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 衆院本会議で12月17日、渡辺周・衆院政治改革に関する特別委員会委員長が政治改革関連法案に関する報告を行い、続けて会派を代表して馬淵澄夫衆院議員が賛成討論を行いました。予定原稿は以下の通りです。


政治改革関連法案に対する賛成討論

立憲民主党・無所属 馬淵 澄夫

 ただいま議題となりました3法案につきまして、賛成の立場から会派を代表して討論を行います。

 まず政策活動費の廃止について申し上げます。

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に端を発し、政党が党の幹部に対して支出する、使途が不透明な政策活動費が「政党の裏金」として問題になりました。政治資金を適正に処理し、できる限り公開することが必要である以上、政党から政治家個人に支出された先の使途について報告が求められない現行制度は、政治資金規正法の趣旨に則るものではありません。

 政治に対する国民の信頼の回復を図るため、この法律案においては、政治団体の経費の支出は、当該政治団体の役職員又は構成員に対する渡切りの方法によっては、することができないこととし、いわゆる政策活動費を全面的に禁止しています。これにより、必ず精算が必要となり、最終的な支出先やその金額が政党の会計帳簿・収支報告書に記載され、透明性の向上が図られることになります。

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 当初の自民党案も、渡切りの方法による支出を禁止することは共通していましたが、渡切りが禁止される対象団体が政党本部及び国会議員関係政治団体に限定されていること、安全・外交秘密関連支出、法人等業務秘密関連支出、個人権利利益関連支出といった「公開方法工夫支出」などと、何を意味するのかさっぱりわからないようなネーミングでブラックボックスと化した仕組みを設けようとしていることに厳しい批判が浴びせられました。

 このような定義もあいまいで、透明性が全く図られないような支出を残そうとすること自体、先の衆院総選挙で示された政治とカネに対する国民の厳しい審判を無視するものであり、わが党としてもとうてい受け入れられる案ではありませんでした。私たちは、審議の中で、国民の信頼を勝ち得るような対応をしなければならない、野党7党案に賛同いただき、政策活動費の完全廃止を実現すべきと主張して参りました。そして、今回、自民党が野党7党案を丸呑みして受け入れていただき「公開方法工夫支出」が削除されることになりました。「熟議と公開」という新しい国会のあり方で、政治資金の完全な透明化に向け舵を切ったと、評価できます。

 次に政策活動費部分等を削除した修正後の自民党原案についても申し上げます。修正で削除された部分以外の政党本部または政治資金団体に係る収支報告書のオンライン提出の義務化、収支報告書に係るデータベースによる情報提供の充実、外国人・外国法人等による政治資金パーティーの対価支払の禁止等、自らが代表者となる政党支部への寄附に係る寄附金控除の特例及び所得税額の特別控除の適用除外、政党交付金の交付停止等に関する法制上の措置は、立憲案にも盛り込まれていた内容であり、賛成いたします。

 続いて第三者機関についてです。

 当初の自民党案の第三者機関は、政治資金全般を対象とするというより、多くの規定は「公開方法工夫支出」の監査についてでした。政治資金の制度に関する提言についても「提言を行う」とするだけで、提言をどこに行うのか、提言を受けた者の対応など、具体的な規定がありませんでした。政策活動費を完全廃止すればこの案は不要です。さらに、今回、自民党案を取り下げ、国民・公明案の政治資金監視委員会に賛同されることになったことも、評価します。

 国民・公明案の政治資金監視委員会については、国民民主党とはもともと東電国会事故調をモデルに国会に置くべきであるとして、共に検討し、解散前の国会では共同で法案提出したこともあり、国会に設置するという設置形態や組織のあり方、機能や権限についての方向性は共通しているものと考えられるので賛成いたします。第三者機関の具体化について、是非、ともに真摯に議論していきたいと考えています。

 最後に企業・団体献金の禁止について申し上げます。

 これまでも多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となってきました。国民のための政策を実行するためには、特定の企業・団体によって政治・政策決定がゆがめられることのないようにすべきです。国会議員が関係する政党支部の2023年分政治資金収支報告書の国・地方分の集計によると、企業・団体献金の総額が18億9513万円に上り、そのうち17億8437万円、実に94%が自民党支部に献金されています。これは明らかに自民党が企業・団体献金に依存していることの証左です。

 また、政治家個人への企業・団体献金禁止の代替・抜け道としての政治資金パーティーが、自民党派閥による裏金問題につながったといえます。河野洋平元議長のオーラルヒストリーにもあるとおり、そもそも、企業・団体献金禁止と政党助成は、トレードオフの関係にあったといえます。1994年以来、30年の懸案となっており、国民の政治に対する信頼を回復するためにも、今こそ資金力に物を言わせて政策決定をゆがめる企業・団体献金を禁止し、個人献金中心に移行していくべきであると考えます。

 しかし、石破総理は、企業・団体献金の禁止は「憲法21条には抵触する」と声高に主張したかと思えば、すぐに、「違反するとまでは申しません」と答弁を翻すなど、発言に一貫性を欠き、禁止に消極的な姿勢です。企業・団体献金の禁止と憲法第21条との関係については、政治改革特別委員会に提出された政府統一見解に、「企業・団体が政治活動に関する寄附を行うことは政治活動の自由の一部であり、これを禁止することが、いかなる状況においても憲法第21条に照らして許されないということではないと考えるが、公共の福祉の観点からの必要やむを得ない制約であるか、その必要性や合理性については、慎重に検討する必要がある」と記されており、禁止が憲法違反であるとただちに言うことはできません。

 企業・団体献金の扱いについては、残念ながら今国会においては我が党の主張と大きなへだたりがあり、結論は先送りされて、「衆議院政治改革特別委員会において精力的に議論を行い、令和6年度末までに結論を得る」という申し合わせとなりました。引き続き真摯な議論を求めて参りますが、その際、国民の政治とカネの問題に対する不信と怒りを率直に受け止め、改正に反映させることが必要と考えております。自民党におかれましても、政策活動費の全面廃止と同じく、企業・団体献金の禁止に舵を切られることを強く求めます。

 以上、関連法案への賛成討論といたします。