5月7日の参院憲法審査会で、災害時の選挙制度について参考人質疑が行われ、立憲民主党の小西洋之、水野素子の両議員が、笠置隆範・総務省自治行政局選挙部長、大泉淳一・一般社団法人選挙制度実務研究会会長、小島勇人・一般社団法人選挙制度実務研究会理事長/総務省管理執行アドバイザーに質問しました。

 小西議員は、繰延べ投票の制度について、まず笠置参考人に「災害規模や繰延べる期間による法律上の制約はないか」と質問しました。これに対し、笠置参考人は、選挙が一斉に行われない繰延べ投票の形態が「憲法に違反するものではない」と述べた上で、災害規模や期間に関する規定はなく、「選挙管理委員会が投票を適正に行わせることが可能であると判断した時点で、できるだけ早期に投票を行わせる」と答弁しました。さらに、災害の被害が広範囲であったり、選挙実施までに長期間を要する災害であっても繰延べ投票の実施が否定されないこと、公示・告示日前に災害が発生した場合であっても繰延べ投票ができること、公示・告示日以降に投票期日を延期する方法としては現行では繰延べ投票以外にないことを答弁しました。

 また、大泉参考人、小島参考人の両名に対し、繰延べ投票の運用面について質問しました。小西議員は、統一地方選挙の直前に東日本大震災が発生し、川崎市が自らの選挙を滞りなく終わらせた上で、被災地である陸前高田市の延期された選挙への支援に向かったという例に言及。「統一地方選全体が延長になると川崎市のような支援ができない」と述べ、「大規模災害が起きたときには災害を受けていない地域が着実に選挙を終わらせて、そのマンパワーで被災地の選挙支援を行う取り組みが重要なのではないか」との見解を示しました。

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 水野議員は、笠置参考人に対し、「繰延べ投票が数カ月といった長期にわたる場合、従来の選挙日から投票を繰り延べている期間について、法律により選挙運動を制限することはできるのか」と質問しました。笠置参考人は「候補者の判断により選挙運動を行うことは可能である」とした上で、選挙の公平・公正等の観点から「新たな規制を設けることも可能」と答弁しました。

 また、国政選挙の際に大規模災害が生じた場合に備えるために、選挙実務に通じた人員の育成、確保、派遣の仕組みなど「国レベルで全国規模の支援体制の構築が平時から必要ではないか」と投げかけ、小島参考人は「東日本大震災のときを参考に、支援体制のスキームをあらかじめ考えておくことは必要」と見解を述べました。

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