衆院予算委員会で2月5日、基本的質疑が行われ、井坂信彦、梅谷守、石川香織の各議員が質疑に立ちました。

■井坂信彦議員

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 井坂議員は、(1)裏金問題(2)物価を上回る賃上げ(3)非正規雇用の正社員化――等について質問しました。

裏金問題

 井坂議員は「裏金は脱税ではないか」と追及しました。自民党議員の裏金の使い道として、「事務所で保管・未使用」と回答したものについて、国税庁へ課税対象とならないかを確認。「一般論として事務所で保管されている政治資金であれば、政治家の関連政治団体に帰属する場合も多いと考えられるが、仮に政治家個人に帰属し、それを使用せず長年保管していた場合は政治活動のための支出はなく、必要経費として収入から差し引く金額がない」とした国税庁の回答をもとに、「丸川元オリンピック担当大臣がパーティー券の売上を中抜きして自身の口座に入れていた報道について、いわば着服のような形になり、個人の収入と認定されれば課税対象。『政治団体への寄付でした』と非課税にすることはない」とし、岸田総理に追及しました。岸田総理は「検察が厳正に処理を行っているものと認識している」「仮定の話にはお答えできない」とかわしました。井坂議員は「裏金がばれたら『政治団体のお金でした』と言って非課税になるなら、政治家は脱税し放題」「脱税特権階級みたいなことを国民が許すと思うのか」と総理に迫りました。

物価を上回る賃上げ

 世界の賃金が物価を上回るペースで上昇する中、日本の賃金だけが上がらない問題について、総理に見解をただしました。6月に実施予定の1回限りの4万円減税について、その瞬間は賃金と減税を合計すれば物価を上回るのは当たり前だと指摘したうえで、「賃金だけで物価を上回る状況を今年こそ実現すべき」と総理に迫りました。また、多くの中小企業が製品の値上げを大企業に認めてもらう価格転嫁ができず、人件費を削減するしかない状況のなか、政府が昨年11月に出した「価格転嫁のガイドライン」だけでは不十分だとし、価格転嫁を拒否した大企業への罰則強化や材料価格の変動に合わせた値上げを可能にするスライド制などの法改正も検討すべきと提起しました。岸田総理は「24年度中には物価高に負けない賃上げが実現するのではないかという政府の見通しがある。なおさら今年は物価高に負けない財政的な体制を政策として用意することが重要。目標は持続的・構造的な賃上げ好循環を実現する」と答え、中小企業の価格転嫁については「現行の独占禁止法と下請法の組み合わせによって対応している。絶えずこの法律の実効性を検証しながら今の体制を追求していきたい」と答弁するにとどまりました。

非正規雇用の正社員化 

 井坂議員は、本人が望まない非正規雇用の問題について、岸田総理に質問をしました。井坂議員は非正規雇用の問題が少子化に悪影響を及ぼしているとして、「労働者の4割に達した非正規を減らし、正社員を増やすといった政策に転換すべき」と訴えました。岸田総理は、本人が希望する正社員への転換を促進することは大変重要だと認識した上で、「正社員への転換に取り組む事業主を支援する。在職中の非正規雇用労働者に対するリスキニングを支援する。ハローワークにおける担当者制のきめ細かな就職支援を行うこと等により、正社員への転換を促進していきたい。一方で自らのライフスタイルに合わせてパートタイムや有期雇用で働く人は、最低賃金の引き上げ、同一労働同一賃金の重視を徹底し、処遇改善を進めていくことも重要である」と答えました。

■梅谷守議員

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 梅谷議員は、政府の震災対応について質問しました。
 立憲民主党などが国会に提出した「被災者生活再建支援法改正案」に関連して、政府の新たな交付金を上乗せする制度の対象について、岸田総理は、「高齢者等」という表現は、「長期の借り入れや返済が無理な高齢者、同様の事情の方も含む」「能登地域6市町では、65歳以上の世帯の割合は66.3%を占め、同様の事情を有する人も対象になる」と説明しました。
 梅谷議員は、「30%近くは対象外だ」と指摘し、「若者、子育て世帯の流出施策になりかねない」と懸念を述べました。
 また、「新潟県では全壊半壊家屋が2000軒以上が確認されているが、対象外。同じ災害を受けているのに、住んでいる地域で差をつけている」と批判しました。
 梅谷議員は「取り残すことはないと言いながら、実際取り残している」「線引きのない制度にできないか」と訴えました。

■石川香織議員

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 石川議員は、第一次産業の課題について質問。まず冒頭、岸田総理の施政方針演説に対する各党の代表質問において、自民党の議員からは「一次産業の質問が一問もなかった」と指摘しました。
 その上で、食料自給率が38%と輸入に依存する日本の状況を問題視。自民党農政は食料不足時に「農家に何とかしてもらおうという畑違いの発想」だと批判し、農家の減少を食い止めるためには、「直接的に農家の所得を上げる政策」が必要だと訴えました。
 また、食料安全保障は「種から始まる」と強調し、民間参入を目的に廃止された種子の安定生産・供給を規定する種子法の復活を求めましたが、岸田総理は「廃止した法律の復活は考えていない」と強弁しました。
 さらに、岸田総理が施政方針演説で水産業における「養殖業への転換」に言及したことについて、「天然業からの転換はそんなに簡単ではない」と断じました。「簡単に増やしたり減らしたり、新しいものを作ることができないのが一次産業だ」と述べ、「時間とお金がかかる産業だからこそ今、所得対策が求められる」と訴えました。