野田佳彦代表は11月21日、国会内で定例記者会見を行い、(1)「ここからはじまる」全国キャンペーン(2)新潟・柏崎刈羽原発の再稼働問題(3)高市総理の「存立危機事態」答弁――等について発言しました。

(1)「ここからはじまる」全国キャンペーン

 野田代表は、立憲民主党のキャンペーン「ここからはじまる(ココカラ)」で3週連続の全国行脚を行ってきたとして、直近の熊本訪問に言及。健軍駐屯地近くの商店街で、国産初の長射程ミサイル配備計画に関し「きちんと説明会を開いてほしい」という地元住民からの要請書を受け取ったと報告しました。
 「健軍の商店街は市街地のど真ん中にあり、近隣には住宅も病院も学校もある。これは説明会を開かなければならない」と強調。高市総理も総裁選で同趣旨の話をしていたとして、政府に対し丁寧な説明会の開催を働きかける質問を国会で行うよう、党国会対策委員会に指示したと説明しました。

(2)新潟・柏崎刈羽原発の再稼働問題

 新潟県の東京電力柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働をめぐり、同日中にも花角新潟県知事が「容認」の判断を表明する見通しであることについて問われると、野田代表は、「しっかりとした実効性ある避難計画があるかどうか、加えて地元の合意があるかどうか――これが再稼働をどう見るかという、党としての基本的なスタンスだ」と強調。
 その上で、「党新潟県連の声を聞くと、現時点で『しっかりとした避難計画があるとは言えない』『地元への説明も十分ではない』との認識で、再稼働に反対の立場だ。県連の判断を踏まえて対応していきたい」と述べました。

(3)高市総理の「存立危機事態」答弁

 存立危機事態をめぐる岡田克也衆院議員の高市総理への国会質問が一部メディアや有識者から批判されていることについて、野田代表は「質問者が批判される筋合いはない。外務大臣経験者の野党議員が安全保障について、あのような観点から質問するのは当たり前のことだ。それが『悪い』と言われること自体がおかしい」と反論。「おかしいのは答弁の方だ」と指摘しました。

 高市首相の発言については、「アメリカですら(台湾問題では)曖昧戦略だ。日本だけが曖昧さを払拭して明快に答えるのは、間違いなく国益を損ない、国際環境にも影響を与える。明らかに勇み足だった」と批判。中国側が発言への反発を強めている現状については、「あまりお互いにあおらない方がいい。中国総領事による品位のないコメントや、中国外務局長の尊大な態度の中で発言の撤回に追い込まれるのも好ましいとは思わない」と、双方の過度な応酬をけん制しました。その上で、「本意と公式見解を丁寧に説明し続けるほかない」と述べ、政府に冷静な対応を求めました。


野田佳彦代表記者会見

2025年11月21日(金)10時32分~11時10分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/36G5bPgnbb4


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○「ここからはじまる」全国キャンペーン 熊本を訪問

【代表】
 「ここからはじまる」キャンペーンを3週間連続ずっと行ってまいりましたが、一番直近の、先週の土曜日に熊本に行った際に、健軍駐屯地近くの商店街で、地元の皆様から、国産初の長射程ミサイルを配備する計画について、きちっと説明会を開いてほしいというご要請をいただきました。
 この「ここからはじまる」という企画は、聞いて、つないで、変えるということですので、「つなぐ」という観点から、国対委員長にこうした声があったということを伝えまして、安全保障委員会で誰かに地元説明会をぜひ開くようにという趣旨の質問をしてもらうようにしたいと思いますし、そういう指示をさせていただきましたことをご報告させていただきたいと思います。
 なお、今週末は鳥取にお伺いいたしまして、中山間地で農業を営む皆さんからの声をお聞きして、それをつなぎ、変えていきたいと考えております。


■質疑

○党首討論に向けて

【共同通信】
 26日に党首討論が行われることが先ほど決まった。日中関係の冷え込みや、きょう閣議決定される経済対策など、論点は多岐にわたると思うが、どういう点を高市首相にただしていきたいかと、立憲民主党の政策を広く周知するチャンス、機会でもあるが、どういう点を重視して臨みたいか伺いたい。

