小川淳也幹事長は7月29日、国会内で定例の記者会見を開き、参院選挙の総括などについて発言しました。
小川幹事長は、参院選挙の結果を受け自民党内で石破総理の責任を問う声があることに関連して「大敗の責任を石破総理がどう受け止めているかを注視していく。出処進退はまずはご本人の判断を見極める。昨日の様子を見ていると、そこがあいまいで往生際が悪い。それ事態が大きな政治空白を生んでいる。今後、政策推進、国会運営、党運営のみならず、さまざまな支障をきたし、最終的にはその影響が国民に及ぶのではないか」と懸念を述べました。
立憲民主党の参院選総括については「7月31日に全国幹事長会議、8月1日の夕刻に両議員総会、懇談会を開催し、経過と結果について総括的な意見交換をする。国会の会期にもよるが、お盆を挟んで8月内に、きちんとした総括を行う」と述べました。
また、ガソリン暫定税率廃止について「臨時国会に向けて起動スイッチが入った状態。果実にして成果にして国民にお返ししたい」と意気込みを語りました。
内閣不信任案の提出については、小川幹事長は「前国会から引き続き、適時適切に総合判断する」と述べました。
小川淳也幹事長記者会見
2025年7月29日(火)10時30分~10時54分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/F8BU1KXDnQ4
■冒頭発言
■質疑
■冒頭発言
【司会(中谷幹事長特別補佐)】
それでは、定刻でございますので、本日の幹事長定例記者会見を始めさせていただきます。まず冒頭、小川幹事長より、よろしくお願い申し上げます。
○石破首相の続投表明について
【幹事長】
おはようございます。 閉会中ではございますが、常任幹事会のご報告がないときも、役員会は開催していますので、それに合わせる形で、週1回程度、様々な党務の状況等をご報告したいと思っております。 まず冒頭ですが、昨日、4時間半ですか、自民党内における議員懇談会の様子、かいつまんで様々報道等に接していますが、私どもは非常に、この参院選の自民党の大敗責任を石破総理がどう受け止めておられるかということを非常に注視しております。 出処進退に限っては、まずはご本人の判断を見極めさせていただくと、尊重するという態度で来ておりますが、昨日の様子を見ておりますとそこが曖昧で、非常に、往生際が悪いこと自体が大きな政治空白を生んでいると。政治空白を生まないための続投を主張しておられるようですが、あれ自体が大きな政治空白であるという強い印象を受けております。 おそらくですが、今後、政策推進、国家運営、党運営のみならず、様々支障を来し、その被害は最終的には国民に及ぶのではないかということで大変懸念をいたしております。昨日の様子を見て、更にその意を強くしたところでございます。
○参院選の結果を受けた取組について
【幹事長】
我が党でございますが、31日の木曜日に全国幹事長会議を行う予定です。そして、1日が仮に召集日で、ほぼ確定だと思いますが、1日の夕刻、両院議員総会並びに両院議員懇談会を開催し、この度の参院選の経過と結果について総括的な意見交換を行う予定でございます。その後、国会の会期にもよりますが、お盆を挟んで厳しく我が党としても総括を行い、おそらくお盆明けから8月月内にかけて、きちんとした総括を党としても行っていきたいと思っているところです。 秋の国会に向けては、直ちに、ガソリン税(暫定税率廃止)のほうは起動スイッチが既に入った状態にございますので、これらの早期成立等、具体的に今回の参院選の結果を果実にして、成果にして国民にお返しするということに専念したいと思っております。
■質疑
【司会(幹事長特別補佐)】
ありがとうございます。それでは質疑応答に入らせていただきたいと思いますので、質問のある方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。
○石破首相の続投表明について
【共同通信】
先ほど幹事長から昨日の自民党の両院議員懇談会で総理が続投を示されたことについての受け止めを伺ったが、これについて伺いたい。首相が降ろされるようで降りないという不思議な状況になっており、この場合、今後野党側として内閣不信任決議案の提出というところも再度検討の俎上に上る可能性がある。現状この内閣不信任決議案に対する野党第1党としての姿勢について伺いたい。
【幹事長】
これは前国会から野田代表が申し上げているとおり、適時適切に総合判断する。今、現状をもってなお、それ以上のことを言える状況にはありません。
【共同通信】
冒頭、往生際が悪いところが政治空白を生みかねないという言葉の真意だが、これはもう早々に退陣すべきだという意味合いでおっしゃっているのか。あるいは、混乱が問題だというご認識でおられるのか。どういうふうに受け止めればよろしいか。
