければいけない選挙だと。そういうことを訴える機会だと思っていますので、我々の訴えが通じて、そして、野党側が勝利する、そういうことを実現する機会にしたいと思います。

○日本維新の会との勉強会について

【読売新聞・岩本記者】
 もう一点だが、維新との先ほどもちょっと出た安全保障に関しての勉強会だが、以前代表は現場で話し合うべきだというふうにおっしゃったが、維新がこれに関してはオープンでの勉強会開催を要求している。これは何で維新側がオープンを要求しているのか。どうお考えか。

【代表】
 いや、わかりません。すみません。それはもう現場でやってもらっています。

○国政補欠選挙について(3)

【毎日新聞・安部記者】
 山口2区の補選について伺いたい。本日の会見での発言の中で、エールを送りたいということだが、エールを送るにとどまる理由を教えていただきたい。

【代表】
 党内で手続がされていない。そして、党本部に上申もされていないからです。

【毎日新聞・安部記者】
 それは今後手続きがあれば。

【代表】
 あれば、それは党として関与するということになりますからね。手続をしたのに、例えば推薦をしたのに、公認をしたのに、党として支援をしませんと言ったら、それは何ですかという話になるので、党としては当然推薦や公認をした場合には支援をします。

【毎日新聞・安部記者】
 今後推薦や公認をする可能性がまだあるということか。

【代表】
 いや、私はそれは聞いていません。何かそういう情報があるのですか。

【毎日新聞・安部記者】
 いや、ないです。

【代表】
 ないですよね。ということだと思います。

○エネルギー政策について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 菅直人最高顧問が原発に対して、全てだめ、全て廃棄、電力は足りていると言っている。公的な場で、3月11日の日比谷公園で、小泉純一郎さん、城南信金の吉原さんなどと言ったが、これは立憲民主党の今の原発に対するものと考えは同じか。

【代表】
 私、すみません、その発言そのものを見ていませんので、ちょっと確認をしてからかなと思います。今の段階でどうこうということでは。
 でも、それは一人ひとりは我が党の政策をちゃんと認識をしてもらうということだと思いますし、その下で行動してもらうのが基本です。それが基本だと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 リプレースも認めないと、そういったことを言っているわけだが、一応菅さんは最高顧問ですから、これが今の立憲民主党の考え、政策と全く一致しているかどうかということをお尋ねしたい。

【代表】
 そこは菅さんに聞いてみてください。発言をした菅さんに聞いてみてください。ちょっと私も菅さんから直接発言を聞いていないので。おそらく堀田さんであれば菅さんに聞けると思いますので。

【フリーランス・堀田記者】
 菅さんには聞いていますよ。

【代表】
 菅さんから聞いていられるのであれば、お答えをもらってください。

【フリーランス・堀田記者】
 立憲の考え、今の政策としては、それとは全く一致しているのか。

【代表】
 いや、ですから、ちょっと「それと」と言われても、どれなのかが。それは菅さんの発言を私はちゃんと見ることが必要だと思いますから、ということです。

○首相のウクライナ訪問を受けて(3)

【フリーランス・堀田記者】
 ポーランドの駅の乗り込みの前に、NHKはチャーター機が羽田を政府専用機が出発する前に上昇していくのを撮った。これは大谷選手が乗ってきたのと全く同じジェット機だが。何を報道するかはいいが、そこいらはちょっとNHKに聞いてみる必要性はあると思うか。

【代表】
 取材そのものというのは、当然取材の自由があるので、それは外形的に、例えば1月ぐらいからいろいろなスケジュールを見る中で、当たりをつけて、それを撮って、もしかしたら外れるかもしれない、当たるかもしれないという中で取材をしているのでしょうから、その映像そのものを、例えば羽田から発つチャーター機の映像を撮るなというのは無理だと思います。
 なのですが、首相官邸として、まず最大限の努力で秘匿するならば秘匿し続けなければいけない。それがどういう秘匿の仕方ができていたのかというのは官邸側が問われる話だと思います。
 例えば、気になったのは、きのうこれは維新の参議院議員も予算委員会でたしか質問していたと思いますが、私も同感だったのですが、ポーランドの空港に着いて、そして乗換えの駅に着いたときに、もうフェンス越しの間近で総理が乗換えをしているわけですよね。これは本当に、報道陣しか入れないエリアなのか、一般の方でも入れるエリアなのかというのは多少ありますが、余りに近い場所で撮影ができているという状況は、そもそもそれだけの秘匿したスケジュールの中で万全を期したものと言えるのかというのは、これは政府側の責任として私は言えるのではないかと思います。仮に飛行機が降り立ったとか車列の映像が撮れたとしても、本人の映像を撮らせるかどうかというのはまた別の問題だと思いますので、本人の絵まで写らせてしまって、それが11時半ぐらいに報道されたというのは、むしろ官邸の側のミス、失態ではないかと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 それはパリ支局あたりが、要するにバイデンのスケジュールを全部復習して、それでやっている。