【代表】
 先ほど正式に決まったと思いますので、速やかに通告をするという今プロセスに入っています。通告の準備を今しているところです。

【共同通信】
 論点としては、どういう点をアピールしていきたいか。また、ただしていきたいか。

【代表】
 最終調整中です。
 ただ、言えることは、公明党の斉藤さんも今回初めて党首討論に参加されるということで、どんな質問をするかお聞きしましたら、私もやりたいと思っていた非核三原則の問題について触れるということなので、短い時間でやられるので、重なってはいけないと思いますので、そこは除きたいと思います。
 それ以外に、当然日中関係の冷え込みであるとか、きょう閣議決定される経済対策など、あるいは政治改革など、どれぐらいの分量でやっていくかについては今調整をしているというところです。

○柏崎刈羽原発について

【共同通信】
 話題変わって、きょう新潟県知事が原発の再稼働について表明する見通しとなっている。地元のプロセスとか、議会など、まだプロセスが残っているが、再稼働すれば、2011年の福島原発事故以来、東電管内では初めての再稼働となる。この点についての受け止めをお願いしたい。

【代表】
 しっかりとした実効性のある避難計画があるかどうか。加えて、地元の合意があるかどうかというのが再稼働を認めるかどうかの我々の党としての基本的なスタンスですが、県連の声を聞いてみると、しっかりとした避難計画があるとは現時点で言えないと。地元に対する説明も十分ではないということを聞いています。ということで、県連自体は現時点では反対の立場だということでありますので、それを踏まえて対応していきたいと思います。

○安保政策に関する国会審議について(1)

【東京新聞】
 岡田克也元外務大臣の質問に関連して、メディアの一部有識者なども、岡田氏自身の質問が悪いんだとか、日中関係の、集団的自衛権の行使に関して、いろいろな批判が出たりしている。岡田さんのインタビューやユーチューブを聞く限りは、かなりあの場面では、高市さんの踏み込んだ発言に関しては驚いたし、更に追及を重ねた場合、もっと危うい発言が飛び出しかねないので、別の話題にあえてそらしたということも言っていた。集団的自衛権の行使という、国としてどういう方向に向かうのか、戦争に参加するのかどうかということが問われる大事なところに関してああいう質疑をしたことに、今、メディアも含めて世の中の分断ができているということに関して、野田さん自身がどう感じているかお聞きしたい。

【代表】
 質問者が批判される筋合いではないと思います。外務大臣を経験した野党議員が安全保障についてああいう観点から質問するのは、当たり前のことだと思います。それが悪いと言われること自体がおかしいんですね。
 答弁がおかしいんですよ。野党で、外務大臣経験者だったら、あの過去の総理の発言をめぐって真意を確かめたいと思うのは当然ではないですか。そこから驚いた発言が出てきたから、岡田さんが先ほどコメントしたようなことになったのだと思いますので、これは筋違いの批判だと私は思います。

【東京新聞】
 加えて、余りにも軽率過ぎるのではないかという高市総理の発言に関しては、その後こうやって中国関係がかなり悪化してしまっているわけだが、その後の今の状況を含めて、翌日にすぐ大串議員が撤回を求めたと思うが、その動きもなく今に至っているということで、具体的にはこれから詰めていくと思うが、今の時点で高市さんのあの発言に関して野田さん自体はどう思っているか。

【代表】
 アメリカですら曖昧戦略なんですね。日本だけが曖昧さを払拭して明快に答えるということは、間違いなくそれは国益を損ねるわけですし、国際関係に影響を与えることは間違いないので、明らかに勇み足だったと思います。
 もう具体的な明言はしないとご本人もおっしゃっているので、反省はしているのだと思いますが、ぜひこれからは、公式見解をしっかり繰り返し繰り返し言い続けていくしかないと思います。

【東京新聞】
 野田さん自身は、首相経験者として、これは削除と撤回を中国側が求めているが、それ自体はかなりハードルとしては難しいのではないかとお感じになっているか。