【幹事長】
内心はおもんぱかっていただきたいと思います、ここまで申し上げている以上。しかし、それを公言・明言するときには、まさに1問目の問いに関して野党全体としてどう対処するかということに対する一定見通しを持って公言したいという意味合いも含めて、先方の出処進退を見極めたいと言うにとどめているというふうに理解していただきたいと思います。
【朝日新聞】
先ほどの不信任の関係で伺いたい。幹事長は冒頭で石破さんについて、往生際が悪いとか、政策推進や党運営のみならず様々支障を来すとおっしゃった。この言葉だけ聞いていると、要は国民生活にも支障を来すような状況で、ここは野党としては不信任を出さない選択肢はないと思うが、それでもなお適時適切とおっしゃる、そこの真意を改めてお願いしたい。
【幹事長】
代表も「信任に値する政権ではない」と、参議院選挙直後、公言されているはずで、認識は共有しております。 一方、具体的な政治的運び、あるいは決議案の成否等、当方が抱える様々な問題意識や環境整備は、昨年秋の国会、そして今期の通常国会、ご覧になられればおわかりだと思いますが、そう簡単・単純な状況ではないので、この言葉を公言するときには、それなりの見通し、責任が伴うということで、あえて控えているというふうにご理解いただきたいと思います。
【朝日新聞】
関連で。国民民主党の古川代表代行を初め、野党のほかの各党からは立憲に対して不信任を求めるというか促すような声も出ているが、こうした他党からの声についてはどう受け止めているか。
【幹事長】
真摯に受け止めていますが、お気楽でいいなという受け止めでもあります。本気になれば他の野党も共同すれば(提出に必要な)51人以上数を集められるはずですから、仮に本気でそうおっしゃっているならば、本気でそういう動きが見えてこそではないかというのが私の受け止めです。
【朝日新聞】
今の点は、おそらく国民民主と維新の会とか、ほかの野党が二つ以上固まって出すことができるということだと思うが、その場合、立憲としてもそういう動きがあった場合にはそこに呼応していくのはやぶさかではないという感じか。
【幹事長】
不本意ですね、それは。野党第1党として、あくまでイニシアティブを取り、主導権を、ちょっと主導権を確保すると言うと言い方があれなのですが、要するに主導権をお預けいただいた状態で、まさに国会の様々な判断・決議案の中でも最も重いものですから、しっかり責任感を持って対応したいというのが本意ですが、あえて外野から、外野という言い方もちょっと失礼ですが、他党からそういうお声があることについて聞かれた受け止めですので、そう申し上げました。
○世論調査の結果について
【産経新聞】
政党支持率について伺いたい。弊社が26・27両日に実施した世論調査では、立憲民主党の支持率が6.8%にとどまり、国民民主党の13.9%、参政党の9.8%を下回り、野党では3番目となった。この支持率が停滞している状況について、どのように要因を分析されるか。
【幹事長】
選挙結果そのものでも、これから総括いたしますが、比例票、無党派層の支持、そして激戦区や複数区における競り勝ちに至らなかったわけで、これは大変厳しく受け止めているところです。その選挙戦冷めやらぬ中での世論調査ですから、選挙戦の構図・支持状況がそのままこうした数字にも表れているというふうに、厳しく謙虚に受け止めているところです。
○経済社会政策について(1)
【産経新聞】
今、選挙の比例票についても言及があったが、リベラルな政策の訴求力に関して、そういった政党支持率に加え、参院選の比例票が伸び悩んでいることから、リベラルな主張や政策が有権者に響かなくなっていると捉えることもできると思うが、この点についてはどのようにお考えか。
【幹事長】
一点、ちょっと真面目に、真摯にそれは考えたい問いです。 全体として、世界全体が右傾化の傾向にあり、ある種、法の支配とか、あるいはルールによる民主主義に対するチャレンジングな政治勢力が台頭してきているという認識を持っています。私自身これは非常に、歴史を振り返ると、1930年代の状況や、日本でいえば昭和一桁の状況にある種類似した、韻を踏む状況を繰り返しつつあるのではないかという、大変大きな疑問、疑念、危惧、危機感を抱いております。 なので、「リベラルな主張や政策が響きにくくなっているのではないか」という問いに対しては、もしかしたらそういう傾向があるかもしれないという懸念なり危機感を持っているというのがストレートな答えになりますが、一方、「それは果たして社会にとって健全なことか」「歴史で愚を繰り返さないために、歴史にしっかり学びながら、愚を繰り返さないためにあるべき姿なのか」という問いが伴うべきだと、その問いには、と思っていまして、私はその後者の問いのほうを大変危機感を持っています。 リベラルな主張と一口に言ってもいろいろだと思いますが、自由や人権、個人の尊重、そして、平和で豊かな社会。これをないがしろにして、まかり間違って国家主義的な、全体主義的な考え方が浸透し普及していくということ自体が、非常に危険な方向に社会が進みつつあるという大変な危機感を持っています。
