岡田克也幹事長は1月16日、国会内で定例の会見を開き、(1)能登半島地震(2)自民党の裏金問題――等について発言しました。

■能登半島地震

 岡田幹事長は、「能登半島地震対策本部を開催し、現地にいる近藤和也衆院議員の所へ、党本部から職員を派遣し情報を得て党としてできることを対応していきたい」、予定している代表の被災地視察を通じて、「何が不足しているのかを把握し政府に伝え、足りないところを補っていきたい」「各県連で募金活動を行っている募金は1月中に集約する」と党としての取り組みについて説明しました。

■自民党の裏金問題

 安倍派幹部の立件見送りの報道に触れ、「ありえないことが起きてしまうのか。安倍元総理が入って決めたことを変更するのに、会計責任者の判断だけでできるとは思えない。派閥の幹部が関与していないことは常識で考えられない」と指摘しました。

 自民党の政治刷新本部のメンバーに、裏金に関与したかもしれない議員が9名がいると報道されていることについて、岡田幹事長は「刷新会議とは何なのか。刷新を議論する場に、犯罪として問われるかは別にして、自らの政治資金で違法な裏金に関与していた人達が何の説明もなく謝罪もなく当たりまえのように、政治を刷新する議論に参加しているのは異様なこと」と批判し、「本人だけでなく岸田総理の姿勢も問われる」と指摘しました。



岡田克也幹事長記者会見

2024年1月16日(火)15時43分~16時11分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/M5qez1D9OL4


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○第92回常任幹事会を開催

【幹事長】
 それでは、私から、まず常任幹事会のご報告をいたします。
 主なところだけ申し上げたいと思いますが、私のほうからは政治改革実行本部の設置についてお諮りして承認をいただきました。党規約30条で政治改革推進本部というものが設けられております。それ以外の臨時の本部というものを31条で設けることができるということになっておりまして、今回の政治改革実行本部はその31条に基づく本部であります。
 所掌といいますか、何をやるかというと、政治と金の問題について議論をし、そして対策を決定するということであります。従来の推進本部につきましては、定数是正の話でありますとか定数削減、あるいは衆参の選挙制度、従来そういったことをやってもらっていましたので、引き続きそこはそちらでやるということになっております。
 国対のほうで自民党派閥裏金調査チーム、何度ももう会を開いていただいています。そこと連携しながらやると。山井さんには、この実行本部のメンバー、副本部長にもなっていただいております。法案を国会に提出するに当たってはネクストキャビネット(次の内閣)の承認を得るということにしております。
 本部長は、私が本部長に就任をし、副本部長として、推進本部の渡辺周さん初め、幹事長部局、衆参の幹事長代理、手塚さんと田名部さん。それから、ネクスト総務大臣の野田さん。それから、山井さん。それから、議運の理事などで構成したいと思っています。事務総長は笠さん、事務局長は落合さんということであります。あと、若手を何人か幹事として任命したいと考えております。
 平場の議論を国会が始まる26日までに2回ないし3回開催をして、まず皆さんの意見を、率直な意見をお聞きしたいと思います。そのためのたたき台的なメモは私のところで準備を今しているところであります。
 既に我が党としては政治と金にまつわる法案を国会に4本提出しております。一つは、企業・団体献金禁止法案、これを我が党として出しております。それから、政治団体の収支報告書をネットでつなぐ、そういった責任を総務大臣に負わせると。これは地方の選管に報告しているもの、総務省に報告しているもの、合わせてそれを一覧して見られるように全てデジタル化しネットで見られるようにする、そういう法案も既に国会に提出しております。あとは、維新・国民と一緒に出した、(旧)文通費の明確化の法案もございます。あとは、政治団体の相続禁止法案ですね。
 この四つが既にありますので、その四つ以外にどういう論点があるかということで、基本的には政治資金規正法については、罰則の強化、政治家本人にも罰則がしっかりとかかるようにすることと、それから、もう少し罰則を厳しくする、重罰化するというような話が一つ。
 それから、もう一つは、透明性の拡大です。議論しようと思っておりますのは、パーティー(券購入者の公開基準)の上限の話もあります。我々、企業・団体献金、パーティー(券の企業・団体による購入)、これは禁止でありますが、もちろん個人はパーティー券を買えますので、そういうものも含めて(公開基準)引下げの問題。それから、監査法人、もう既に政党支部とか資金管理団体などは監査を受けることになっていますが、党本部はそれがかかっておりません。政党交付金の部分だけです。我が党はもう既に20年以上にわたって大手の監査法人の監査を全体にしてもらっていますが、法律上はそういうことは義務づけられておりません。そういった第三者による、党の資金の出入りについての監査を行わせる、なぜ党本部が除かれていたのかちょっと不明なのですが、そういったこともしっかりやることとか、さまざまな透明性を拡大するための論点について、しっかりと方向性を出したいと思っております。
 それから、これは今回のことでは直接ではないのですが、やはり政治と金の問題を洗いざらいしっかりと国民の疑念を解くために対応していこうということで、いわゆる政策活動費の禁止。つまり、少なくとも個人に対する党の寄附は認めない。それだけでいいかどうかということも含めて、これは議論が必要だと思っております。それから、もう一つは、先ほど言いました、もう既に法案を出している文通費の話ですね。
 そういったことについて、しっかり議論を重ねて、皆さんのご意見、党の皆さんのご意見をいただきながら成案をまとめていきたいと思っております。代表質問とか予算委員会もありますので、それまでには、法案をつくるかどうかは別にして、考え方をしっかりまとめたものをつくり上げたいと考えております。
 それから、農林漁業再生本部の設置ということで、今まで農林水産キャラバンということで田名部さんや徳永さんを中心に全国を回ってもらっていましたが、本部に格上げし、全国を回るキャラバンはそのまましっかりと続けていこうと思っております。
 それから、党大会の準備状況について、徳永さん、実行委員長のほうからご報告をいただいたところであります。1時間くらいで終わるコンパクトなものにしようと思っていますが、その前にハラスメントの研修会もやりたいと思っております。党大会終了後、総支部長を集めて、選対中心になって少し研修会のようなことも、2時間くらいかけてしっかりとやりたいと考えております。
 次に、衆議院に向けた候補者の公認内定ということで、今回、神奈川県で3名ということであります。
 鈴木光貴さん、神奈川10区であります。この方は自ら事業を営んでいる41歳の方です。
 それから、18区、宗野創さん。この方も、銀行にお勤めですが、政経塾出身であります。31歳。
 3番目は、佐藤喬さん。神奈川19区、41歳です。この人は財務省出身の官僚であります。元財務省課長補佐ということです。
 以上3名が神奈川で決まったということであります。このうちの2名は最近の公募に応じて手を挙げていただいた方で、非常に優秀な人材が3人そろったということは非常に力強いというふうに考えております。これで173名、うち1名は馬場さんですので、選挙区でいうと172名ということになります。
 以上が常幹の話であります。