【代表】
 逆に、あまりもうお互いにあおらないようにしたほうがいいと思っていまして、あの総領事のある種品位のない罵声のようなコメント、あるいは局長の(ポケットに)手を突っ込んだあの尊大な態度等々、あの中で撤回に追い込まれた感というのも、これも決していいとは私は思いませんので、本心というか、本意と、公式見解を丁寧に説明を繰り返すということに尽きるだろうと思います。

○議員定数削減めぐる議論について(1)

【東京新聞】
 もう一点。公明党とのパイプが連立で切れたことで、そういった中国との関係が、外交官だけの立場ではなく政治家同士の中でうまくつくっていけないのではないかということも懸念されている。連立を組んでいる維新も、いさめるというよりも、むしろアクセルを吹かすような方向に、撤回する必要はないという強い発言をされたりしているが、今のこの自維連立のあり方と、それから、今国会中に50定数減だと藤田さんは再び繰り返しているが、その点について野田さんはどう受け止めているか。

【代表】
 50の根拠がよくわからないですし、私自体は定数削減自体は是とする立場でありますが、当初は比例区だけとか言ったり、ちょっとまた少し変わってきているのではないですか。センターラインと言われている話が意外ところころころころ変わるので。
 そういうものではないと思うので、まさに民主主義の根幹に関わることですので、選挙制度協議会で、これまでの選挙制度についてのよく総括をして、新しい選挙制度をどうするかと。同時に、定数をどうするかという議論を、中小政党もしっかり含めて合意形成をしていくというのがあるべき姿だと思っております。

○防衛力整備 長射程ミサイルの配備計画について

【フリーランス】
 冒頭でお話があったが、先週15日に熊本を訪問され、健軍商店街で長射程ミサイルの配備に反対する方々から要望書を受けられた。その後の青空ミーティングの後にぶら下がり取材を受け、その中で、長射程ミサイルの保有自体は否定しないが住民が理解するための説明のプロセスは絶対に必要だというお答えが報じられていた。そのことに対して、特に前段、長射程ミサイルの保有自体は否定しないがというところに関して、要望書を渡した方々が非常にがっかりしていたというか、中には怒っている方もいて、なかなか政治家は信用できないと、住民の声をちゃんと受け止めるのかと、そういう批判の声もかなり上がっているようだが、それについては代表はどのようにお答えしたいと考えるか。

【代表】
 党内の議論の到達点が長射程ミサイルを否定するという立場ではなかったので、党の立場をご説明いたしました。
 でも、だからといえ、健軍の商店街(に近接している駐屯地)というのは市街地のど真ん中にあって、近隣には住宅も病院も学校もありますので、これはきちっとした説明会をしなければいけないと思いますし、高市総理もそうした趣旨のことを総裁選挙でおっしゃっていましたので、丁寧な説明会をやるべきだと思いましたので国対につなぎました。

【フリーランス】
 長射程ミサイルの配備だが、これは年内にやるということで、健軍だけではなく大規模な弾薬庫の新創設や高速の滑空弾の配備計画が日本全国各地で進められようとしているが、そのことも含め、そういった市街地の中、あるいは市街地ではなかったとしてもそういった地域に、抑止力という名前の下でどんどんミサイルが配備されていく現状について、どのように受け止め、健軍の場合は年内に配備するということになっているが、そういうことについてどのように国会で対応されていくのか。国対のほうにも説明会を開くようにと話をされたということだが、どんどんミサイル配備が進んでいく現状については、どのように特に国会で対応されていくお考えなのかお聞きしたい。

【代表】
 長射程のミサイルを配備するということは是とするというのは、周辺の諸国が長い射程のミサイルを持っているわけですので、(相手が)長い槍を持って狙っているときに、短刀だけでは、専守防衛という視点からもこれは効果がないと思いますから、抑止力という観点から是とするという立場であります。
 そうは言いながらも、沖縄に過重な負担になってはいけないので、そのほかの地域に配備していかなければいけないということで、一般論ではわかりますが、地域住民にとっては、特に住宅街などが控えているところについては、これこそ丁寧な説明をしていかなければいけないと思いますので、そういう趣旨から国対に指示をしたということです。

