衆院本会議で3月31日、参院から回付された令和7年度(2025年度)予算案が衆院の同意を得て成立しました。

 令和7年度予算は既に衆院を通過済みでしたが、立憲民主党が訴え続けた「高額療養費制度」の自己負担上限額の引き上げ見送りに伴い、参院で再修正され、衆院に回付されました。本予算案に対し、立憲民主党は高額療養費制度に関連する部分を除いて反対の立場を取っていましたが、自民・公明両党と日本維新の会による賛成多数の同意で成立しました。なお、参院で修正された予算案が衆院の同意を得て成立するのは現憲法下では初のことです。

■大西健介議員

 大西議員は予算成立前の最後の質疑に立つと、石破総理に対し高額療養費の見直し及び、立憲民主党が提出していた予備費を活用した修正案に関連した質問を行いました。
 予定原稿は以下の通りです。

「令和七年度一般会計予算(参議院回付)」に対する質疑

立憲民主党 大西健介

 立憲民主党の大西健介です。参議院での予算案の再修正は、高額療養費引き上げ凍結に伴い105億円を増額し、その分、予備費を減額する内容となっており、高額療養費の見直し及び予備費を活用した我々の修正案に関連して、会派を代表し、質問致します。

 参議院で修正された予算案が衆議院に回付されるのは憲政史上初のことであり、この本会議を開かなければならなくなったのは、首相が、がんや難病の患者の声や我々の度重なる提案に耳を貸さず、高額療養費の引き上げ凍結の決断が遅れたためです。

 我々の提案どおりになったことは多としますが、凍結決断の理由は、患者の方々の命が大切というよりは、参院選に不利になるという低次元の理由であり、衆院通過から僅か3日後の方針転換には、衆議院での審議は何だったのかという憤りを禁じえません。

 冒頭、当事者のみなさんに不安を与えたこと及び国会審議を混乱させたことに対し、改めて、首相の反省の弁を求めます。

 秋までに改めて方針を検討することになっていますが、このままでは再び不適切なプロセスによって、同じように自己負担大幅引き上げの結論が出されることが懸念されます。

 首相は「患者の方々にご納得いただけない限り、これはやってはならない」と答弁していますが、そのためには、審議会に正式な委員として患者団体に加わって頂くことが必須と考えますが、如何ですか。

 また、高額療養費制度の再検討のプロセスでは、長期にわたり高額療養費の支給を受けた者の生活実態に関する調査を行うべきと考えますが、如何ですか。

 さらに、当初の案と同様に、医療費の給付費を年5300億円抑制することを前提に再検討が行われれば、今回と同様の結論が出る恐れがありますが、その前提を変えないのか、首相の明確な答弁を求めます。

 高額療養費の方針転換は参院での審議中でしたが、首相が、予算成立後に、強力な物価高対策を打ち出す考えを示したのには腰を抜かしました。今、審議している予算は物価高対策には無力であると自白しているに等しく、物価高対策を待ちわびている国民を馬鹿にしていると同時に、立法府を軽視するものと言わざるを得ません。

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 我々は、安住予算委員長のもとで、初の試みとなる省庁別審査を通じて厳しい行政監視を行い、ムダ遣いや積み過ぎ基金の削減など財源捻出に全力で取り組み、責任政党として、3.8兆円の予算を確保し、修正案を提出しました。しかし、政府・与党には、ムダ削減に取り組む行政監視の姿勢は全く見られませんでした。

 高額療養費の引き上げ凍結も、予備費を使わず、我々の示したムダな予算を活用すればできたはずなのに、なぜ、それを行わなかったのか、首相の明確な答弁を求めます。

 我々の修正案では、ムダな予算や予備費を物価高対策に回すことで、4月からガソリン減税を行うことにしています。現在のガソリン価格は、本来トリガー条項が発動される水準であり、私たちが示した財源を使えば4月からリッターあたり25.1円の暫定税率を廃止し、ガソリン減税を実施することは可能です。ないのは財源ではなく、やる気と本気です。