○能登半島地震 被災者支援について

【幹事長】
 それ以外のことで多少申し上げますと、一つは、能登半島地震。
 我が党としては本部を立ち上げて何度か既に開催をしております。昨日も対策本部を開催いたしました。近藤和也さんが現地におられますので、そこを党本部からも職員を派遣したりして補強しながら、しっかりと情報を得て、党としてできることを対応していきたいと思います。
 先般代表に金沢に行ってもらいましたが、明後日(18日)代表が、内灘、かほく、七尾を視察する予定でございます。そういった現地を見ながら、何が不足しているのかということについて把握をして、そして、政府のほうにもしっかりとそれを伝えて、足らざるところを補っていきたいと思っております。
 募金のほうは、現在行っていますが、1月中に集約するということで、各県連・総支部で募金活動を行っているところであります。

○政治と金 「安倍派幹部7人不起訴へ」報道について

【幹事長】
 最後に、けさの新聞を見て、読売ですか、それから先般の毎日、大変驚いたのですが、安倍派幹部の立件見送りではないかというような記事があります。ちょっとあり得ないことが起きてしまうのかと、大変驚き、そして全くおかしなことだと考えております。
 伝えられるところによると、パーティー(収入)の払い戻し(廃止)を安倍会長のときに一旦は決めて、その後、パーティーが行われて数カ月後に、その間に安倍さんは亡くなってしまったのですが、やめたと、従来どおりということにしたというふうに伝えられております。それが事実だとすると、では、一旦安倍さんも入って決めたことを変えるということが、会計責任者だけの判断でできるというのは、それは全くあり得ないことで、やはり派閥の幹部がそれに関与していないというのはちょっと常識では考えられないことであると思います。
 もちろん、まだ新聞に記事が出た限りで、憶測の段階ですので、これ以上は言いませんが、やはり法に違反した、もちろん既に逮捕者は出ていますが、それが派閥ぐるみであるというところが非常に今回違法性が高いというか問題で、それが会計責任者だけが責任を取って立件されて、それで派閥の幹部は何事もなかったように終わってしまうというのは、それはあり得ないことだと思っております。
 それから、刷新本部のメンバーに、そういった裏金に関与したかもしれない議員が9名、安倍派でいるということも報じられております。これなども、刷新本部というのは一体何だろうかと。配慮はしないと総理は言われたようですが、そういう問題ではなく、刷新を議論する場に、違法なことを、それが犯罪として問われるかどうかは別にして、自らの政治資金で違法な裏金に、少なくとも事務所としては関与していた人たちが、何の説明もなく、国民に対する説明もなく、もちろん謝罪もなく、当たり前のように刷新する議論に参加をしているというのは、異様なことだと思います。これは本人たちもそうですが、やはり岸田総理のそういった姿勢というのは問われなければならないと思っております。
 そういうことも含めて、私は、最終的にはもう少しまともな結果が得られるのではないかというふうに思っておりますし、そうでなければ、これはやはり政治不信というのは完全にどうしようもないところまで行ってしまうのではないかと懸念をしているところです。