【フリーランス】
 もう一点。昔、米ソの間でINFという中距離弾道ミサイルを全廃する条約とかもあったが、その後2019年に破棄されたが、そういったミサイルの削減みたいなことを東アジア外交の中で取り込んでいくお考えはないか。相手がミサイルを増やしたから日本も増やすというのでは切りがないと思うが、それについてはどのようにお考えか。

【代表】
 周辺状況をよく見ながらの判断をしなければいけないと思います。

【フリーランス】
 今のところ臨時国会ではすぐには対応を考えていらっしゃらないということか。

【代表】
 臨時国会ですぐ取り上げるかどうかは、それはわかりません。中長期の外交・安全保障の調査会等でよく議論していきたいと思います。

○経済対策 「21.3兆円規模」政府案について(1)

【毎日新聞】
 きのうのNCの冒頭でも触れられていたので、ちょっと重なるかもしれないが、政府の経済対策について伺いたい。きょう閣議決定される見通しだが、改めて、規模感や内容について、今出ている時点での受け止めと、今後、補正予算に関しての賛否、賛否を決める際の考慮するポイント、そういった点について伺いたい。

【代表】
 ちょっときょうのマーケットの動きをまだチェックしていませんが、少なくとも株価が1000円ぐらい出だしから安くなっているということでした。きのうの流れだと、きのうは債券安・円安が進んでいました。債券安も(長期)金利が1.8%台に乗るような状況だったと思いますし、円も対ドルで157円台の半ば、そしてユーロも181円台と、ユーロ創設以来で最安値などというような状況が続いているということは、やはり財政拡大の路線にマーケットは懸念を持っているということだと思います。
 それが為替とか金利に表れていると思いますので、そのマーケットの警鐘をどう政府が受け止めるかという段階に来ているのではないかと思います。特に、財政に対する懸念で、マーケットのいわゆる警鐘を無視して突っ込んだのがイギリスのトラスショックだったと思いますので、これは緊張感を持って注視していかなければいけないと思います。
 逆に言うと、政府の経済対策が21.3兆円、予算規模にして17兆円台と、13.9兆の昨年を大幅に上回っているけれども、大きければいいということではない。財政に対する懸念が生まれると、逆に景気の足を引っ張ることになりかねないし、インフレを助長するという状況になりかねないと思いますので、我々の場合は8.9兆と、政府の経済対策に比べると半分以下でありますが、的を絞った即効性のある政策にしていますので、むしろ我々の政策のほうをしっかりと主張していかなければいけないと思っています。

【毎日新聞】
 子ども1人当たり2万円の政策など、一部立憲民主党の考え方を取り入れるというか、重なる点もあるかと思うが、その個別の項目というよりは、やはり今おっしゃったように全体の与える影響とか、そういったところを勘案していきたいということか。

【代表】
 21.3兆の中には、我々の言っている政策もそれは盛り込まれてくると思います。我々は的を絞っていますので。子どもに対する給付金の支給だけではなく、医療機関の支援であるとか、重なるものは当然出てくると思いますが、でも、余りにもかさを大きくすることの弊害をどう見るか。もっと的を絞れという主張を我々はしていかなければいけないのではないかと思います。

○議員定数削減めぐる議論について(2)

【毎日新聞】
 もう一点。先ほども少しお話が出ていたが、定数削減の関係で、きょう自民党と日本維新の会が実務者協議を開き、定数の1割削減を目標として、衆議院の協議会で1年以内に結論を得るということで大筋合意したということだ。1年以内というスケジュール感とか、改めてその辺りはどのように考えているか。

【代表】
 与党の中で決める話ではなく、選挙制度というのは各政党が競い合う土俵ですので、あらゆる政党が協議をしながら合意形成していくというのがあるべき姿だと私は思っています。その意味からも、選挙制度協議会で議論していくべきではないかと思います。

