衆院本会議で12月8日、立憲民主党・無所属を代表して、森田俊和衆院議員が「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」に対する討論を行いました。

 7月の銃撃事件以降、立憲民主党はいち早く旧統一教会被害対策本部を立ち上げ、宗教二世や元信者の被害者、弁護団から被害の実態を伺ってきました。
 小川さゆりさんは、ご家庭が寄附を続けていたことから経済的な困窮状態で、学校ではいじめの被害に逢われていました。学生時代などのバイト代の約200万円も、親に没収され、同時期に、親は高額の寄附をしていました。旧統一教会による苦しみから、これからの子どもたちを救いたいと、与野党のヒアリングに参加し、被害を訴えてきました。
 橋田達夫さんは、元妻が入信し、合計、約1億円もの高額献金をめぐり、夫婦間で喧嘩が絶えず、離婚せざるを得なくなり、家庭は崩壊し、息子さんも自ら命を絶たれました。橋田さんも、これからの子どもたちを同じような旧統一教会による被害にあわせたくないと、訴えておられます。
 小川さんや橋田さんの被害は珍しい事例ではありません。マインドコントロールにより、合理的な判断が出来なくなり、ご自身の生活やご家族を犠牲にするほどの献金をしてしまう、そのような被害が旧統一教会に関連し、過去30年以上、多数、繰り返し発生しているのです。
 このような状況を、立法府がこれ以上無視するわけにはいきません。必ず救済につなげる。その決意をもって、国会の閉会中から立憲民主党は、50回以上の会合を連日、開催し、日本維新の会との共同提出で、10月17日に『悪質献金被害救済法案』を提出しました。

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 法案を提出した当初、政府は今国会には消費者契約法等の改正しか提出しない、本命である悪質な高額寄付に対応する法案は今国会には出さない、との姿勢でした。しかし、今国会で法案が成立しなければ、来年になってしまう、そんなわけにはいかない、と立憲民主党と日本維新の会が、与野党協議や幹事長会談などを通じて粘り強く、強く働きかけたことで、ようやく政府から法案を提出しました。
 今回、政府の法案は、旧統一教会などの悪質献金等被害の予防・救済の実効性確保の観点から、配慮義務規定に報告や公表が追加されるなど、一定の前進はありましたが、寄付の取消し要件が厳しく、立証が困難であること、マインドコントロールの影響を受けた本人が権利を請求するには時効が短すぎること、本人や家族の救済手段である債権者代位権の行使は現実的ではないことなど、不十分な点が残されています。
 しかし、30年もの長きにわたり、政治も行政も問題を放置してきたことを反省し、まずは今回の法案を最初の一歩、歴史的な一歩とし、今後の予防・救済策の実効性を向上させなければなりません。
 野党の議員立法による提案がきっかけとなり、与野党協議が重ねられ、政府による被害者救済法が成立することは、国会のあるべき熟議のモデルとして、歴史に残るものと確信しています。
 積み残された課題を必ず前進させるとの決意をもって、また、1日も早く、被害者の皆様が苦しみから解放されるための対策を実行に移すことを強く要望し、賛成討論とします。
 各会派による討論の後採決が行なわれ、立憲民主党などの賛成多数により、両法律案は可決されました。

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