【代表】
 そうですね。ですから、乗る列車や車の車列そのものは、これを全部隠すというのは無理かもしれない。でも、本人を写させてはだめでしょうとは思います。眼鏡をかけた、列車に乗り込む岸田さんが、大きいボディーガードと一緒に写っていましたからね。あれはちょっとやはり不細工でしたね。

○「統一地方選」「次期衆院総選挙」について

【日本経済新聞・大澤記者】
 最初に、統一地方選の政策について伺いたい。昨日も伺ったので恐縮だが、改めて、今回の統一地方選で訴えたいこと。政府側は追加の経済対策や子育て政策など統一地方選向けの発信も強化しているが、そういった政府に対抗というか対峙する側として、どういったところを訴求していきたいか教えていただきたい。

【代表】
 地域経済の活性化。賃上げ。防災対策。そして、子育て、介護。こういう項目をきのうも話をさせていただきましたので、まさにそういったことを中心に、地方の生活改善、生活向上、経済活性化、ここを訴えたいと思います。そのためには議会の多様性も高めていかなければいけないし、そして、旧統一教会の影響もやはり断ち切っていかなければいけない。そういうことも加えて訴えていくことになろうと思います。

【日本経済新聞・大澤記者】
 別件で。一部報道では、総理のウクライナ訪問などで支持率の上昇を見込み、与党側から早くも衆院の解散風みたいなものが出てきている。対峙する側として、準備も含めて、どういうふうにご覧になっているか。

【代表】
 総選挙というのは与党対野党ではないと思うのですね。国民が何を選ぶかということが、国民にとって大事な選択の機会だと思っています。これまででよいのか。それとも、変えるべきなのか。そこを常に問うていきたいと思いますので、我々は、これまでではだめだ、変えていかねばならないと、その立場で政策をそろえ、候補者をそろえ、最大限の議席を獲得していきたい。国民の皆さんにはやはり変えるチャンスだということをぜひ認識をしていただきながら、この総選挙がいつあっても我々としては戦っていきたいと思います。
 もうそのときそのときの環境で、これはもう総理がある意味いつ何どき決めるかわからないものですから、野党としては最大限、今までの政治では国民生活はよくならないということと政策を訴えて勝利をしたいと思います。

【日本経済新聞・大澤記者】
 統一地方選は政権の中間評価の機会という捉え方もできると思うが、まさにそういう時期にある中で衆院の早期解散というのが与党側から出てくるところ、一義的には総理の判断だとは思うが、その大義名分みたいなところも含めて、どういうふうにご覧になっているか。

【代表】
 今の自民党は本当に緩んでいる状況だと思います。解散というのも国民のための解散ではない中で、早期解散なのかそうではないのかという、政局解散ばかりを考えているということだと思います。それは党内政局であり、与野党政局。損得でしか解散を考えていない。主要課題が、では主要争点が、何を信を問うのかということもなく解散の話ばかりが先走るというのが、まさにその象徴、証明ではないかと思います。

○首相のウクライナ訪問を受けて(4)

【北海道新聞・今井記者】
 総理のウクライナ訪問の関係で伺いたい。会談で日本政府が表明した620億円の無償支援や、きのう23日の参院予算委で出た、がれき除去などに活用できる車両の供与など、日本政府としての今回の支援についてはどのように評価されているか。あと、冒頭で代表が言及された「必勝しゃもじ」だが、昨日、松野官房長官は、「必勝しゃもじ」を贈った理由について、ゼレンスキー大統領への激励であったりとか平和を祈念してというふうに説明されたと思うが、この説明についての受け止めはどのように代表としてはお考えか。

【代表】
 まず、ウクライナ支援は、私も大使から、また、日本に訪問したウクライナの国会議員団とも面会をしましたが、総じて日本の貢献に対して大変感謝と期待の言葉を述べられています。感謝というのは、この民生分野における日本からの多大な支援ですね。それは寒いウクライナにおいて暖を取れない、そういう中での発電機ですとかカイロ、これは切実なものですし、ほかの国ではそれだけの大量なものを送ってくれる国というのはなかなかないと思いますから、その意味で日本の民生支援の役割というのは非常に大きかったと思います。これからもそれは続けていくべきだと思います。
 そして、もう一つ。もう1年前、2年前からも期待を寄せられているのは、インフラ復興に対しての日本の企業等々の貢献です。そういったことも、まだ戦況が落ちついていない状況ですから難しいところもありますが、ロシアが完全撤退をして、ウクライナの復興に取り組める状況になったというときに、日本企業なり日本政府は積極的にやっていくべきだと考えます。
 そして、松野官房長官が言ったことは、ある種、通り一遍のことだと思いますが、きょうまさに岸田総理自身が、なぜ持って行ったのですかというときに、外交辞令として地元の名産を持って行くことになっているからだみたいなことを言っていましたから、何とも根拠薄弱というか、軽いなと。そんな感じは受けました。

【北海道新聞・今井記者】
 しゃもじだが、「敵を召し取る」という意味が込められているみたいで、こういう国際社会が分断する中で何か政府として誤ったメッセージを送ってしまうのではないかというふうに思うが、その点についてはどうか。