○政治改革 企業・団体献金規制強化法案について

【読売新聞】
 政治改革の分野について伺いたい。企業・団体献金の規制を強化する法案を国民民主党と公明党が19日に提出した。立憲民主党としては企業・団体献金を禁止する立場でありつつも、まずは規制強化という考えだったかと思うが、現時点でこの法案に対してどのように対応されるか伺いたい。

【代表】
 政治改革推進本部の中で、その法案についての検討をしていると思います。これまでも申し上げてきたとおり、我々は禁止の立場でしたが、政治改革を一歩でも二歩でも進めるという意味においては検討に値する内容で、基本的には賛成の方向で調整をしていきたいと思います。
 今検討中ですので確たることは申し上げられませんが、7800も自民党の政党支部があるというのは、これは異常な状況だと思いますし、石破前政権のときに、その実態を把握するようにとお願いをし、調査をしたはずですが、いまだに回答が出てこないんですよね。そのお金の出入りの実態すらまだ十分把握できないようなところが企業・団体献金の受け皿になっているということ自体がおかしいと思いますので、これは当然のことながら政党支部については受けられないようにするということは基本的には正しい道だと思います。
 上限規制等々、いろいろとまだ論点もありますので、その辺については我々の考え方をもっと整理したいと思いますし、先般、国民の古川代表代行にお会いしましたら、もちろん修正をする余地はあるというお話でしたので、党としての主張をまとめていきたいと思います。

【読売新聞】
 以前、今後数年後に見直す規定を入れてはどうかという提案もされていたかと思うが、これについては現時点で求めていくお考えはあるか。

【代表】
 はい。企業・団体献金の廃止が我々の究極の目標でありますので、その目標に到達するためには、とりあえずは政党支部が受けられないようにするという規制強化を是としながらも、3年後、5年後の見直し規定を入れておくということは、これは大事なポイントになると思います。

【読売新聞】
 元々賛成のような立場だった日本維新の会に対しては、どのような動きを求めていくか。

【代表】
 元々一番強く廃止ということを強調されていた党ですので、だとするならば、あまり与党寄りになり過ぎず、与党ですが、自民党寄りになり過ぎずに、野党だった頃の原点に立ち返って、この案でぜひご協力をいただければと思います。

【読売新聞】
 最後に一点お願いしたい。先ほど言及されていた、自民党が調査しているがまだ結果が出てこないという話だが、これも引き続き結果を出せと求めていくお考えか。

【代表】
 もちろんです。この地方支部(への企業・団体献金)廃止の方向で議論する際の重要な判断材料になるのではないかと思いますし、この間、参議院で蓮舫さんが予算委員会で質問されていましたが、企業・団体献金の受け皿として、この地方支部が三十数%受け皿になっていますよね。しかも、お金の出入りについては極めて不透明ですので、ここがまさに自民党の一番守りたいところだとするならば、それはこここそメスを入れなければいけないところだと私は思っています。

○給付付き税額控除 4党協議について

【日本経済新聞】
 給付付き税額控除について伺いたい。きのうの自民党と立憲民主党の政調会長会談で、給付付き税額控除を維新と公明も合わせた4党で協議することに合意した。日本維新の会も、自民党との合意文書の中で給付付き税額控除の制度設計を進めると明記しているように、前向きなところだと思うが、この制度設計の加速に向けて期待することを伺いたい。

【代表】
 元々、石破執行部のときに、自民党・公明党と我々と協議体をつくって給付付き税額控除についての制度設計をしていくということでスタートしましたが、今度政権が替わり総裁が替わったわけなので、新しい執行部の下でもこの協議体は継続するという、これは約束でしたので、その流れの中でのきのうの会議だと思います。
 維新も給付付き税額控除については賛成の立場ですし、その議論を突破口として社会保障全体の見取り図を一緒に考えていきたいというお立場でしたので、これは4党、加わったということは更にいい議論ができるのではないかと思います。その他の政党もどんどん参加していただけるように、そういう環境整備をしていきたいと思います。

