立憲民主党は12月12日、外航船や遠洋漁船、海事関連産業で働く人たちで構成される全日本海員組合より「海運・船員の政策諸課題に関する申し入れ」を受け、意見交換を行いました。
要請は、令和3年に来島海峡で発生した内航貨物船と外国籍船ケミカルタンカーによる海難事故を踏まえ、船舶事故における事故調査が、航空機や鉄道など他の事故事案に比べて遅れがちな現状を指摘し、早期に原因究明と再発防止を徹底するため事故調査体制を強化すること、海洋国家である日本で船員の人材確保は最重要課題であることから船員を養成する教育機関への予算拡充を要望しました。他にも、国内における貨物・旅客輸送を自国籍船に限定するカボタージュ規制の堅持、海上通信インフラ整備の確保、代替燃料や自動運航船などの技術革新における安全性確保のための制度整備の必要性等も喫緊の課題として説明されました。
具体的には、「海難防止への取り組みと安全対策」「船員の確保・育成の推進」「船員養成教育機関の維持・定員拡大」「『海の日』の7月20日への固定化」「カボタージュ規制の堅持」「代替燃料への対応」「情報通信インフラ整備」等、33個の項目について取りまとめられたものです。
会議の冒頭で、逢坂誠二選挙対策委員長(海員政治活動委員会政治参与)が、地元選挙区の恵山岬付近で今年1月にタンカーが座礁した事故について触れ、油の大規模流出は回避できたものの、原因究明が依然として進んでいないと指摘しました。事故の背景には乗組員の過酷な労働環境もあったのではないかと懸念を示し、迅速な調査と再発防止策の必要性を述べた上で、「引き続き海員組合の課題に力を尽くしていく」とあいさつをしました。

参加した現場の代表者からは、「海上勤務者の選挙投票はFAXで行うことも可能だが、新しい船にはFAX自体が搭載されていない等、投票へのハードルが高く、近年導入が進むスターリンクなどの通信インフラ等のインターネットを活用した新たな投票制度を拡充してほしい」「代替燃料を活用していく上では、アンモニア等危険物の取扱いには細心の注意が必要であり、検知器の精度向上、安全基準の策定や教育訓練が必要である」といった意見等が挙がり、参加議員との間で闊達な意見交換が行われました。
要請、意見交換には、衆参合わせて15名の議員が参加しました。