 国民は、今、ガソリン高に苦しんでいるのであって、1年後では遅いのです。強力な物価高対策が必要と言うのであれば、4月に間に合わなくても、新たな物価高対策の中で、令和7年度のできるだけ早い時期に暫定税率を廃止し、ガソリン減税を行うべきです。

 我々は、4月からガソリン減税を実施する法案を国民民主党と共同で提出しましたが、否決されました。ところが、自民、公明、維新は、先日、ガソリン税の暫定税率廃止を巡る協議を行い、維新は今夏をめどに暫定税率を廃止すべきだと主張しました。

 野党は一致しています。ガソリン減税にブレーキをかけているのは自民・公明の与党ではありませんか。我々は、各党に呼びかけ、改めて、夏までにガソリン減税・暫定税率廃止を実現する議員立法を提出する予定です。野党が賛成すれば、衆議院では、ガソリン減税法案は可決されます。総理、ガソリン減税法案に賛成していただけませんか。我々は、ガソリン減税法案が成立しない場合には、参議院選挙の争点とし、何としても実現する決意ですが、如何ですか。

 国民は、ガソリン価格高騰に加え、食品が高いのに困っています。米の値段は去年のほぼ倍になっており、野菜も卵も高くて、消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数は43年ぶりの高水準となっています。

 政府が放出した備蓄米がようやく店頭に並び始めましたが、米相場全体の過熱を抑え込むのは難しいとの見方があります。また、高値の原因は、農水省の言う「流通の目詰まり」ではなく、統計上の収穫量などが実態と乖離しているためで、米は足りていないとの専門家の見方がありますが、如何ですか。

 予備費も活用し、もっと強力な食品値上げへの対策を行うべきではないですか、如何ですか。 

 予算案が衆議院を通過する前夜、公邸での会食に参加した自民党の新人議員15人に10万円の商品券が配られたことが明らかになりました。命がかかっている高額療養費の引上げでは105億円を出し惜しむ一方で、新人議員には気前よく商品券を配る感覚が信じられません。

 自民党政治は、GNP、義理と人情とプレゼントと言われるように、商品券を渡すことは、当たり前の文化となっていた可能性が高いと思います。歴代政権でも慣行となっていたのか、調査を行うべきと考えますが、如何ですか。

 政策活動費とか裏金とか、領収書の要らないカネを子分や地方議員にばらまいているから、政治にはお金がかかるのではないでしょうか。

 その政治とカネの問題に関し、企業・団体献金規制について、3月末までに結論を出すことになっていましたが、立憲や維新など野党5党派が提出した企業・団体献金禁止法案が一部の野党の賛同を得られていないのは残念です。裏金問題に端を発した政治不信は頂点に達しており、先送りは許されません。

 年金改革も先送りは許されません。年金制度改革関連法案の国会提出が遅れています。就職氷河期世代の低年金を底上げする法案であり、就職氷河期世代への支援は、予備費を使ってでも行うべき喫緊の課題です。

 重要広範議案に指定された法案が提出されなかったことは過去に例がありません。夏の参院選への影響を懸念し、批判をかわす意図があるとすれば、無責任極まりなく、低年金の就職氷河期世代を放置することは許されません。就職氷河期世代の低年金を底上げするという年金改革法案の方向性には我々も賛成であり、選挙を控えているからこそ、国会で十分な審議時間を確保して議論することが必要と考えますが、如何ですか。

 冒頭、申し上げたとおり、参議院で修正された予算案が衆議院に回付されたのは、憲政史上初のことですが、それは首相が途中でブレたからです。首相がもっと早く我々の提案を受け容れる決断をしていれば、こんなことにはならなかったはずです。

 石破政権は、少数与党という状況を未だよく理解していないのではないでしょうか。野党の意見も聞き入れて協力を求める謙虚さと決断力を失った石破政権の政権担当能力に疑問符を付けざるを得ないということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。