○経済対策 「21.3兆円規模」政府案について(2)

【NHK】
 経済対策の関連で伺いたい。先ほどお考えを述べられたが、立憲の経済対策の、例えば中低所得者への給付などは入っていないかと思う。この辺をどのように求めていくか。あるいは、減額していくよう主張するということだが、過不足をどのように、修正という形で協議していくお考えはあるか。その辺りのことをお願いしたい。

【代表】
 きちっと経済対策が閣議決定されて公表されたならば、それについて各部門で精査をするように、きのうNC(次の内閣)で申し上げましたので、そういうプロセスにこれから入っていきたいと思います。
 先ほど、お子さん1人当たり2万円の支給については、これは小林政調会長に高市さんから認めるように(指示があった)ということで、うちの本庄政調会長に連絡がありました。会議中に指示がありましたけれども。それ自体はいいと思うのですが、それはまだ(申し入れた緊急経済対策の)全体の一部なので、「物価高・食卓緊急支援金」の中の一部ですので、むしろ全体的に、4人家族で年収700万円以下の世帯、中所得・低所得者世帯に対する3万円の支給についても、ぜひ認めてもらえるように、これからも努力をしていきたいと思います。
 内容的にはこれからどんどんそういうことを個別に実現できるようにしていきたいと思いますし、逆に、無駄があると思ったところは、それは削るように主張していきたいと思います。
 少し今ちょっと申し上げましたが、何で総理から政調会長に指示があって政党間で連絡があるのかというのは、官房長官に最初ご説明に行っているので、官房長官からそれに対する回答として総理から指示があるならわかるけれども、政調会長に下りてきているとか、ちょっと指揮系統がよくわからないところがありますね。

【朝日新聞】
 今のNHKさんの質問の答えのところにもかぶるが、今回、経済対策に関して、本庄政調会長が官邸に行って官房長官に直接申入れをされたと思う。野党第1党がこうした経済対策や重要案件で官邸を自ら訪れて申入れをするというケースはかなり珍しいと思うが、その点、今回の戦略というか、どういう狙いからか。

【代表】
 何か他党が官邸に行ってご説明しているというような話がありましたので、では、私が行ってもどうかなと思いましたので、政調会長に行ってもらいました。

【朝日新聞】
 ある種、野党第1党として国会で対峙して国会論戦の中で対案を突きつけてというのがこれまでのスタイルだったと思う。そことはいささか違うと思うが、その辺の変化はいかがか。

【代表】
 あらゆるチャンネルを使って政策実現をしたいという気持ちはありますので、いろいろなことをやろうということですね。

○憲法論議について

【朝日新聞】
 別件で、憲法に関して伺いたい。自民党と日本維新の会の両党で、いわゆる憲法9条や緊急政令のところで協議体をつくって、少しアクセルを加速している面があると思う。憲法審査会でも今度、起草委員会なるものの設置提案をしてくるという報道もある。高市政権に替わってからの憲法改正をめぐる論議をどう見ているかお聞きしたい。

【代表】
 起草の動きは高市政権の前から、動きとしてはありましたし、主張としてもありましたが、それ以降、議論が熟成されてきているとは思えませんので、時期尚早ではないかと思います。

○非核三原則について

【西日本新聞】
 先ほど党首討論で非核三原則の話は斉藤代表がされるのでということでおっしゃっていたが、改めて、野田代表として、今、非核三原則の見直しが行われるのではという見方が強まっているが、お考えを伺いたい。

【代表】
 広島・長崎に原爆投下されてちょうど80年という節目ですし、去年は日本被団協がノーベル平和賞を受賞しているということなどを踏まえた中で、非核三原則の見直しという(動きがあることに対して)、ある種、国是のような、佐藤栄作政権以降の国是のような日本の大原則を、これは私は堅持していくべきだと思っていますので、そういう視点から、何でそれを見直そうとする動きになっているかについては厳しくただしていかなければいけないと思っていましたし、加えて、国内だけではなく、最近はトランプ氏であるとか、ゼレンスキー氏も含め、戦争の正当化、早く終わらせるための正当化で、広島・長崎を引用したりするということがあるんですね。その意味では風化をしてきていると思いますので、その意味からも非核三原則は堅持すべきだと私は思っています。
 そういう観点から、もしチャンスがあれば質問しようと思っていましたが、これはでも、広島を選挙区とする、極めてこだわりを持っていらっしゃる斉藤さんがやられるならば、そちらに譲ろうかなと思っています。

