旧統一教会被害対策に関する新法等の衆議院通過にあたって(談話)
~立憲民主党は、政府新法をより使える法律に進化させるために賛成し関与を深めてゆく~

立憲民主党 旧統一教会被害対策本部長 西村智奈美
政調会長 長妻 昭

  私たちが政府与党の背中を強く押し作らせた政府救済新法は未だ不十分であるが、1歩前進ではある。立憲民主党は法案に賛成することで関与を深め、2年見直し規定に基づいてさらに使える法律に進化させるために責任を引き受けることとした。
 まずは、何もないところから新法を作り上げた原動力となった、勇気を持って声を上げていただいた被害者の皆様、命がけで闘っている被害者弁護団の方々に深く御礼申し上げる。
 以下、詳細を申し上げる。

 2022年12月8日衆議院において、「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」及び「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」(いわゆる救済新法)が通過した。立憲民主党は、一部修正の上、改正案・新法ともに賛成した。
 立憲民主党は7月の事件後すぐに旧統一教会被害対策本部を立ち上げ関係者をお呼びして20回以上の会議を開催、さらに国対ヒアリングも30回以上開催、連日被害者の方や弁護団の方など、当事者の方にお越しいただき、その訴えをお聞きした。メディアでも報道され大きな反響があった。
 私たちは、あらためて旧統一教会の悪質な霊感商法による高額献金等の被害実態を詳細具体的に把握した。これは、30年にも及ぶ政治の不作為の結果とも言え、被害者の救済に実効性ある対策を講じ、合理的な判断力を奪う違法な活動を抑止することは、政治の急務の課題であり責任である。
 この認識の下、明らかとなった旧統一教会による被害や現在の対策状況について政府にヒアリングを行い、問題点について要請、予防・救済策を取りまとめ、10月17日には立憲民主党、日本維新の会、社会民主党の三党で悪質献金被害救済法案を衆議院に提出した。
 これを受け、立憲・維新の強い要請で、10月21日から4党与野党協議会(自公立維)をスタートさせた。4党協議会は9回に及び、その後、幹事長会談も交え、与野党で精力的に法案協議を進めた。その場で、私たちは、新法の制定に後ろ向きの与党の背中を強く押し続けた。
 当初、与党は新法はつくらないとしていたが、宗教二世や元信者の皆様、弁護団の強力な後押しによって、臨時国会開会時には見えていなかった新法がちょうど1週間前に政府から提出された。皆様ご尽力に感謝を表する。
 しかし、改正案・新法については、連日の予算委員会、消費者問題特別委員会において、マインドコントロールの規定と禁止は盛り込まれず寄付の取消し要件が厳しく立証が困難であること、本人や家族の救済手段である債権者代位権の行使は現実的ではないことなど、救済への課題が明らかとなった。国会答弁では「寄附の勧誘に際し」の時間軸が数年もありえること、新法3条1項がマインドコントロールを意味すること、検討会を継続することなどを確認し、修正では配慮義務規定に勧告・報告・公表が追加されるなど一定の前進があった。
 他方、配慮義務を禁止規定にするなど指摘してきた問題点を反映することはできなかった。
 しかし、ここで議論を終わらせるわけにはいかない。救済には不十分な点があることは明らかではあるが、次につなぎ、足りないところを補っていく必要がある。そのためにも、今回の法案には賛成することで深く関与し、責任を引き受ける決断をした。4党協議を継続させ、2年以内の家族取消権の実現をはじめ残された課題を解決し、実効性ある予防・救済策の実現に向け、今後も取り組んでいく。

以上

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