【代表】
 それは私、冒頭お話ししました。「敵を召し取る」という、戦前の、確かに広島の神社では出征する兵隊さんたちが「敵を召し取る」ということでしゃもじを奉納したという歴史はあるということでありましたが、それを岸田総理が想像・想定をしながらもしこのしゃもじを持って行ったとしたら、それはまさに戦前の発想ですよね。いかがなものかというふうに思うし、そうではないと、今、日本では甲子園でも受験でも選挙でも使われているんだと、だからということで持って行ったとしても、これはやはり違和感があるのではないですかということですから、なぜウクライナのゼレンスキー大統領との大事な重要な会談のときに地元の産品のアピールをされているのですかと。
 これは言っておきますが、広島のしゃもじに罪はないですよ。持って行かれてしまったわけですから。ただ、こういう緊迫した、G7の議長がゼレンスキー大統領と会談をするときの、アピールをするテーマというか、アピールをする情報なのかと。そのセンスは問われるのではないですかね。

○「束ね法案」「憲法論議」等について

【フリーランス・小山記者】
 GXの束ね法案に関して、市民団体が怒りの集会を開き、元公務員の方やジャーナリストの方が集まっている。GXに限らず、束ね法案での国会審議というのを非常に国民としてはどうなのかなというふうに感じているが、こちらは変えようがないものなのか。どうしても束ね法案に野党は抗することはできないのか。

【代表】
 野党の数が少ないから、与党は言うことを聞かないという、残念な状況ですね。やはり与党300、野党100ですので、立憲100ですが、やはり300人対100人で綱引きをすることの中で、それでも結構数々の実績だとかを残しながらやっていますが、やはり与党の側がこれはやらないというふうに、束ね法案でやるんだと、一本一本ばらすことはしないんだと、抱き合わせ商法だというふうに強い主張をしてきたときに、残念ながら我々としてなすすべはないところはあります。

【フリーランス・小山記者】
 次の質問で、先週お急ぎのところ申し訳ありませんでした。実は先週の内容は、私は農業のほうのレクに出ていたわけではなく、きょう行われる種子法違憲確認訴訟の前振りとして質問していたが、本日が判決日だ。食料安全保障、自給率、離農の食い止めのためには、種子法が違憲であると認められることが必須であると考えるが、徳永エリ議員も気にしていらっしゃるが、外資の参入が止められない。そうすると栽培種子も押しつけということで、食の安全がこの先確保できるかどうか。せっかく給食が無償化になったとしても安全な食が届けられるのかどうか。今もコオロギの給食が嫌なので学校に通わせるのをやめようかと思っているお母さんもいる。この訴訟の大きな問題の一つとして、守られていた農業者たちが守られなくなるという、法律・行政の後退というか退化に関して違憲であるというような考え方が一つある。今まで守られていた国民が守られなくなるといった法律・政治が退化していく現象が最近よく見られると思うが、代表のご意見を伺いたい。

【代表】
 そういう点は本当に気をつけねばならないと思います。時代がグローバルになって、さまざまな技術が外国から入ってくる。必ずしも日本の国民が本来望んでいる姿ではない、いつの間にか中身が取り替わって同じようなものが作られてしまっているということは、それに対して不安が起きるのは当然のことだと思います。今まで我々が例えば食べ続けてきたもの、着用し続けてきたものが、同じように見えて中身がいつの間にか変わっているということについての不安は、これは当然のことだと思いますから、そういったことの安全性の確認ですとか、そして不安の解消ですとか、政治の側が多くの方々から寄せられるそういった疑問に応えて各役所の行政の進め方だとか認可の進め方だとかについて意見を述べていくことというのはとても大事だと思います。

【フリーランス・小山記者】
 最後に憲法審のほうだが、中山方式というのをこちらの会見でも教えてくださったが、中山太郎元審査会長がお亡くなりになった。こちらについて一言お願いしたい。

【代表】
 憲法審査会、調査会から始まってやっていく中で、当初はというか、野党系で言うと仙谷さんや枝野さんがずっとこの憲法論議に関わってきたわけですが、そういう中で、政局とは切り離して落ち着いた環境で憲法論議をしていこうという枠組みをつくって、信頼関係を持って進めてきたというのは、難しい課題を与野党共に進めていく上ではとても重要な方式をつくられたと思います。
 それが本来であれば今の自民党にも引き継がれていくべきところを、残念ながら中山方式が引き継がれていないのではないかという今の状況に対しては、大変な懸念を持っています。

【フリーランス・小山記者】
 最後に、緊急事態条項について。立憲民主党は改正が必要ないと明言されてご説明をされたということだが、日本の法体系では各法に緊急政令などの権限も付与されているので体制は既に整えられている、そして参議院の緊急集会という機能が用意されているわけではあるが、与党側は本予算の処理は緊急集会になじまないという指摘をしているということだが、一体何がいけないのかちょっとわからなくて、一般の方にわかるように教えていただければと思うが。

【代表】
 すみません、そういうところというか、かなり審査会の個別具体的な話でもあると思うので、我が党の憲法審査会長などにそういったことを聞いていただければと思います。