【西日本新聞】
 関連して、もう一問。これまで自民党と公明党が連立政権を組んでいて、公明党が核禁条約のオブザーバー参加を政権に求めたり、結構そこでブレーキ役としての役割を果たしていたが、今、維新と自民でそういう安保の話というのも加速する懸念というか、その辺りはどのように感じているか。

【代表】
 その意味では、26年間連立を組んできた中で、公明党がブレーキ役を果たしてきたと思いますね。そのブレーキ役がなくなって、アクセルが二つになってしまった分、非常に何かいけいけの路線が強まっていく懸念がありますので、逆に言うと、野党第1党としてのブレーキ役としての使命もあるだろうと思っています。

○安保政策に関する国会審議について(2)

【日本テレビ】
 存立危機事態に関連して、岡田議員の質問のほうが逆に今批判されるような状況であったり、立憲の質問や政権に対する姿勢が逆に今批判されるような状況が起きているかと思うが、一方で、立憲民主党として政権を監視するという部分については変えるべきではないという考え方もあると思う。今後の立憲民主党としての政権との対峙の仕方について、変えずにいるべき点、あるいは、今のこの世論や風潮をもってして変えるべき点がもしあるとしたら、その両方について、どうお考えになっているか伺いたい。

【代表】
 世界中がトランプ大統領に忖度する風潮があり、日本では高市総理大臣に対して忖度するような、迎合するような、特にネット世論があるというのは、私は極めて危険だと思っていますので、ただすべきことはただす、間違っていれば間違っていると言うという、当たり前のことをきちっと言っていく勢力が必要だと思いますし、そういう役割を我々は毅然と果たしていきたいと思います。

【日本テレビ】
 逆に、変えるべき点というものは、今、現時点では。

【代表】
 我々の姿勢ですか。

【日本テレビ】
 はい。

【代表】
 変えるべき点はないと思います。しっかりと国会の中でただすべきことはただしていきたいと思います。

○政策実現に向けた取組について

【北海道新聞】
 先ほどあった官邸への申入れの関係だが、他党の申入れもあって立憲としても行くということをおっしゃっていたが、やはり少数与党になったからこそ、立憲として、野党の政策が受け入れやすいという環境にもなってきているということで、政権に対する対峙の仕方も変わってきているという理解なのか。

【代表】
 政策実現のチャンスが、少数与党になれば野党側としてはチャンスが広がっているということだと思います。

【北海道新聞】
 そういうこともあって今回官邸のほうに申入れに行ったと。

【代表】
 そういうこともあって、あらゆるチャンスを使っていきたいということです。

○安保政策に関する国会審議について(3)

【「FACTA」】
 野田先生は12年の尖閣国有化のときの総理であられた。このときも、ある種の曖昧な部分を、やむを得ずやったという経緯だと思う。ただ、本来これは日本の固有の領土をそうされただけだと。しかし、それに突っ込んできたわけですね。今回、25年はやはり状況がかなり違うだろうと。まさに中国の核心的な利益と言われるところに、しかも、2027年は人民解放軍の建軍100年で、元々これはやばい年だと言われていて、その上で26年が最も大事だと言われているような状況があった。この二つを比べたら、前者と後者、その緊張度とか、我々国民が率直にどれぐらい深刻に受け止めたらいいのか、12年の総理である先生の見解を伺いたい。どちらがやばいというふうに僕らは考えないといけないのか、経済界や国民は。

