参院内閣委員会で6月5日、現在は国の特別機関である日本学術会議を特殊法人化する「日本学術会議法案」(政府提出案)および立憲民主党が3日に提出した修正案の審議が行われ、「立憲民主・社民・無所属」から石川大我、奥村政佳、木戸口英司各議員が質問に立ちました。立憲民主党の修正案は、学術会議の独立性を明記(2)安定した財源基盤を確保するための規定――等を盛り込んだものです。
■石川大我議員
石川議員は冒頭、修正案提出者に第1条、第37条に「独立して」と書き込んだ理由について質問。杉尾秀哉議員は、「2020年の6人の任命拒否を発端とした今回の法案は、非常に筋が悪い稀代の悪法。これでは新制学術会議はがんじがらめで身動きできなくなることを深く憂慮する。なぜ新しい組織を乱立させる必要があるのか。憲法が保障する「学問の自由」の危機に瀕している」と述べ、国から独立したというのは外形上のものにすぎず、法案の中身は多段階かつ複雑に外部の、とりわけ政府が影響力を及ぼすことができる仕組みが組み込まれたものになっている」と指摘。日本学術会議自身が自律性・自主性と並んで最も重視している概念である「独立性」をあえて明記したと答えました。
杉尾議員は修正案提出の経緯について、ナショナルアカデミーの5つの要件のうち特に「国家財政支出による安定した財政基盤」「活動面での政府からの独立」「会員選考における自主性・独立性」が充足されず、今年4月の学術会議の決議などで指摘されているとして、この最大の懸念事項を払しょくし、法案修正の要望に応えるために学術会議の現在のメンバーとも綿密に協議を重ねたものだと説明しました。

石川議員は、5年前の任命拒否問題で、6人の学者が理由も示されず排除されたままであることをあらためて問題視し、「不透明なまま制度だけを改変するのは国民への背信行為だ」と断じました。
政府が市民による反対署名を「受け取らない」と対応した点にも触れ、「市民の声を封じる姿勢そのものが法案の危うさを物語っている」と批判。石川議員は、学術会議の独立性を守る修正案を立憲民主党が提出していることを紹介し、「学問の現場が忖度せず、自由にものを言える空間を守らなければならない」と強調しました。
さらに、「これは一部の専門家の問題ではなく、社会全体の知の基盤をどう扱うかの話だ」と述べ、国民一人ひとりにこの問題への関心を呼びかけました。
■奥村政佳議員
奥村議員は、気象学を専門とする研究者の立場から、「科学には政治的忖度があってはならない」と主張。政府案が、評価委員会や会員選考に政府の関与を許す仕組みになっている点を挙げ、「これでは、政権の意に添う研究だけが残り、自由な探究が損なわれる」と危機感を示しました。
会員が無給・ボランティアで活動している現状にも触れ、「財政支援が不安定なまま制度を変えるのは、研究時間を奪い、本来の学問の使命を損なう」として、補助金依存からの脱却と制度的安定の必要性を訴えました。
「学術会議が『政府の御用機関』になるような制度にしてはならない」と表明。学問の自律性と社会的信頼を守るため、政府案の見直しと慎重な審議を求めました。
■木戸口英司議員
木戸口議員は、日本学術会議法改正案について、「任命拒否の説明もないまま進めるのは筋が通らない」と批判しました。木戸口議員は、政府と学術会議の信頼関係が損なわれたままの改正は拙速だとし、立憲が提出した修正案のように「合意形成を経た制度設計が必要だ」と強調しました。
