参院幹事長の田名部匡代議員は10月23日、参院本会議で「立憲民主・社民」を代表して岸田総理の所信表明演説に対する代表質問に立ち、(1)外交(2)ライドシェアの現状と課題(3)アベノミクスの検証と反省(4)中小企業支援(5)税収増還元の認識(6)介護問題(7)コロナ後遺症・ワクチン後遺症(8)不登校問題・若年層の自殺問題(9)気候変動(10)食料安全保障(11)木原防衛大臣発言(12)憲法問題――等について、総理の見解をただしました。
■アベノミクス検証と反省
田名部議員は、総理が所信表明演説の冒頭で述べた、「時代の変化に応じた先送りできない課題」「コストカット型経済」は、自民党政権による政治の責任だと指摘。「アベノミクスによる副作用が表面化してもなお失敗を認めず、非正規雇用や派遣労働者は増え、賃金も上がらず、消費も伸びず、トリクルダウンはどうなったのか。所得倍増はどこに行ったのか。まずは検証と反省をすべき」と求めました。
■税収増還元の認識について
岸田総理が、今回の総合経済対策の策定にあたり「税収増を国民に還元する」と発言したことには、「税収増」と言っても、今年度の予算だけを見ても、歳入の約3割にあたる約35兆6千億円を赤字国債に依存している上に、債務残高対GDP比は250%を超え、世界最悪の水準にあると指摘。「安易に経済対策の財源とすることは、今後、日本の財政に対する信認を揺るがすことにならないか」と迫りました。
■介護問題
負担の在り方を含めて、持続可能な介護制度として次世代に渡していくための議論が必要だと指摘。人材確保のためのさらなる処遇改善、介護離職ゼロに向け仕事と介護をより両立できる環境を整えるための支援の拡充を求めました。
■不登校問題・若年層の自殺問題
「不登校の当事者や家族を追い詰める社会であってはならない。学ぶ喜びを感じ、人と触れ合うことの喜びを感じられるよう、子どもに寄り添った居場所作りが必要だ」「すべての子どもたちの学ぶ権利を保障し、子どもたちの状況に応じた多様な学びの機会を確保すべき」などと主張。不登校児童生徒の抱える問題の原因究明と改善策の実施を求めるとともに、フリースクールなどへの支援推進等も含め、取り組みの状況と今後の対策をたずねました。
若年層の自殺問題には、「立憲民主党は、誰も自殺に追い込まれることのない社会を目指し、生きづらさを生み出すさまざまな社会的な課題を解決することにも全力を尽くす」と表明。政府にも現場の声を聞き適切な対策を検討するよう求めました。
■気候変動
日本に限らず世界中で顕著となった今年の猛暑に、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「地球沸騰化の時代が到来した」と語り、劇的かつ早急な気候アクションの必要性を訴えるなか、ニューヨークで行われた気候野心サミットに日本が不参加だったことを問題視。G7 広島サミットで合意した目標達成に向けた検討の開始時期、プロセスとともに、若者が意思決定に参加することの重要性について総理の見解をただしました。
■食料安全保障
日本の水産業は、漁業者の減少、海洋環境の変化、燃油等資材の高騰、中国等による輸入停止措置の影響で、大変厳しい状況にあると指摘。「食料安全保障の観点から、水産物の安定供給には、資源管理の推進に加え、国内水産物の消費拡大に一層注力するとともに、漁業者が経営を安定的に継続するための対策を講じなければならない」と述べ、食料・農業・農村基本法の見直しとあわせて、食料安全保障の観点から水産業をどう位置付け、どのように発展させるのかを問いました。
田名部議員はまた、総理が「今こそ、共に、地方創生に力強く取り組もう」と呼びかけたことに、「2014年に元気で豊かな地方を創生するための担当大臣が誕生してから、もうすぐ10年。変化の流れを掴み取れず、目の前のことにしか対応してこなかったから、経済も生活も未来も変えられずに、地方創生すら『今こそ』というような政治になっているのではないか」と指摘。「変化に的確に対応し、全体に目を向け、長期的な視点で国民を豊かにしていくことが政治の責任と考える」と表明しました。
「大事なのはメガネの奥の総理の目に国民の姿がきちんと映っているかどうかだ。私たち立憲民主党も、今の政権与党には見えていない国民の不安や未来にしっかり向き合い、『人へ 未来へ まっとうな政治へ』 、国会で堂々と訴えていく」と力を込め、質問を終えました。