立憲民主党の岡田克也常任顧問は4日、衆院予算委員会の質疑に立ち、政府の安全保障政策について、菅義偉総理の見解をただし、新総理として積極的な外交発信を要求しました。

■対北朝鮮外交
 対北朝鮮外交について、「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」の基本方針が変わっていないことを確認し、菅総理は「CVIDを求めていく方針に変わりはない。日米韓の関係や中国、ロシアとの連携は引き続き重要だ」と答弁しました。
 拉致問題について、安倍政権の北朝鮮外交は「場当たり的で支離滅裂で失敗だったと思っているが、菅総理の下で、ぜひ拉致問題の解決を進めていただきたい」と述べました。
 なぜ安倍政権の下で 北朝鮮外交がうまくいかなかったのかについて、茂木敏充外務大臣は「米朝首脳会談が2度おこなわれて、日本の役割は変わった。相手の出方と米朝の合意に連携してきた」と答弁しました。
 2014年5月のストックホルム合意について、菅総理は「同合意は有意義であったが、北朝鮮が具体的な行動を示していない。拉致問題に解決に取り組んでいく」と答弁しました。岡田議員は「日本国民が納得できる客観的な調査結果が必要だ」と述べました。
 2017年の国連総会で、安倍前総理が必要なのは対話から圧力だと発言し、対話の可能性を否定したのは間違いだったと指摘し、「一国の総理大臣としての発言には国民の命と生活を守る責任がある」と菅総理に同じ轍を踏まないよう求めました。
 北朝鮮が新型コロナウイルス、台風水害、経済状況の悪化で困窮している現状を取り上げ、人道支援を提案する意向を確認したところ、茂木外務大臣は「経済制裁の緩和は検討していないが、人道支援については慎重に検討していく」と答弁しました。
 岡田議員は「総理が代わるのは外交にとってチャンス」と述べ、菅総理に「米国で新大統領が誕生する2021年までの空白期間に北朝鮮に働きかけをしてほしい」と発信を求めました。

■敵基地攻撃能力
 敵基地攻撃能力について、9月11日に公表された安倍前総理の談話を取り上げ、「安倍談話は迎撃能力では十分ではないとしている。攻撃能力の議論を始めているのか」と菅総理にただしました。
 菅総理は「同談話は閣議決定を経ていないので、新内閣に影響を及ぶものではない」と明確な答弁を避け、岸信夫防衛大臣や茂木外務大臣も、具体的な議論について明らかにしませんでした。
 岡田議員は政府がイージス・アショアの配備プロセスを停止し、その代替として取り得る方策について、「日本が攻撃能力を持つとすれば妥当なのか。 専守防衛との関係はどうなるのかということについて国民的議論が必要だ。国会で議論する時間をつくっていただきたい」と強く申し入れました。

■核兵器禁止条約への対応
 核兵器禁止条約について、世界唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現を目指す基本姿勢を菅総理や茂木外務大臣と確認しました。そのうえで、「日本政府の具体的な発信がないため、海外政府が日本を見る目が厳しくなっている」と危機感を示し、菅総理に「締約国会議へのオブザーバー参加」を要請しました。菅総理は「慎重に見極めていきたい」と答弁しました。