【産経新聞】
関連して。そのような危機感を持っている中で、有権者であるとか広く国民にどのように立憲民主党の訴えや、そういったリベラリズムの考えを伝えていこうとお考えか。
【幹事長】
これは選挙中も、私自身、実は一生懸命訴えたことなのですが、図らずもこの参院選、後半は特に外国人政策が一つの話題に図らずもなりました。それで私、申し上げたのは、問題の根本は国内の構造問題にあり、それは格差の固定化や貧困の拡大にあるということを繰り返し申し上げました。だんだん人々の生活が厳しくなり、格差や貧困にあえぐような社会になると、比較的単純な答え、敵をつくるような政治スタイルに共鳴し共感する人が多くなる。つまり、自分の苦しさや厳しさに対する、「誰かのせいだ」と。そして、よりシンプルな答えに飛びつきたくなりがちなのが人々のある種素直な方向性であり考え方なのだろうということを、歴史を通して学ぶから、なおさらそう感じています。 ということはなのですが、この人々の自由や人権、多様性を尊重する共生型の社会を目指すということを主張するということは、つまり、それを受け入れるだけの社会に一定のゆとりや精神的余裕、そして経済的なある程度の見通し、こうしたものが下支えとしてあって初めて通用する考え方なので、私は、より今深刻に問われているのは社会政策であり、社会の安定化、暮らしの底上げ、将来への見通し、これをもたらすべき政治の責任は極めて大きく、今この風潮として見られるある種のポピュリズム的な考え方や、そうした政治勢力が台頭しているのではないかということへの疑念は、歴史を振り返れば振り返るほど、極めて大きな破壊的な結果に至りかねないということを含めて、大変責任を感じつつ、何度も申し上げますが、危機感を持っております。
○投開票日のSNS投稿について
【産経新聞】
最後に一点、別件で。蓮舫さんが参院選投開票日当日に、自身への投票を促すようなアカウント名で投稿を行った問題について伺いたい。野田代表はこの件について25日に、事実関係をまず把握したいと述べておられたが、党として蓮舫氏からの聞き取りなど事実関係の確認は行われたのか。また、その上で党としての対応を伺いたい。
【幹事長】
実務的・事務的に陣営とのコミュニケーションを取っており、ご本人もおっしゃっているとおり、これは不注意であるという、党としてもそういう認識でございます。もちろん悪意まではなかったと思いますが、アカウント名が再投稿されることによって事実上選挙運動になりかねない、そういう指摘があったとしても、そういう指摘があり得る状況を招いたということは不注意であったという、党としてもそういう認識でおります。
○経済社会政策について(2)
【毎日新聞】
先ほどの質問に関連して伺いたい。外国人に対する厳しい考えだったりは内政の問題から起因するというお話があった。一方で、内政に抱えている問題によって困っている人がいる場合には、例えば生活者ファーストを掲げる立憲民主党であれば、本来はそこに手を差し伸べ政策を届けなければいけないのが立憲の立ち位置かと思う。そういう意味で言うと、今回の比例票の結果は、立憲として届けるべきところに政策を届けられなかった、もしくは、その政策がふさわしくなかったと有権者が判断してしまっている、そういったところがあるのかと思うが、今後その政策だったり伝え方という部分において何らか変更が必要だったり変化が必要だと今お考えになっているかどうかお聞きしたい。
【幹事長】
訴えている政策の方向性や主要な中身は私はまさに時代にふさわしいということは自負しているのですが、結果を出せていないんですね。それは、教育費の無償化、返済不要の奨学金、安定した雇用、家族政策、農政、あらゆることにおいて訴えている方向性は間違っていないと自負していますが、結果を出せていないんです。結果を出せていない中で、社会の劣化が進んでいるわけです。そして、その劣化した社会の中で生かされ続ける人々が、ある種正気を保てるかどうかの瀬戸際に立たされている人々が相対的に増えてきているということを私は非常に危惧しています。 ですから、政策の変更というよりも、早く社会を安定させ、この劣化した社会に厚みと温かみを持たせ、そして、人々が少々の経済的ゆとり、精神的余裕を身にまとって、他者に寛容で、そして、これは自国ファーストであってもそうなのですが、自分ファースト、日本人ファースト、いろいろとこれね、言わなくてもわかっていることなんですよ。