衆院本会議で2月2日、岸田総理の施政方針演説に対する代表質問が行われ、田島麻衣子議員が登壇しました。田島議員は、(1)震災復興(2)大阪・関西万博(3)政治改革(4)皇位継承(5)選択的夫婦別姓制度・女性活躍(6)DV・性被害――等について質問しました。

■震災復興

 田島議員はまず、令和6年能登半島地震における水道の復旧見通しについて質問しました。石川県の発表では珠洲市の一部地域や七尾市街では水道の復旧が4月以降となるとし、「2カ月以上も水道が使えない暮らしを想像できるのか」と述べた上で、「少なくとも年度内には被災地全ての水道を復旧させるべき」とし、岸田総理に政府の水道復旧にかける決意を問いました。岸田総理は「石川県内の主な浄水場の復旧はおおむね完了し、浄水場から市街部に送水する基幹管路やその先の末端管理の復旧作業に移行している。これにより県の水道用水の復旧が早まり、七尾市では1月27日時点で能登島を除き、2月末から3月末とされている」と明確に答弁しました。

 また、国道249号線などの主要道路の復旧に関し、県レベルでできることが限られるため、国の権限代行についても質問しました。田島議員は「県から国への権限代行の依頼が石川県から出されず、総理が現地入りした1月14日まで権限代行の総理指示、それまでに国と県との調整がなかった理由」「国の本格的な災害復旧の代行決定が1月23日まで時間を要した理由」について総理に説明を求めました。総理は災害時の道路復旧として、発災初期の段階で障害物除去や段差解消等の道路啓開により緊急輸送ルートを確保した後、災害要求対策が落ち着いてきた段階で本格復旧を行うとし、今回の場合は発災当初から石川県等と連携し、幹線道路は国が自治体に代わって道路啓開作業を行い、約2週間後には約9割で当面の輸送ルートを確保したと説明しました。その上で「私が1月14日の現地視察時に石川県知事から要望を受けたのは本格復旧の国による代行であり、道路啓開から本格復旧へ切れ目なく移行できるよう所要の手続きを経て国土交通省が1月23日に正式に代行を決定した」と答えました。 田島議員はあらためて「震災復興に与党や野党は関係ない。各党と共に立憲民主党は復興支援に貢献していく」と述べました。

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■大阪・関西万博

 大阪・関西万博の建設スケジュールに大幅な遅れが発生していることを取り上げ、「万博関連工事により震災復興に必要な人材・資材・器材が不足し、震災復興が遅れてしまうことがあってはならない。被災者・被災地の支援事業を優先するべき」とし、その上で「今後、万博に関する国費負担がさらに増えるようなことはないか」「万博の運営費の赤字が出た場合、国は補填しないとした従来の方針は大臣が交代しても変わりないか」、岸田総理に見解をただしました。震災復興について岸田総理は「能登復興に万全を期すことは当然」「令和6年度予備費を1兆円に倍増するなど復旧復興の段階に合わせた財政措置を行う」とした上で、万博については「費用の上振れが生じないよう継続的なモニタリングを行っていく。運営費については閣議了解で国庫負担や助成は行わないとしており、運営を担う万博博覧会協会に赤字にならないよう計画を具体化していくものと承知している」と答弁しました。

■政治改革

 田島議員は、総理が政権を担う2年4カ月の間に、旧統一教会や政治資金問題・公職選挙法違反等で多くの政務三役が辞任したことに触れ、岸田総理の任命責任を問いました。その上で「現岸田内閣の政務三役は政治資金関連の問題とは無縁であるとの理解で正しいのか」「今後、政務三役に脱税や政治資金関連の問題が指摘された場合に、どのような責任をとらせるのか。総理自身はどのような責任をとるのか」を問いました。総理は任命責任においては「重く受け止めている」と答弁した一方で「仮定の質問については答えを差し控える」としました。

 続いて田島議員は、岸田総理に(1)裏金の定義(2)違法に貯めたお金であっても、銀行口座や金庫に手付かずで管理されていた場合、裏金には当たらないのか(3)収支報告書に記載のない、いわゆる裏金4000万円以上の議員のみが逮捕・起訴されるといった事態に、一般の市民感情にかなっているのか(4)政治活動費の廃止を決断しない理由として、総理が1月29日の衆院予算委員会で「政治活動の事由そのものにかかわる問題」と答弁したことに、憲法21条1項で認められる政治活動の自由とは、政治家がお金の使い道を明らかにしない自由も含むのか――等、総理に見解をただしました。岸田総理は、裏金の定義について「文脈に応じて意味内容が異なるものとし、一概に定義を答えるのは困難」とかわしました。記載のない裏金の金額に応じた検察当局の事件処理についての見解は、検察当局に関わる事柄のため、答えは差し控えるとした上で、「一般論として必要な捜査を尽くした上で法と証拠に基づき刑事事件として取り上げるべきものがあれば、適切に処理しているものと承知している」と答弁するにとどめました。政策活動費の使途公開等に関しては、「政党等の政治活動の自由とも密接に関連する旨(衆院予算員会で)答えたもの。いずれにせよ政治活動の使途を明らかにする場合は各党各会派で真摯に議論をし、共通のルールに基づき行うべきもの」と、見解を述べました。

■選択的夫婦別姓制度・女性活躍

 田島議員は、選択的夫婦別姓制度の導入を含む民法改正の答申から28年経つにもかかわらず、国会で議論が進まず、法改正の見通しが立たないことについて、総理に見解をただしました。岸田総理は「家族の在り方の根幹にかかわる問題で、最高裁判決でも国会で論じられ判断されるべき事柄であるという指摘がなされている。いずれにせよ真摯に受け止め、国会で議論を進め、具体的な制度の在り方を含め建設的な議論をしていただくことは重要と認識している」と答えました。

 また、麻生元副総裁が上川外務大臣に年齢や容姿に関する発言をしたことについても言及。「『おばさん』と年齢を揶揄するかの発言、容姿を揶揄するかのような発言を公の場でされたことを問題だと感じないのか」「大臣が『ありがたく受け止める』と返したことで、同じ境遇にある女性も大臣と同じような対応をしなければならないリスクはないのか。なぜ抗議をしないのか」、外務大臣に見解を求めました。上川外務大臣は「女性平和安全保障WPS、この新しい動きを主流化すべく根付かせるための取り組みに全力を注いでいる。世の中にはさまざまな意見や考え方があることは承知している」と答弁するにとどまりました。

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