【代表】
 尖閣については、もう一貫して「国際法上、歴史上、我が国の固有の領土である」と言い続けてきた中で、土地の諸島の所有権を個人から国に移転するということの説明を、いわゆるハレーションが起こった以降も言い続けてきました。言い続けてきても、やはり沈静化するにはかなり時間がかかったんですよね。
 それに比べて、台湾については、「台湾海峡の平和と安定」と、これは一貫して我々も言ってきていますが、中国にとってはずっと核心的な利益の核心と言ってきていることなので、我々がかつて遭遇した重大な事態よりもより深刻な事態になってきていると思いますので、なおさら、この間、首脳会談では戦略的互恵関係という大きな方向性を確認していますよね。だとすると、人的な交流とか経済的な交流を、これはどんなことがあっても続けるということは粘り強く主張していきながら、クールダウンを図っていくしかないのではないかと思います。

【「FACTA」】
 私はこの分野の専門家でも何でもないが、私は岡田先生の質問が当然だとは思うが、やはり日本の与党・野党も、2027年というのがクリティカルイヤーで、この時期にそういう質問をして、こういう答えを取ることは、やはり本質的にどちらもやや平和ボケだったのではないか。だから、当然の質問をしたというのもちょっと無理があって、答えたほうはもうこれはどうしようもないわけだが、こういう中国に対する、与党と野党第1党ですから、どっちもどっちで、やや平和ボケというのか、用心が足らなかったというのは、また今後の国会でもそういう質問をしていかないといけないのは当然のことだと思うが、どうなのか。

【代表】
 それは、(高市首相は)かつての総裁選の頃から台湾有事について言及されていたので、念のために岡田さんは外務大臣経験者として聞いているわけであって、その姿勢自体は否定されるべきではないと私は思います。
 むしろ、3時から答弁レクをやっていたんですよね。当然のことながら質問の通告も出ているはずですので、その通告を踏まえてしっかりと関係省庁とすり合わせをした中で、きちっとした答弁をするというのが当たり前だったと思います。それができなかったところに大きな問題があるのではないでしょうか。

【東京新聞】
 今の関連だが、台湾有事は日本有事という発言は、安倍さんが総理を退いた後から声高に言うようになり、非常にアジテーション的にその話が出て、わーっとメディアも取り上げていたのを覚えている。高市さんが、一議員としてではなく総理という立場でありながら、いつもの高市さんらしさを出してしまったのかもしれないが、ああいったところまで言ったことを、どう受け止めているか。おそらく岡田さんは、これまでの一議員としての発言に非常に危機感を持っていたということもただす意味であの国会質疑に立ったと思うが、その点はどうかという点と、もう一つ、水産物の輸入が止まってしまった。ALPS処理水問題で870億円ぐらい水産物輸出が中国にできなくなり、ようやく石破政権で697施設のうち三つの施設が開所して、これからだというときに、またこれが止まってしまうことに今回高市総理の発言でなった。このことについても一言いただきたい。

【代表】
 まず、岡田さんの質問の趣旨は今おっしゃったとおりであって、一議員の頃に言っていた発言をまさか総理になって言うとは思っていなかったけれども、念のためにということだと思いますよね。そこに対して、いわゆる総理大臣としてのたしなみとして大事な、これまで培ってきた、つないできたものを壊してしまったということは、これは大きな勇み足だったと私は思いますので、発言というのは重たいということを自覚してもらわなければいけないなと思います。
 これは台湾有事に関わることだけではなく、例えばプライマリーバランスについてもそうだと思います。従来ずっと続けてきた方針を、お一人の判断で、もしかして、どんどんと決めていくとするならば、あるいは非核三原則についても、党内や政府内のしっかりとした議論を踏まえていないで独走で行くとするならば、それはあってはならないことだと思います。本当に一人でよく勉強される方でありますが、独断専行だけはやってはいけないと思います。そこはよく注意深く見ていかなければいけないだろうと思います。
 それから、水産物の関係等々、いろいろなところに今、影響が出ていますが、これはお互いにクールダウンしなければ、もっともっとエスカレートする可能性があると思いますので、やはり大局的な観点に立ちながら冷静に対応していくということを、お互いに気をつけなければいけないときだと思います。

(以上)