衆院予算委員会で9月18日、日米関税交渉に関する質疑が行われ、本庄知史政務調査会長、吉田はるみ代表代行が政府の見解をただしました。

■本庄知史政調会長

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 本庄政調会長は、日米の関税交渉について「厳しい交渉なので、さまざまなデメリットを含むのは一定程度理解をしている」と述べ、重要な点として「リスクや曖昧な点は国会に伝えるべきこと」をあげました。

 そして本庄政調会長は「参院予算委員会でも、令和の不平等条約ではないかとの指摘があった。不平等なのは疑いの余地がない」「相互関税と言いながら、日本側にのみ15%課される。対して、対米投資の30兆円、農産物、防衛整備品等の爆買い、日本からアメリカに一方的に拠出する内容。2020年の日米貿易協定は反故にされた。国辱ものだと思うが、不都合な真実を認めるところから始まるのではないか」と厳しく指摘しました。

 赤澤経済再生担当大臣は「(不平等条約について)そのような感覚はもっていない」と答えました。

 本庄政調会長は「合意はわが国の措置しかない一方的なもの。そのことは認めるべき。出資以外の融資が含まれているかどうかどこにも書かれていない。覚書そのものが法的効力がない。そこにすら書かれなかったものが閣僚間で確認しているから大丈夫と言われても、はいそうですかとはならない」と懸念を示しました。

 赤澤大臣は「その点問題があると考えていない」と答えました。

 本庄政調会長は「利益が出ない。赤字が見込まれるものは投資ができない。一方で80兆円の枠が決まっている。予定通り投資が進まなければ関税を引上げると書かれている。赤字を出してはいけない。資金の規模として80兆円。両者にはさまれている。赤字が出ないように精査をすると80兆円に行かなくなる。そこを避けようと甘いリスク査定をすれば、国民の負担につながる」と合意内容の矛盾を指摘しました。

 赤澤大臣は、米国側の担当大臣が米国内で矢面に立っており「日本が約束を守らなければ関税を上げることがあると書いておかないと、米国内的に立っていられなくなる」と相手国の事情の説明をしました。

 本庄政調会長は「人が変わった時には残るのは文書だけ。もろもろ日米で確認しているとしても、担保はあるのか」と懸念を述べました。

 ガソリンの暫定税率廃止について、本庄政調会長は「年内の廃止を実現すると確認している。にもかかわらず5回の与野党協議を繰り返したが、与党から財源が必要だと言いながら、一切その案が出てこない。きわめて無責任。我々は案を出している。意見があるならちゃんと対案を出してほしい」と与党政府に求めました。

■吉田はるみ代表代行
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 吉田はるみ代表代行は、(1)物価高対策(2)米価・食料品の高騰――について取り上げました。 

 吉田代表代行は「今、国民生活は物価高に賃金上昇が追いつかず、負担ばかりが増す現状に悲鳴が上がっている。物価高とトランプ関税のダブルパンチ」だと切り出し、7月の参院選挙以後、自民党による自民党のための自民党の事情によって国民のための物価高対策が遅れており、順番が逆だと政府・自民党の対応を批判。政府ナンバー2の立場の林官房長官に迫りましたが、林官房長官は新しい総裁・総理の下で経済対策を行うためにも、これまで講じた物価高対策の検討協議を進めていると強弁。吉田議員は「逼迫している国民生活に追い付けない。スピード感が必要だ」と断じました。

 立憲民主、自民、公明の3党で給付付き税額控除の実現のための協議体が設置される運びとなったことに言及。「給付付き税額控除は消費税のキャッシュバックでありお金を戻すという、減税政策の目玉。実現すれば逆進性対策として決め手になる有効な政策だ」と意義を強調しました。

 吉田代表代行は「祖父の代から続く八百屋の娘で、食べるものの大切さそれが身に染み付いている。料品の価格に非常に敏感だ」と述べ、「スーパーでの米の販売価格は、5キロ2000円台だったコメが、直近では4155円と昨年の2倍」「食品価格の動向は、「2020年を100とした場合2025年時点で125」になっていると指摘。「政府は、給付金も、消費税減税も、ガソリンの暫定税率も今のところなし。立憲民主党は、財源を示して減税を提案している。民意は給付金よりも減税だ。(給付付き税額控除の)実現までのあいだ食料品の消費税減税を一緒にやろう」と呼びかけましたが、前向きな答弁はありませんでした。

 吉田代表代行は「『給付金より減税』に対する政府の姿勢は見えてこない」と述べ、山井委員長に石破総理出席のもとでの集中審議を求めました。