自治体議員ネットワーク(以下、自治体議員NW)は4月14日、「能登半島地震、東日本大震災の経験と教訓から学ぶ 自治体、議会、議員の役割~災害対策の今と防災のこれから」をテーマに、防災政策研修会[第1回]をオンライン形式で開催しました。自治体議員NW副代表を務める梶谷大志北海道議会議員からの研修会報告を以下掲載します。
2024年元旦に石川県能登半島を震源とする最大震度7の地震が発生しました。多くの命が失われ、住宅の倒壊や津波、火災などの被害、地盤の隆起、液状化などが確認され、今もなお、復旧、復興のめどがつかない地域があります。心から哀悼の意を表するとともにお見舞いを申し上げます。東日本大震災以降いくつかの大災害を含め、厳しい経験や求められる対応などは引き継がれてきましたが、あらためて自治体における防災政策・災害対策への取り組みが重要となっています。そこで、災害時や復興期における議会・議員及び行政の果たすべき役割などについて、被災地域の自治体議員などからの体験に基づく報告を主体にしながら研修会を行いました。
「第一部」は石川県、金沢市、内灘町の各議員から被災概要と現状報告、その上での課題について報告され、全国から寄せられた支援への御礼がありました。
震災から100日を超えてもなお孤立した地域を確認できていなかったことに驚きました。また被災者への支援が届いていない、支援地域が限定される、避難計画が機能しないなど復旧、復興に向けこれまでの災害と同様に時間がかかっており、制度改正の必要性について報告がありました。
特に被害の大きい地域は元々人口減少、少子高齢化が進んでおり、高齢の被災者に配慮した避難のあり方、将来像を明確にした復興が求められるとのことで、石川県として原型復旧にとどまらない「創造的復興プラン」の策定に向け取り組みを進めているとのことでした。
次に新潟県の被災状況について、能登半島地震における新潟県の家屋被害は全体の18%を占め、水道や道路の被害が大きかったと報告がありました。被災への全国からの新潟県への注目度もさることながら、被災者への支援も地域差があるなど十分ではなく国への対応が必要との認識が示されました。
「第二部」は2011年の東日本大震災をふまえた各取り組みについて報告がありました。仙台市によるジェンダーの視点での避難所運営については、代表的なものとして被災時における女性の洗濯・干場、更衣室、授乳場所の確保などが課題とされたことで、女性が避難所運営などの意思決定に参画できる仕組みづくりが大切であるとの説明を頂きました。
岩手県からは津波で被災した採算が取れていない公立病院の再建、また人口減少地域の被災はさらなる人口減少を加速するという厳しい現状、福島県からは原発などが与えるエネルギー政策への影響、今日的影響についてそれぞれ報告がありました。
あらためて自治体議員として災害が発生した場合、地域の厳しい被災状況を把握し行政に届け、議会で必要な対策をし、さらにその取り組みを住民に情報提供する大切さが確認できました。災害対応は今回の議論だけでも被災者への支援(避難住宅、生活支援、家屋の再建など)、避難所支援(女性の視点、ペットのあり方)、インフラ整備、ボランティアの受け入れなど多岐にわたります。今後の災害に備えるためにも自治体議員NWに「災害対策プロジェクト」を設置してさらに議論を深めることを確認し、研修会を終えました。