立憲民主党は12月20日、国会内で第25回目となる旧統一教会被害対策本部会議を開催しました。
冒頭、大雪の関係でオンラインで参加した西村智奈美対策本部長から、救済新法の不十分な点(マインドコントロール的な行為の規定とその禁止、寄付の取り消し要件、債権者代位権、配慮義務規定など)や、カバーできないさまざまな中長期的課題(相談窓口や支援体制、解散命令請求、養子縁組、資産の海外流出、政治と宗教のかかわりなど)について、引き続き対策本部で検討し取り組んでいくとの発言があり、国対ヒアリングとも連携し、対策本部では政策提案など、国対ヒアリングでは被害者の方々のヒアリングを重視して行っていくと語りました。
また、「法律成立が最終地点ではない」と述べ、これを第一歩として年が明けても被害対策本部として活動していくとあいさつしました。
■養子縁組の問題
旧統一教会では、複数の子どものいる信者から子どものいない信者への養子縁組が推奨されて、無許可でのあっせん事業を禁じた養子縁組あっせん法に抵触するのではないかと専門家の指摘があります。山井議員は教会関係の妊娠出産に関するガイドブックにある養子縁組の項目を読み上げ「どう考えても組織的にあっせんしていることは明らか」だと指摘した上で、「刑事告発、捜査の段階に入っている」と述べ厚生労働省に見解を求めました。
厚生労働省子ども家庭局の家庭福祉課長は、行政指導とあっせん法の規定適用に向けた必要な対応をしていかなければいけない、精査をしていると述べました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士は、「違反に当たる行為だと思っている」と述べた上で、「スピード感と同時に慎重にやらなければならない」とも述べ、厚労省に「できるだけ速やかに、かつ起訴される形で刑事事件化していただきたい」と話しました。
両親が統一教会に入信し合同結婚式で結婚し生まれた、いわゆる祝福2世の小川さゆりさん(仮名)は、自身もきょうだい2人が養子に出され、それぞれ200キロ、800キロ離れたところにいることから、「例え顔見知りであったとしても、そんなところに子どもを出すことが、組織的な関与がない限り決断を母ができたか」と疑問視しました。
■被害者救済法の評価と積み残し課題
阿部弁護士は、「30年以上、国に対応していただけなかった問題について、7月の事件を契機に短期間で法律ができたこと自体は非常に意義のあること」「今後、被害者救済に役立つものとしてどう作り上げていくかが大事」だと述べ、不足している点として(1)家族被害の救済の観点から、債権者代位権ではどうしても要件が厳しくかつ効果も限定的であり、野党案の特別補助制度の枠組みがよい(2)配慮義務などの弱いものは強め、取消権の範囲が狭いものは緩める方向で法律を使いやすく(3)逐条解説では答弁を盛り込みできるだけ広い解釈を書き込んでいただく――ことなどを挙げました。
積み残しの課題としては、宗教2世が抱えるさまざまな問題、宗教法人法の不備の是正(財産隠しがされないような保全規定、宗教法人法上の解散後の宗教団体としての責任・責務の継続、宗教団体としての活動の監視)――を挙げました。
小川さんは、これまでのヒアリングでも訴えている(1)教会の解散(2)宗教的虐待からの子どもの救済(3)政治と宗教の関係――についてあらためて求め、被害者救済法の課題として、子どもの被害が現実的にはまったく救済できないとして、次期国会で宗教的児童虐待を防止する法案を与野党協力して成立させるよう求めました。
※今回のヒアリングは、これまで同様、ライブ配信や録画の配信は不可としています。