【談話】政府に対して、旧優生保護法に基づく強制不妊手術に関する高裁判決における上告断念を求める


立憲民主党 政務調査会長
 長妻 昭

                       
 旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡る訴訟で、札幌高裁が3月16日、大阪高裁が3月23日、相次いで国の賠償責任を認める判決を言い渡しました。

 旧優生保護法の下で、重大な人権侵害である不妊手術等が強制され、身体的、精神的に耐えがたい苦痛を経験された方々に対して、立法府に身を置く一員として心から深くお詫びします。

 訴訟は、不法行為から20年が過ぎると賠償請求権が消える「除斥期間」の適用が焦点でした。国側は「除斥期間」の適用を主張していますが、被害に遭われた方々が、社会的差別や偏見がある中で、旧優生保護法に基づいて行われた手術の違法性を認識し、訴訟を提起して被害回復を図ることは困難であったと考えられます。
今回の2つの高裁判決は、「除斥期間」の適用は著しく正義・公平の理念に反すると判断しています。特に大阪高裁では、国が自ら違憲と認めるか、最高裁で違憲判決が確定してから6カ月が経過するまでは「除斥期間」は適用されない、とする初めての解釈が示されました。「除斥期間」の適用を認めなかった2つの判決を評価しています。被害に遭われた方々は高齢化しており、いたずらに時間を費やすべきではありません。政府に対し、今度こそ判決を重く受け止めて、上告を断念することを強く求めます。そして、総理大臣と厚生労働大臣は被害に遭われた方々と真摯に向き合うべきです。

 被害に遭われた方々に、一刻も早く救済を行うことは国に課された責務です。私たちはそのような考えの下、一時金を支給する法案の起草に参画しました。しかし、法律の施行から約4年が経ちますが、一時金の支給認定は進んでいません。地方自治体と連携し、対象者への周知に取り組んでいく必要があると考えます。一方で、支給金額が深刻な被害に見合わず低すぎること、申請が本人に限られること、期限を5年と区切ったことなど、法律の不十分な点が指摘されています。一時金の請求期限はあと1年余りであり、検討すべき課題が山積していることも重く受け止めなければなりません。
 被害に遭われた方々の救済とともに、強制不妊手術が進められた背景・原因の検証や、優生思想の問題点や社会の多様性の重要性についての啓発にもしっかりと取り組んでいくべきです。

 立憲民主党は、あらゆる差別に対し、断固として闘います。障がいの有無などによって差別されない社会の構築、一人ひとりが個人として尊重され、多様な価値観や生き方を認め、すべての人に居場所と出番のある共生社会の構築に全力を挙げて取り組んで参ります。

以上

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