■質疑

○政治と金 政治改革の議論について(1)

【朝日新聞】
 1点目、政治改革実行本部のトップに幹事長自らがなられたということだが、その理由を改めて伺いたい。例えば、自分が30年前の議論にいたこととか、そういうことも含めての考えなのか。それとも、あくまで幹事長という、その仕事の重みからなったものなのかも含めて伺いたいのが1点目。2点目だが、先ほど既に立憲として法案を出しているという中に、企業・団体献金の禁止のところがあるが、これは企業や団体の献金は禁止するが政治団体は除くということになっているかと思うが、政治団体を除く理由は何か。それを今後見直す考えはないのかというところもお答えいただければと思う。

【幹事長】
 後者のほうから言いますと、別に党の中の議論を、これで決まりではありませんので、当然いろいろな議論が出るだろうと思います。ただ、先ほど長妻さんとも話をしたのですが、これは長妻さんがかなり関与してできているもので、かなり難しい議論だと。ほかの党も同じような扱いになっていると、野党ですね、というふうに聞いております。政治団体そのものからもできないということになると、何といいますか、ちょっと法律的に立てるのが非常に難しいのではないかと、政治団体までできないということにしてしまうのは、という議論が当時なされて、それは法制局との間でもですね、こういう結果になっているということであります。もちろん、それが抜け穴になってしまうということであれば、それはもちろんいいことではありませんので、しっかりと議論すべき点ではあると思っております。
 それから、私が引き受けたのは、両方です。三十数年前の、あそこで議論して、政治と金の問題、リクルート事件、そこで一つは選挙制度に行ったわけですね。中選挙区がやはり同士打ちなどがあって派閥とか政治と金の問題の元凶になっている、だから選挙制度を変えなければいけないと。選挙制度が変わって、確かにかかるお金とかそういうものはかなり少なくなったと思いますが、だけれども、そういう中で今回のような事件が起きてしまっている。非常に私自身も残念な気持ちですし、ここはしっかりと、そういったおかしなことができないようにしなければならないと思っています。同時に、これはやはり国会や、あるいは選挙にも関わってくる話なので、そういう意味では幹事長が本部長をやることがふさわしいというふうに私自身が判断したということです。

【朝日新聞】
 もう一点。政治改革に関連して、今後自民党から与野党の協議をしたいと、既に呼びかけられているかどうかも確認させていただきたいが、呼びかけられた場合の対応とか方針というのはいかがか。スケジュール感も含めて。

【幹事長】
 それはまず今回の決着を党としてどうつけるのかということが必要ですよね。何事もなかったように、今まで悪かったかもしれないけれども、これからきちんとしますと。旧統一教会でも同じような手法なのですが、それでは済まない話だと思います。
 それから、国会が始まるまでに中間報告をするとかいう話も聞こえてきますが、どの程度の中身なのかと。それは議論するたたき台になり得るのかということも見ないとこれは判断できませんので、やみくもに協議するということではないというふうにも考えております。

○能登半島地震 被災者支援について

【NHK】
 災害のことで伺いたい。まだ議論中なのかもしれないが、先ほどの常幹の冒頭で代表は、災害の支援法の改正について500万円に引き上げるということをお話しされていたが、その金額は決まっているのかと、また、改正の具体策など、もし決まっていれば教えていただきたい。

