野田佳彦代表は12月7日、「ここからはじまる―聞く・つなぐ・変える―」全国キャンペーンで滋賀県を訪れ、伊吹山の土砂災害復旧工事現場を視察した後、米原市で対話集会に参加しました。
【対話集会】
滋賀県連主催の対話集会は、中川雅史滋賀県議が司会を務め、県連代表である今江政彦滋賀県議のあいさつに続き、平尾道雄滋賀県第2区総支部長が日々の活動を通じ寄せられる声を紹介しました。
■平尾道雄第2区総支部長
平尾総支部長は「今、私と同年代の70代、さらに上の80代、こういう人たちがやはり何らかの仕事をして収入を得ようとしている」「年金だけでは暮らせない社会になってしまっている」と指摘。物価高についても「食料品ですと昨年の1.2倍、1.3倍ぐらいになっている。同じ値段かなと思って取ってみると、ケースが小さくなっていたり中身が少なかったりしている」とし「これはやはり円安なんです」と庶民の生活実感を語りました。
また「パーティーを開いて利益で8割、1回やれば1500万円近くが収入になる。それは政治資金として税金がかからない」と述べ「こんな金銭感覚の人が政治をやっていて結果が出るわけがない」と政治と金の問題を批判。「今こそ政治を私たちの手で、私たちの声で変えていかなければならない」「こんな時代を子や孫にそのまま渡してなるものか」と訴えました。

■野田佳彦代表
野田代表は伊吹山の視察について「鹿の食害から始まって、あんな大規模な土石流が発生するというのは日本で初めてのこと」とし「改めて国・県・市がよく連携をしながら懸命に対応しているということはよく分かったし、特に前の市長(平尾総支部長)が素晴らしかったんだなということがよく分かった」と述べました。
物価高対策については「臨時国会が始まったのが10月21日。参議院選挙が終わったのが7月20日。3カ月間にわたって国会は長い夏休みだった。その間にどんどん物価が上がっていた」と指摘。「ガソリン税の暫定税率が廃止されることになった」とし「51年前、田中角栄総理の時に導入された『当分の間』の税金が、ようやく廃止される」と経緯を説明。「リッター25円下がれば、40リッター給油で1000円安くなる」「米原はやはり車社会。車社会のところほど地域の活性化に繋がる」と成果を強調しました。
食料品についても「消費者物価指数は3%の伸びだが、食料品は7~8%、生鮮食品は2桁の伸び」と指摘し「われわれは食料品の消費税8%を時限的にゼロにすることを主張している」と説明。「低所得者だけではなく中所得者も含めて1人あたり3万円の物価高食卓支援金を渡す。お子さんがいらっしゃる場合にはプラス2万円」という立憲民主党の提案を紹介しました。
高市政権については「安倍さんの時は完全にデフレの時だった。円安に誘導して大きな企業が儲かるようになった。だけど、それが末端に届いたか。働いている人に届いたか。中小企業に届いたか。年金生活者に届いたか。届いてこなかった」と総括。「円安は庶民をいじめる政策だ」とし「今は明らかに行き過ぎた円安で、放っておいて物価高対策をやっても意味がない」と批判しました。
政治改革について「われわれは企業・団体献金を廃止しようと思っている」と述べ「自民党は公開すればいいと言っているが、多額のお金を企業からもらえばそっちの方ばかり向いて国民の方を見なくなってしまう」と指摘。「自民党は1年間に80億円企業団体献金をもらう。96%は自民党だ」とし「まずは政治と金の問題に決着をつける。ここからやっていきたい」と強調しました。

続いて会場の参加者との対話では、伊吹自治会長から「15年前は高山植物で百花繚乱の山だった伊吹山を元に戻してほしい」「環境部局と土木部局がしっかり手を組んで復旧を進めてほしい」との要望が寄せられました。野田代表は「国と県と市が互いに見合ってしまい、どこの責任か分からずポテンヒットになってしまうことがよくある」としつつも「今日視察した感じでは比較的みんなが連携しようとしているなという感想だ」と述べ「この事例はおそらく全国でも起こりうる。生態系に問題があって土木技術で対応しなきゃいけない、環境部門とも連携しなければいけないなど、いい成功事例をぜひ作っていただければ」と応じました。
