立憲民主党は9月7日午後、新代表を選出する代表選挙(告示:9月7日、投開票:9月23日)の候補者共同記者会見を党本部で開催しました。司会進行は代表選挙管理委員の坂本祐之輔衆院議員が務めました。
代表選挙管理委員長の吉川沙織参院議員は同日午前に野田佳彦、枝野幸男、泉健太、吉田はるみの4名の衆院議員から立候補の届出があったと報告。「今回の代表選挙は、立憲民主党の政権獲得に向けて、そして日本に国民生活本位の政治を実現するためのリーダーを選ぶ選挙」と表明し、代表選挙管理委員会は党大会終了までの17日間、公明、公正な代表選挙となるよう全力で取り組むと語りました。
「党に集う同志としての互いの尊重の上に立って、熱く、闊達に、そして正々堂々と議論が繰り広げられるよう、各々の立場でのご協力とご尽力を」「国民の皆さまに立憲民主党が歩む道筋、日本の政治が進む新たな未来を明確にお伝えする17日間となるよう、全党の心合わせを」と求め、立憲民主党代表選挙をスタートを宣言しました。
続いて、届け出順に候補者が政見を述べました。
■野田佳彦候補
野田候補は「この代表選挙は平時の代表選挙とは異なり、この後に自民党の新しい総裁が決まり、おそらく早い段階で解散総選挙が行われることが予想をされるなかで行われる。だからこそ、政権を取りに行くための心合わせ、力合わせをするための、政権交代前夜の代表選挙であると位置づけている」と冒頭で発言。政権を取りに行こうという思いを代表選を通じて共有したいと述べました。
その上で、「今の政治の状況に強い危機感を抱いている」として、裏金問題がまかり通っている政治に決別をするために、きちんと政治改革を進めていかなければならないとの認識を示し、「政治資金規正法は残念ながら天下のザル法、天ザル」だとして、自民党にはできない抜本的な改正を行っていくと宣言しました。「他の野党とも連携をしながら、しっかりと膿を出し切る。その役割を、その先頭に立つ決意だ」と語りました。
その先の政治改革としては(1)被選挙権年齢の引き下げ(2)クォータ制導入の検討(3)国会議員の世襲を制限をするための政治資金規正法の改正(4)分厚い中間層を取り戻す政策の総動員(5)選択的夫婦別姓の実現(6)地域コミュニティの再生(7)日米同盟を基軸とした外交安全保障(8)新しい政と官の関係づくり――等を列挙しました。
■枝野幸男候補
枝野候補は「日本は今大きな分岐点に立っている。アベノミクスが限界を迎え、経済の危機に直面している。自民党の裏金事件でかつてないほど高まった政治不信による政治の危機だ。今こそ立憲民主党が明確な政治改革の道筋、そして日本経済や日本社会のビジョンを示し、国民の期待に応えていかなければならない」と発言。立憲民主党が目指すべき明確なビジョンを示さなければならないと述べました。
その上で「目指すべきビジョンとして、私はヒューマンエコノミクス、人間中心の経済を掲げた。多様な個人が最大限に力を発揮できる環境をいかに作れるか、日本の可能性はその一点にかかっている」と述べ、教育、研究開発、高齢化、少子化など社会課題への対応も、徹底的に人を中心を置き、人に投資をする、それがアベノミクスを総括できない自民党とは明確に違う人間中心の経済だと説明。足元では物価高に苦しむ家計への支援、中小企業のへの支援などの緊急対策を効果的に打ち出す考えを示しました。
「国民政党へと進化するためにも3つの課題に挑戦する」として、(1)政治腐敗を一掃する改革(2)ジェンダー平等推進の取り組み強化(3)地方政治の改革と地方組織の基盤強化――等を取り上げました。
■泉健太候補
泉候補は「自民党はやってはいけないことをやった。自民党はやはり政権から退場していただかなくてはならない。立憲民主党に責任を果たさせてほしい。私たちは批判ばかりでもない、反対ばかりでもない、建設的に政策を作ってきた。特に私の3年間において、政権を担える立憲民主党にしたい、その一心で歩んできた。党内みんながリーダーシップを発揮する、国民の皆さまに訴える、そういう政党をつくりたいと思って、この間やってきた」「政権を担う政策を持つ政党にしたい、現実路線の歩みをしたい、外交、安全保障、経済、エネルギー、どれも主義主張以上に国民の皆さまを不安や混乱に陥れてはならない」と発言しました。
政権運営も単に脱官僚ではなく、官僚とともに協働するとして、「活官僚、官僚の皆さまを活かしてこの国を担っていく」との考えを示しました。
その上で「立憲民主党はアンチビジネスではなくて産業を伸ばす」と述べ、代表選のキャッチフレーズに「日本を伸ばす」を掲げているとして、(1)成長か分配かではなく、この国の未来を作っていく政策(2)地域農業の立て直し策(3)観光政策(4)外国人労働の問題(5)地域経済の再生(6)教育の無償化――等に言及しました。
■吉田はるみ候補
吉田候補は「代表選に手を挙げた時、絶対に無理だ、永田町の常識では1期生の挑戦などありえない、と言われるなど、この間さまざまなことがあった。私が作りたい政治の形は、これまでの政治の慣習にとらわれない、まさに等身大の政治」と発言。その上で、「この代表選挙で訴えたいことは、教育×経済、それが国民生活の底上げにつながるという好循環になる、これを訴えていきたい」と述べました。
「教育、これは人の力を引き出す。本当に大事なところだ」として、自殺、引きこもり、不登校といった生きづらさを抱え、幸福度が低い日本の子どもたちを前に、「私はまず次世代の子どもたちをしっかり支える教育、教育は心配するなと、教育の無償化、これを実現したい」と語りました。政府の予想よりも10年前倒しで進む少子化にスピード感を持って取り組んでいくと語り、しっかり無償化を実現していくとしました。
吉田候補は「教育と経済は分けて考えられない」と述べ、イノベーションを生み出す力をつけていくためには継続的な教育強化が重要だと訴えました。
「経済の面でまず真っ先にやらなければいけないのが、国民生活の底上げ。収入のアップだ」とも述べ、最低賃金を全国一律で 1500円にすることを目指す考えを示しました。
質疑応答では、記者団からの野党連携の在り方、原発政策などの質問に各候補がそれぞれ答えました。