【幹事長】
 私も注意深く聞いていましたが、代表は500万に決まっているとは言っていないです。500万に決まった法案をかつて出したということを言っているだけで、今回500万とは言っていないのですね。
 きのうの対策本部でも、建設現場の資材価格とか物価の上昇を見ると、それだけでは足らないのではないかという議論も出ていました。ただ、多々益々弁ずみたいな話ではないと思いますので、やはり科学的に、今の法律ができたときと比べてどのくらい資材価格その他が、あるいは人件費が上がっているのかということを見て、金額を決定すべきだと思っております。

【NHK】
 いずれにしても引き上げるという方向だと。

【幹事長】
 引き上げることは当然です。

【NHK】
 提出のスケジュール感などは。

【幹事長】
 国会の冒頭に、できれば法案の形にしたいというふうには思っています。
 それから、他の野党ともできるだけこれは一緒に出したいと、前回はそうですから、というふうに思っていまして、それも含めて、これから26日に向けて検討していくことになります。

○政治と金 政治改革の議論について(2)

【共同通信】
 政治改革の件で、ちょっと戻るが、先ほど幹事長は、議論を重ねて、代表質問や予算委員会もあるので、それまでには成案をまとめていきたいということをおっしゃったが、これは開会まであと10日となっているが、どういった形で改革案をまとめ、例えば法案というところまで行くのか、その手前の一定の方向性を示すところまでなのか、どういうものを党としてまとめていかれるおつもりなのか。それと、他党、例えば国民民主党はあさって政治改革本部で国民としての案をまとめるそうだが、その中には罰則強化など幹事長がおっしゃったことと重なる部分もあるが、与党はともかく野党間での連携についてもお考えを教えていただきたい。

【幹事長】
 案をまとめつつ、野党間の協議もしていきたいというふうには思います。
 ただ、やはり非常に幅広く考えていますので、政策活動費とか文通費も含めて。既に我々は先ほど言ったように法案4本をもう国会に出していますので、そういう意味で、そこと違うこと、あるいは、そこで十分でないことについて、法案の形にするということです。
 今までいろいろ議論されながら簡単には決着がついていないものもあるわけですね。例えば、(政治資金規正法において会計)責任者の選任及び監督に議員は責任を負うというふうになっていますが、それを「または」にして監督だけでも責任を取れるようにしようという議論は前からあるのですね。そういうふうにするのか。それとも別の形で、もう一つ出ている案は、全ての政治家に対する団体について、これは郷原さんが言っておられるような話ですが、一本化して、報告義務のようなものを、政治家に報告することを義務づけるという形で、逃げ道のない形の法案にすべきだとか、さまざま議論がありますので、どういうやり方が一番いいかということはしっかり党の中で議論して決めたいと。
 拙速に法案の形で出すよりは、中身が決まっていれば、概ねですね、それで予算委員会で十分議論できますから。議論しながらまた変えていくところもあるかもしれません。ある程度のところで法案の形にできればいいので、あまり法案を早く出すことを競ってもいかがなものなのかなというふうには思っています。

【共同通信】
 そうすると、予算委の各党の議論や意見とかを比べながらというか聞きながら、できる限り野党として一つの考え方、最終的には法案の形に持っていくというのが望ましいということか。

【幹事長】
 そうですね。もう既に4本出してしまっているということも結構大きいんですよね。

【「フランス10」】
 今回の疑惑がもし国会開会まで続けば、疑惑の安倍派の9人の幹部とかの証人喚問を求めていくことはあるのか伺いたい。

【幹事長】
 一足飛びにそういう個別の話を私の一存でお答えするのは適切ではないと思います。まず、検察がどうするかということがまずあります。そこでそういったことにならないということになると、これは法令に政治家が違反した疑いが濃いと、ただし検察としてはそれを立件しなかったということです。そういうことについて、国会として果たすべき役割というのは当然あるのだろうと思っています。

○衆院島根1区補選に向けた取組について

【読売新聞】
 話題変わり、衆院補選の島根1区について伺いたい。先日の会見で亀井亜紀子さんを公認されたと思うが、共産はもう既に候補者を擁立していて、維新の藤田幹事長も先ほど候補者は擁立したいというようなお話があった。県連からの意向とかも聞いた上で今後については決めていくというふうに先日おっしゃっていたが、現状、ほかの野党との関係についてお考えがあれば教えていただきたい。

【幹事長】
 候補者はなるべく少ないほうがいいというふうには思います。ただし、ご本人を含めた地元の声もしっかり聞かなければいけません。そういったことを踏まえて各党と話をしていきたいと思います。

【読売新聞】
 現状は、調整ができるかどうかも含めて、これから働きかけていくということでよろしいか。

【幹事長】
 そうですね。

(以上)