立憲民主党は8月7日、第5回目となる「性被害・児童虐待」国対ヒアリングを国会内で実施。故ジャニー喜多川氏から性被害を受け、来日した「国連ビジネスと人権の作業部会」との面談にも応じた石丸志門さん(55才)、「ビジネスと人権対話救済機構」の代表理事である蔵元左近弁護士からヒアリングを行いました。

 冒頭のあいさつで長妻昭政務調査会長は、国連作業部会の8月4日の記者会見について、「世界が大きな関心を持っていることを改めて痛感し、日本が問われていると思う」と強調。その上で、政府に対し、「(故ジャニー氏による)被害者の相談窓口がないのですぐに作っていただきだい」「被害実態を訴えておられる方にお会いしていただきたい」と求めました。山井和則国対委員長代理も、「日本政府が何も動かないということが、日本に子どもへの性的虐待に関して甘い国だというレッテルをはられてしまう」と述べました。

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石丸志門さん

 現在55才で被害当事者の石丸さんは、「自分たちの時代で(ジャニー氏を)止めることができていれば、後輩の被害者を生まなかったのではないかと思うと、それが加害者意識として心の中に根付いてしまった」と述べました。その上で、「私は事務所を責めるつもりはない」と強調し、国連作業部会との面談も踏まえ「日本が先進国として立ち続けるための瀬戸際に今いると思います」と述べました。また、小倉將信こども政策担当大臣や林芳正外務大臣と面談したいとの意向も表明しました。

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蔵元左近弁護士

 蔵元弁護士は、国連作業部会が記者発表した「ステートメント」で「政府や、この件について私たちがお会いした被害者たちと関係した企業が、これについて対策を講じる気配がなかった」と言及したことについて、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」では「主要な法的な義務を負うのは国家」としており、政府は「被害者救済につながる手段を講じなければならない」と指摘しました。また、「ビジネスと人権をめぐり米・EUと共同」することは、「対中国」という外交的観点からしても「国益にかなう」とも指摘しました。

 国対ヒアリングの後、取材に応じた吉田はるみ衆院議員は、日本政府が「国内の人権保護と促進に主導的役割を果たすべく」本年10月の国連人権理事会理事国選挙に立候補している以上、政府の早急な対応が必要との認識を示しました。また、立憲民主党は地位を悪用した性加害の未然防止・早期発見に向け「地位利用第三者児童虐待防止法案」を提出しており、臨時国会での早期成立が必要だと強調。さらに、報復を恐れて、通報が制限されないよう「公益通報者保護制度」の重要性も指摘しました。

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