衆院予算委員会が11月7日に開かれ、立憲民主党から西村智奈美、おおつき紅葉、川内博史、今井雅人各議員が質疑に立ちました。

■西村智奈美議員

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 西村議員は、(1)拉致問題 (2)「奈良のシカ暴行」発言(3)選択的夫婦別姓・通称使用――等を取り上げ、高市総理の認識と対応をただしました。とりわけ「奈良のシカ」発言では、不確かな情報が偏見助長につながりかねないと問題提起し、発言根拠と対応を質しました。

 選択的夫婦別姓をめぐっては、自民・維新の連立合意にある「旧姓の通称使用の法制化」は、野党提出の選択的夫婦別姓制度とは“似て非なるもの”と指摘。維新案(戸籍への通称書き込み等)を踏襲するのかを問いただしました。さらに、総理がかねて例示してきた“DM誤配”や“保育園での引き渡し混乱”は別姓に特有の問題ではなく、制度設計で乗り越えられると反論。国家資格の氏名表記や金融機関口座・クレジットカードでの旧姓利用が依然として限定的である実態を示し、「通称拡大だけでは不利益は解消しない」と強調しました。

 これに対し高市総理は、個別の見解には踏み込まず、連立合意に沿って旧姓通称使用の法制化を“令和8年通常国会に提出・成立を目指す”方針を示すにとどまり、与党・党内の審査手続(部会~総務会~与党政策責任者会議)を経る必要性を説明しました。西村議員は、通称拡大では当事者の不利益に十分応えられないとして、選択的夫婦別姓の早期審議・実現を重ねて求めました。

■おおつき紅葉議員

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 おおつき議員は(1)お米券政策、重点支援地方交付金の拡大(2)担い手支援、農業参画(3)食料安全保障と生産調整(4)米の需給と価格の安定化、備蓄米(5)飼料用米と産地交付金――等について質問しました。

 冒頭でおおつき議員は黄川田仁志沖縄北方大臣が8日に北海道の納沙布岬(根室市)から対岸の北方領土を視察した際、「一番やっぱり外国に近い」などと発言した件について質問。北方領土を外国だと受け取られないかねない発言であったことについて認識をただしました。黄川田大臣は「寒風吹きすさぶ中、全体の文脈を捉えて理解してもらうことが難しかった」などと釈明するとともに、茂木外務大臣は「外交に対する影響はない」と述べたが、高市総理は「誤解を招きかねないと感じたので、電話で注意した」と答弁。おおつき議員は、島民の思いを逆なでするような看過できない発言であったことに懸念を示し、日本国としての正しい認識に立った発言の徹底を強く求めました。

 おおつき議員はまた、「コメ農家では来年の作付けをどうするか迷う声が広がっている」として、石破政権下で「増産」方針を示していたものを、高市政権に代わった途端、「需要に応じた生産」方針へと転換した点について「政府が変わるたび行われる猫の目農政を何とかしてほしいとの声が上がっている」と述べました。

 その上でおおつき議員は、食料安全保障の観点も踏まえて議論しました。5キロのコメの店頭価格が1 年で1000円以上値上がりし、3週連続で過去最高値を更新し、新米が出回っても価格が下がっていない状況に陥っていることを問題視。なぜコメが足りているのに高いのか、今後どうしていくのかについて質問しました。高市総理は「需要見通しが甘かった」ことが要因との旨を答弁しました。

 おおつき議員は「需要見通しが甘かったことを、これからの農政に生かしていかなければならない。今、このコメ戦略が重要な段階だ」と強調。高市政権下で、需要に応じた生産に戻した形だが「元に戻したところで農家の不安の声は高まる。備蓄米を放出しても高値が続くなかでの次の米価収入が見通せない。農家の不安は募るばかりだ」と説明しました。

 高市総理の「精緻な予測ができていなかったところに大きな課題。国民の皆さまの主食であり、米の安定供給というのは、これも食料安全保障の観点がある」などとする答弁を受けておおつき議員は「いま必要なのは安定供給のための国家戦略。それをどう再設計するのかが求められている。分かりやすい政策を」と注文をつけました。

■川内博史議員

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 川内議員は、森友学園問題について(1)地下埋設物調査の報告(2)文書開示の進捗状況――等について政府の対応をただしました。

 国土交通省は、令和6年10月に公表した再調査の結果、当時(平成28年)に見積もられた地下埋設物の量が実際には約4分の1であったと報告があり、これを受けて川内議員は、「慎重な調査・検討を欠いたとの認識を国土交通省として明確に示すべき」と指摘しました。

 また当時の財務省幹部のメールやメモなどの文書開示については、現在財務省で開示作業を進めているとの報告がありました。

■今井雅人議員

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 今井議員は(1)国会質問の通告(2)消費税減税(3)防衛増税 (4)国会議員の定数削減(5)日米関税問題(6)領土問題(7)ノーベル平和賞(8)外国人政策――等について質問しました

 今井議員はまず、国光副大臣がSNSで「午前3時に高市総理の出勤が必要なのは、野党の質問通告が遅いからだ」と投稿した件に言及。「この発言が拡散し、『野党のせいだ』との誤解が広がっている」と指摘しました。そのうえで「現在は平成26年の見直しにより『できるだけ早く提出』とされ、2日前ルールは存在しない」と説明。「事実に反する情報が政府関係者から発信されるのは問題だ」と強調しました。さらに「もし事実と異なるなら、しっかり指導をお願いしたい」と求め、「官僚の方々に負担をかけないよう、私はいつも前日朝までには通告をしている」と自らの姿勢を示しました。高市総理は「通告の事実関係は官房長官から調べて報告する」と応じました。

 続いて今井議員は、消費税減税をめぐる政府の説明に対し「レジ切り替えに時間がかかるというなら、永遠に実現できないという理屈だ。やらない理由ばかり並べている」と批判。「高市総理は総裁選で『食料品の消費税はゼロにすべき』と訴えていた。その信念で、どうすれば実現できるかを考えてほしい」と迫りました。高市総理は「党の税制調査会では合意に至らなかったが、自民党と日本維新の会の連立合意書には『飲食料品を2年間消費税の対象外とすることも視野に検討を行う』と明記されている」「消費税率の引き下げを選択肢から排除しているわけではない」と述べました。今井議員は「プライマリーバランスの方針は内閣が変われば転換できるのに、税制だけ前政権を理由に諦めるのはおかしい」と厳しく指摘し「政策転換を自ら決断してほしい」と訴えました。

 最後に今井議員は「立憲民主党は給付金、消費税減税、給付付き税額控除を組み合わせた現実的な提案をしている。政府も協議に応じてほしい」と求めました。