平尾総支部長は「国の省庁というのは利権構造、縦割りだ」と指摘し「私は20年近く市長をやらせてもらったが、その前に30年近く職員という経験があったから、どこにお願いをするか、何を的確に伝えるか、どのタイミングで言わなければならないか、その判断には自信がある」と述べました。その上で「地方自治体を信頼してください。地方政治をやっている議員さんも信頼してください。地方政治がしっかりすれば、国を私たちのほうに動かすことはできますし、国の政治は変えられる」と訴えました。
30年以上の支持者から「会場を見ても若い方がいない」「SNSの使い方など難しいのではないか」との指摘がありました。野田代表は「教育の無償化もわれわれが最初。バラマキと言われたが、今どの党も無償化を言うようになった」と振り返り「若い世代向けの政策をしっかり訴えていきたい」と回答。SNSについては「バズることが正論とは思わない。いいねをいっぱい集めれば正しいとも思わない」とし「地に足のついた政策を分かりやすく説明していくためのSNS活用に留意しながら、自分たちの持ち味を活かしていきたい」と述べました。
為替についての質問には「1ドル155円台、157円まで行ったのは行き過ぎ。国民生活にとって大きなマイナスだ」と指摘。「油も食料品も海外から買っているので、買うものが高くなっていくことは庶民の生活を苦しめる」とし「今は明らかに行き過ぎた円安で、円安を放っておいて物価高対策をやっても意味がない」と述べました。
防衛費については「5年間で43兆円と金額ありきで言い過ぎている」と批判。「補正予算で1.1兆円上積みしたが、残り3カ月で使い切れるわけがない」「2年連続で1000億円以上余らせている状況。こういう無駄遣いはやめなければいけない」と指摘しました。また「十数年前、防衛費も教育予算も農水省の予算もほぼ同じ4~5兆円だった。防衛費は2倍になったが教育予算は横ばい。農水省の予算は4兆円台後半から2兆円台に半減した」と述べ「お金の使い方を変えていくことが政権交代だ」と訴えました。
このほかに、会場からは医療保険の負担増への懸念、琵琶湖の流木処理をめぐる行政の縦割り問題、エネルギー問題などについて意見が寄せられました。
そして、野田代表は政権交代について「比較第一党を取って中道政権を作るという目標を引き続き堅持していきたい」と意欲を示しました。平尾総支部長は「私たち庶民で有権者は、まとまった票も政治献金もできない」とした上で「しかし、まとまった票や政治献金をするところにしか向き合わない自民党政治は先が見えてきた」と指摘。「当たり前の率直にものを言う庶民の、私たち一般有権者の方を向く政治を作り上げよう」と呼びかけました。
集会には県連代表代行の佐口佳恵氏が県議、県連幹事長の草川肇大津市議はじめ県連所属の自治体議員も出席しました。
【伊吹山土砂災害復旧工事現場視察】
対話集会に先立ち、野田代表は角田航也米原市長とともに、昨年7月に発生した伊吹山の大規模土砂災害の復旧工事現場を視察しました。
伊吹山では鹿による深刻な食害で植生が失われ、土壌が流出したことが土石流の原因となりました。平尾総支部長は「鹿が木の皮だけでなく根っこまで食べてしまった」と被害の深刻さを説明。滋賀県の担当者は「3年ほど捕獲を強化し、山頂のお花畑が復活しつつある」と述べました。
続いて訪れた砂防堰堤の建設現場では、高さ8.5m・幅180mの堰堤を含む計5本の堰堤で合計1万9000立米の土砂を受け止める計画が進んでいることを確認。平尾総支部長は「災害発生から2カ月でワイヤーネットを設置し、台風シーズンに備えてくれた」と振り返り「技術職の存在が大事だと感じた」と述べました。野田代表は「城下町の逆で、外堀・内堀みたいな感じだ」と構造を評し「この技術はすごい。水とか山が動くということに対して人間に何ができるかと思うが、こういう土木技術でこれだけの構造物ができる」と感想を語りました。その上で「土木のプロは必要だし、植生のプロも必要だし、総合力だ」と述べました。

