安住淳幹事長は12月6日、新潟県十日町市を訪れ「日本の政治状況と高市政権」と題して講演しました。講演では主に(1)高市政権の誕生と政治状況の変化(2)右傾化への警鐘と日本の進むべき道(3)放漫財政への批判と野党の役割(4)現実を見据えた中道路線の重要性――等について語りました。
(1)高市政権の誕生と政治状況の変化
安住幹事長は、高市総理の誕生で国会の空気がガラッと変わったと指摘。「急に支持率が高くなった。ただ、高市総理はまだ何もしていない。だから高市総理(の支持率)は期待値だ」と述べ、今後の動向を注視する考えを示しました。
同時に、自公連立政権の解消という四半世紀ぶりの大きな政治変動に触れ「高市総理の周辺は非常に保守色が強いから、それに嫌悪感を持った公明党の皆さんが連立離脱した。これはものすごく大きいこと」と述べるとともに、「国政の枠組みが変わったことは、だんだんと地方の選挙や政治にも大きな影響を与えてくる」と指摘しました。
(2)右傾化への警鐘と日本の進むべき道
安住幹事長は、近年の排外主義的な風潮に強い懸念を表明しました。8月に行われたアフリカ開発会議(TICAD)に対して「『アフリカを支援するぐらいだったら、日本の子どもたちを支援しろ』というのが若者に受けたというから、ショックだった」と語り、戦後の日本が国際社会からの支援で復興し、その恩返しとしてアジア諸国等の発展に貢献してきた歴史を忘れるべきではないと訴えました。
「『日本は自分だけ豊かになるんじゃなくて、その豊かさを分けてくれた。この橋も、そこの学校も、この道路も病院も日本のおかげでできた。だからわれわれは武力で威嚇する中国より日本の方を評価して支持するんですよ』と。これが戦後日本が歩んできた道ではないか」と述べ、先人たちが築いてきた国際的信頼を守る重要性を強調。「高市政権に対して私たちは一線を画す。いくら支持率が高くても、右傾化する日本を引っ張っていくような存在だとしたら、ストップをかけたい」と明言しました。
(3)放漫財政への批判と野党の役割
安住幹事長は、高市政権の積極財政路線についても厳しく批判。「赤字国債を11兆円発行して、減税分を含めたら21.3兆円規模の補正予算だ。これを年度内にどう使うのか」と述べ、年度内に消化しきれない防衛費などを補正予算に計上し、使い残しが基金として積み上がっている実態を問題視しました。
「その貯め込んだお金が、来年の3月で13兆円ぐらいになる。高市総理が積極経済というから、日本の国債が危ないと思っている人たちが金利をどんどん上げてる」「13兆円、ただ国の基金に積んでいるだけで、計算上1年で2600億円の利払いをしてるのは国民だ」と指摘し、こうした「大盤振る舞い」の姿勢を国会で徹底的に追及していく決意を示しました。
(4)現実を見据えた中道路線の重要性
最後に安住幹事長は、威勢のいい言葉ではなく、現実を見据える「中道路線」の重要性を訴えました。防衛費増額について「5兆円だったのを岸田政権で9兆円にして、高市政権で15兆円まで増額する可能性がある。その一方で、自衛隊は人手不足だ。防衛費を増やして、軍艦や戦車を増やしても誰が乗るのか」と、まずは防衛の担い手が不足している現実を直視すべきだと語りました。
また、同じく人手不足に苦しむ介護や農林水産業の現場などを例に挙げ「外国人排斥と言っても、この人手不足で介護の施設で誰が働くのか」「ちゃんとしたルールは作るけれども、外国人を寛容に受け入れて、多様性を包摂する社会の方が未来があると思いませんか」と呼びかけました。
その上で「現実を見据えた改革をやっていこうというのがわれわれ中道路線だ。一時の右傾化する風に乗っかっていたら日本は危ない道を行く」と締めくくり、野党の再建と政権交代可能な政治の実現に向けて全力を尽くす考えを表明しました。
