つながる本部(本部長:枝野幸男代表)と子ども・子育てプロジェクトチーム(座長:大西健介衆院議員)は共同で16日、映画『子どもたちをよろしく』の党内上映会を議員会館内で開催。今回の上映会は、いじめや虐待、貧困など子どもたちを取り巻くさまざまな問題を描いた同作品を通じて、こうした問題について党を挙げて考える機会にしようと企画されたものです。上映会は党所属国会議員に加え、各都道府県連で新たに選任されたつながる本部長や自治体議員などzoom での鑑賞もあわせて100名超が参加。今後各地域での上映会の開催や、子どもたちを取り巻く課題などを共有しながら、さまざまな取り組みを進めていきます。

 開会にあたってあいさつした、つながる本部事務総長の逢坂誠二衆院議員は、「日本は世界第3位の経済大国だが、子どもたちはこうした深刻な状況にある。この映画を観た多くの方から『誇張ではないか』『深刻に描き過ぎではないか』との声を聴いたが、私には誇張とは思えない。安定して収入の見通しがたつ職につけない大人たちが多くいる社会のなかで、子どもたちはのびのび育つことはできない。あるいは、日本は教育に公的予算がつかず家庭環境によって受けられる教育に差が出てしまうのが今の日本の状況だ。この映画に描かれている、子どもたちの実態を通して日本の社会全体を考える機会にしていきたい」と述べました。

20201216 160635.JPG

 つながる本部長の枝野代表は冒頭、地域や現場と一番つながっているのは地方組織を支える皆さんだとあいさつ。今回上映する作品について、「子どもたちを取り巻く厳しい環境については一定程度共有されているとは思うが、自分が経験した時代とのギャップが激しすぎて現状を理解しきれない方々も多く、私たち自身もそうした側面があるのではないかと思っている。各地域で多くの皆さんにこの映画を観ていただくことが認識を共有していく上で大事であり、子どもたちを取り巻く実態について全国各地の皆さんがご存知の状況をしっかり共有する機会につなげていきたい。国民の皆さん、特に子どもたちとつながっていくキックオフにしていきたい」と述べました。

20201216 160818_01.JPG

 福山哲郎幹事長は、今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、緊急小口資金の申請が約134万件(昨年は4万件)、住居確保給付金の申請が計約10万件超(4月から8月)、DV相談件数は昨年の1.5倍、児童虐待件数は約10万件(1月から6月)など、映画が制作された昨年と比べてさらに社会は壊れ出している状況に言及し、政治が何をやるべきかをわれわれ自身が考えなければいけないと指摘。公開直後の春先に一定の距離をとって映画館で観たと述べ、「私は観たあとちょっとのあいだ落ち込んでいた。お腹のなかに鉛が入ったような状況だったが、その重みが大事だと思う。ぜひ皆さんで、じっくりご覧いただきたい」とあいさつしました。

20201216 161326.JPG

 同作品の企画統括プロデューサーであり元文科省審議官の寺脇研さんは、「こうした場(上映会)ができたことは、制作した私としては本望だ」と述べた上で、「子どもの貧困は、言うのは簡単だが変えていくためには政治の力がないとできない。自助と言うが、子どもに自助ができないことだけは確かだ。そうであれば共助と公助でやるしかない」と強調。COVID-19の影響で十分な映画上映の機会を得られないなか、すでに1万1千人が鑑賞し、特に通常の作品と異なり大都市圏以外の地方で観られている割合が高いとして、「地方の方こそ観られていて、これをなんとかしなければいけないという手応えがきている。これから全国各地で戦いを繰り広げていかれるなかで根底にはこうした問題があることを分かっていただきたい」と述べました。

 また、生活保護の担当者や児童相談所・児童養護施設の職員、民間でDV支援に携わるスタッフな専門職の方に多く観られていて、「こんなにリアルに描かれているのは観たことがない」「でも本当はもっとすごいことがある」といった声が届いていること、あわせて貧困ジャーナリズム大賞を受賞したことを紹介。「日本は今、15歳以下の子どもは人口の8分の1。子ども1人に対し大人が7人もいて子どもをこんな状態に追い込んでいる。子どもを救えないような社会って何なんですか」と問いかけ、「政治の力を発揮できるような状況、数をもっていただけるよう、貧困の実態を理解する人が多くいるなかで、来年どういう日本を選択するのかを考えていただきたいと思っている」と述べました。

20201216 180625_01.JPG

 上映後、子ども・子育てPT座長の大西健介衆院議員は、「救いのない映画ではあったが、闇をしっかり見つめてその先に光をさしていかなければならないと思った。自分の力でどうしようもなくなったとき、誰かが手を差し伸べてくれる世の中でなければいけないとも思ったし、また子どもは親を選べないということも共有しなければいけない」とあいさつ。「ぜひ各地域で上映会を開いていただき、今日私たちが感じたことと同じことを、より多くの皆さんに感じていただくことで社会を変えることにつなげていきたい。今日をスタートにしてこの運動を大きく広げていきたい」と協力を呼びかけました。

 同日の司会進行は、つながる本部事務局長の宮沢由佳参院議員が務めました。

20201216 160212.JPG