皆、自分が大事で、自国が大事で、そんなことは言わなくてもわかっている。それを言わないという、ある種の前提・建前こそが社会を成立させているんですね。「人様のおかげさま」「お互いに尊重・敬意を払い合ってこそ」、それを建前と言うと薄っぺらく聞こえるかもしれませんが、それが社会なんですよ。それをむき出しで、自国ファースト、自分ファースト、日本人ファーストと言っていること自体が、何かが壊れている。社会の規範、そして、その規範を保つべき社会の安定性が壊れつつある。そのことを危惧しているわけで、政策の方向性を変えるというよりは、早く結果を出さないと、結果につなげないと、という焦燥感・危機感のほうが強いです。
○参院選の総括について(1)
【東京新聞】
参院選の総括について伺いたい。これからまとめていくものだと思うが、参院選の総括、どのようなテーマ、切り口、観点が含まれるべきだとお考えか。
【幹事長】
まず、結果においては、先週申し上げたとおり、比較野党第1党としての議席をいただいたという側面があります。一方、現有議席との、改選議席との比較でいえば横ばいだったという反省点があります。無所属・推薦候補を入れてもプラスは少々でとどまると。それから、比例においては、既に指摘があったように、僅かとはいえ第1党の座を他党に譲っているわけですから、とにかく、冷静に評価すべきことと厳しく総括・反省すべきことが混在した選挙結果だという受け止めですので、その辺を多面的に複眼的にしっかり検証する必要があるというのが一つ。 もう一つは、当然政策。先ほどもご質問ありましたが、政策の体系なり訴求ポイント。そして、広報体制のあり方。SNS等を含めてですね。そして、もちろん候補者。各候補者の運動量、あるいは運動態勢。あらゆることが、あらゆるレイヤーで、結果における総括とプロセスにおける総括が極めて厳しくなされるべきだと考えています。
【東京新聞】
関連して。この参院選の総括だが、幹事長の下で行っていくものという理解でよろしいか。
【幹事長】
最終的に責任は私が負うことになります。実務においては選対委員長・代表代行も相当、この全国幹事長会議から始まって二人三脚でやってまいりますが、最終的な責任は私が負うということになります。
○物価高対策について
【NHK】
物価高対策について伺いたい。今回与党を少数に追い込んだのは物価高対策を主張したという面があると思う。与党は2万円の給付について進めていこうとしているが、御党としてはこの給付に対してどのような態勢で向き合っていくか教えていただきたい。
【幹事長】
ちょっと二つ問題点がありまして、一つは、この政権の正統性、持続可能性、実行力、実行性、これを見極めないと、ちょっと個別政策の当否を議論できる環境にまずはないというのが一つ目の問題点です。 二つ目は、我が党も2万円の給付を主張しているのですが、それはあくまで最長2年間の食料品の消費減税、そして、これに連なる、より公平な給付(付き税額控除)制度という、全体ストーリーのつなぎとして申し上げているわけで、あたかも選挙対策、選挙直前のよく見られるばらまきとちょっと同列に論じられては困るという考えを持っています。 ですから、ちょっとその二つを整理しないと、仮に協力・同調するにしても、まず前提としてその二つが整理されるべきだという考えです。
○参院選の総括について(2)
【朝日新聞】
参院選の総括の関係で一点伺いたい。奈良県連会長だった馬淵さんが、県連会長を辞任されるとともに、党本部の執行部の人事の刷新が不可避だと現地で発言されている。総括の中でもちろん責任の取り方というのも焦点になってくると思うが、幹事長ご自身を含め、現時点で、今回の結果を踏まえて党執行部として何か役職の進退に関する責任を取る必要があるとお考えなのか。あわせて、今、その党役員人事を検討しているのかいないのか。その辺りをお願いしたい。
【幹事長】
まず、何をおいても虚心坦懐に、全国幹事長会議、そして両院議員総会・両院議員懇談会に臨ませていただきたい。まず、心境としてはそれに尽きます。 そして、これは先週も申し上げたと思いますが、常々、ある種進退を懸けて、研ぎ澄まされるような思いで職責・職務に当たっております。 人事に関しては、これも先週も申し上げましたが、野田代表の専権事項でございますので、私からとやかく何かを申し上げる状況には全くありません。
【司会(幹事長特別補佐)】
そのほか、よろしいでしょうか。それでは本日の記者会見はこの辺りで終了させていただきます。皆さんご参集いただきまして誠にありがとうございました。
【幹事長】
どうも、ご協力ありがとうございました。
(以上)
