参院本会議で6月19日、自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の一部を改正する法律案が与党の賛成多数により可決、成立しました。採決に先立ち討論が行われ、「立憲民主・社民」を代表して参院議員会長の水岡俊一議員が反対の立場で登壇、「国民の期待に応え『本気の政治改革』に取り組み『まっとうな政治』を実現するのは、いったい誰なのか。『国民に判断』してもらおうではないか」と訴えました。

 本法案をめぐっては、参院の政治改革特別委員会で18日、野党各党が反対するなか与党が採決を強行し自民、公明両党の賛成多数で可決しました。

 水岡議員は、「自民党派閥の裏金事件とそれに対する自民党の対応は、国民の政治に対する信頼を根本からそこなう深刻な事態を招いている。国民は、真相究明と責任追及、再発防止策を国会にこそ求めていた」と切り出し、それにもかかわらず「火の玉となって取り組む」と強調した岸田総理はパフォーマンスばかりで、国民にはますます不信や不安感が広がっていると述べました。

 水岡議員は、政治腐敗の防止を目的に1948年に議員立法で成立した政治資金規正法が、他の法律と違い規範を正すと書く「規正」であって、制限する意味の「規制」ではないことにも言及。政治資金の流れを、国民に明らかにし、正しい方向で政治活動が行われることを目的とすることが自明の理である。この改正案が公正な規律でなく、「抜け穴だらけ」「ザルのよう」との指摘を覆せなかった自民党は、この法律が目指した方向性に逆行していると言わざるを得ないと断じました。

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 その上で、本法案の反対理由として(1)政治家本人の処罰強化につながらないこと(2)裏金の温床ともいえる「政策活動費」が温存されること(3)利益誘導政治を存続させること(4)検討、先送りのオンパレードであること――を列挙し、具体的な問題点を指摘しました。

 水岡議員はまた、本法案の審議で、当該法案と関係のない要素を理由に同一の政党が衆議院と参議院で賛否を違えるという異例の対応があったことを問題視。他党のこととはいえ公党の行動として国民の理解は得られにくいのではないか、少なくともわが会派としては極めて理解に苦しむと酷評しました。

 最後に、フランス人作家・バルザックの言葉「法律は蜘蛛の巣である。大きな虫は突き抜け、小さな虫だけが引っかかる」を紹介。「まさに自民党案は、小さな虫だけが引っかかり、巨悪は温存するような小手先の改革にすぎず、相も変らぬ裏金体質や金権腐敗の根を断って、ガラス張りの政治を実現するものではない。こんな抜け道だらけの規正法改正で裏金事件の幕引きとは、自民党は国民の怒りを甘く見過ぎてはいないか。幕を引くべきは、裏金事件だけではなく、自民党政治そのもの。国民の期待に応え『本気の政治改革』に取り組み『まっとうな政治』を実現するのは、いったい誰なのか。総理が言われるように『国民に判断』してもらおう」と述べ、討論を締めくくりました。