参院予算委員会で3月10日集中審議が行われ、立憲民主党から徳永エリ、森屋隆、奥村政佳各参院議員が質疑に立ちました。
■徳永エリ議員

徳永議員は、(1)8月からの高額療養費上限額引き上げの凍結(2)年金法改正案(重要広範)が見送られる可能性 (3)備蓄米の放出に関して(4)介護問題――等について質問しました。
徳永議員は冒頭、高額療養費上限額引き上げの見直しについて、3月5日に参考人として招致された全国がん患者団体連合会の轟理事が、本日、傍聴人として参加していることに言及した上で、患者の皆さんの懸念を代弁する形で質問をすると述べました。徳永議員は「今回の凍結は与党の党利党略で、参院選が終われば、また引き上げ案が出され、強行採決されるのではないかと皆さんが心配している」と述べ、石破総理に強行することはないと明言してもらいたいと求めました。総理は強行採決することはないと明言した上で、持続可能な制度が維持できるように議論を深めていきたいと答弁しました。
■森屋隆議員

森屋議員は(1)公共交通が果たす役割(2)人手不足社会に対する政府の対応――等について質問しました。
森屋議員は、フランスを例にあげ、日本の公共交通に対する公的支援について「鉄道が赤字でけしからんというのは日本特有。世界の考え方とは違う」と指摘し「地方鉄道が災害時に、弱い人、つらい人、国民に対して、もう少し輸送をしっかりできるように予算の在り方、公共交通に予算をつけられないか」と訴えました。
石破総理は「適正な予算かどうかは、国会において議論する」「鉄道と自動車をどう融合するか」「道路も鉄道も持てる有意性を最大限発揮する」と述べました。
森屋議員は「鉄道、自動車が共存できていない。鉄道が脆弱になっている。予算もしっかり議論していきたい」と訴えました。
■奥村政佳議員

奥村政佳議員は、保育士、気象予報士として現場でさまざまな経験を積んできた立場から、(1)大船渡市における山林火災(2)保育現場の課題と改善策(3)保育士確保と処遇改善(4)大学研究者の雇い止め問題(5)防災情報の発信と防災庁の役割――等について取り上げ、政府の見解をただしました。
奥村議員は冒頭、岩手県大船渡市の山林火災を受け、昨年の能登半島地震の特例措置と同様に、確定申告の期限延長や税制法上の特例措置を速やかに決断するべきだと主張。あわせて災害救助法や激甚災害指定と税制措置の連動を提案しましたが、加藤財務大臣は税制の公平性などの観点から慎重な議論が必要との答弁にとどまりました。
次に、保育士確保と待遇改善をめぐっては、昨年まで現場にいた立場から、保育士の過酷な労働環境、余裕のなさが虐待事例や事故増加の一因になっていると指摘し、保育士の配置基準の改善が必要だとあらためて強調。特に、1歳児における配置基準改善に係る「職員の保育士平均経験年数が平均10年を上回ること」という加算要件について、現場の実態とあっておらず、新規採用の妨げになっていると批判し、「エビデンスがない。人を増やすことを先に考えるべき」だと訴えました。三原担当大臣は、現状の要件を維持しつつ、配置状況を見ながら今後検討していくと回答しました。
また、保育所が有料職業紹介業者に支払う高額な手数料が経営を圧迫していると指摘。賃金を上げても続く人手不足と、それによる保育士離職の悪循環を断ち切るためには抜本的な対策が必要だと主張しました。